BlueNote TOKYO
ARCHIVE 2009/05

2009/05/13

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , OMAR SOSA - - report : OMAR SO...

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原田和典の公演初日レポート:OMAR SOSA



いったい、ここはどこなんだ?

確かに「ブルーノート東京」です。南青山にあるクラブです。確かにそうです。
なのですが、目を閉じると、そこは違う世界。オマール・ソーサ・アフリカーノス・カルテットの紡ぎだす音は、ぼくをアフリカやキューバへいざなってくれました。一度も行ったことがないにもかかわらず、いろんなテレビ番組で見た光景や、書物で接した風景が脳内でミックスされて、目に浮かんできます。灼熱の太陽、ジャングル、砂ぼこり、シマウマ、ライオン、そしてなぜかアルパカ(チリの動物ですが)。こうしたサウンドが、東京にいながらにして味わえるなんて、なんだかとてもぜいたくです。

真っ赤な衣装で現れたオマールの中では、ステージに向かう時点でもう音楽が始まっていたのでしょう。待ちきれないといわんばかりに鍵盤に覆いかぶさり、自由自在に楽想を広げていきます。ピアノに加えMIDI音源、サンプラー音源、さらにはピアノにエフェクトペダルをもつないで創造される独特の音色は、ピアノの叙情とパーカッションの野性味を兼ね備えたものでした。やがて他のメンバーが登場し、演奏は更に激しく高まります。いまやオマールの右腕というべきチルド・トーマスがダブルネックのエレクトリック・ベースで重低音を響かせ(胴体はモロッコの弦楽器“ゲンブリ”なのだとか)、セネガル出身のモラ・シラが張りのある声でコブシをコロコロまわします。何を歌っているのかはわかりません。何語であるかすら、ぼくには定かではないのですが、歌声が、抑揚が、スッと心の中に入ってきます。

ドラマーは、名匠フリオ・バレットです。彼目当てのオーディエンスも多かったのではないでしょうか。‘90年代には何度かゴンサロ・ルバルカバと来日したことがありますが、その“マシンガン・ドラミング”は、ますます冴えています。バスドラの怒涛のキックは彼の得意技ですが、そうだとわかっていても、いざ目の前で繰り広げられると、やっぱり興奮せずにはいられません。フリオと盛んにアイ・コンタクトを交わしながら鍵盤に指を走らせるオマールは本当に嬉しそうでした。

この日、最も時間をかけて演奏されたであろう「METISSE」は、混血・雑種という意味を持つ曲。ああ、このバンドらしいな、と思いました。これからもオマールは音楽を通じてファンにいろんな風景を見せてくれることでしょう。

本日、最終日です。音楽の旅を、皆様もぜひ!


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OMAR SOSA AFREECANOS QUARTET featuring JULIO BARRETO
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OMAR SOSA - ☆ P+M映像 : OMAR ...

☆ OMAR SOSA
公演初日のライブ映像 & メッセージ



鍵盤の魔術師・オマール・ソーサ率いるアフリーカノス・カルテットによるステージは、本日まで。

好評の来日記念盤CD プレゼントは、残りわずか。
まだ入手されてない方は、お急ぎください。
(昨日は、オマール・ソーサによるサイン会もありました)




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OMAR SOSA AFREECANOS QUARTET featuring JULIO BARRETO
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2009/05/12

OMAR SOSA - - 本日より、鍵盤の...

- 本日より、鍵盤の魔術師登場1



オマール・ソーサの手みやげ、
来日記念盤CDプレゼントのご用意もあります。

2日間のみの公演、お見逃しなく!





5/12 Tue - 5/13 Wed.
OMAR SOSA AFREECANOS QUARTET featuring JULIO BARRETO




2009/05/07

CANDY DULFER - ☆ P+M映像 : CANDY...

☆ CANDY DULFER with special guest SHEILA E.
公演初日のライブ映像 & メッセージ


今宵のステージはいかに。
昨日は、こう↓盛り上がりました!





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CANDY DULFER with special guest SHEILA E.
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CANDY DULFER - - from CANDY & SHE...

◆ メッセージ from CANDY & SHEILA ◆


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CANDY DULFER - - report : CANDY D...

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原田和典の公演初日リポート:CANDY DULFER with special guest SHEILA E.




おかえりなさい、と声をかけた方も多いのではないでしょうか。

キャンディ・ダルファーがブルーノート東京に戻ってきました。しかも今回は、スペシャル・ゲストにシーラ・Eを迎えての公演です。

ステージはまず、キャンディ・ダルファー・バンド単独の演奏から始まります。この4月に発売されたばかりの最新作『ファンクド・アップ&チルド・アウト』からの曲が中心です。もちろん殆どのナンバーが日本でライヴ演奏されるのは初めてでしょう。しかし満場のオーディエンスは、まるでずっと前からその曲を知っていたかのように笑顔で手拍子をとったり、体を揺らしています。

観客の反応が良ければ、ミュージシャンのテンションも更に上がってきます。ぼくは日本でしかキャンディの演奏を聴いたことはありませんが、これほどまでに乗りまくる彼女は、ひょっとしたら他のどこの国でも味わえないかも、と思いました。そのくらい、キャンディと日本のファンには“一体感”があるのです。キャンディは親日家として知られていますが、今回、彼女はさらに日本が大好きになったのではないでしょうか。

ヴォーカル曲の割合が増えたのも、個人的には嬉しいことでした。キャンディ、キーボード奏者のチャンス・ハワード、そしてレオナと、リード・ヴォーカルをとれるメンバーが3人もいて、しかも皆がそれぞれ魅力的な歌声を聴かせてくれるのですから、本当にぜいたくです。
シーラ・Eがどのあたりから登場したのかは、ぜひクラブに足を運んでご確認いただければと思います。彼女がドラムスやパーカッションで加わると、さらに演奏が強力にドライヴします。バンドの音に華やかさが増します。さすがです。

キャンディはMCで“シーラは私のアイドル、憧れの存在。共演したこの日を一生忘れることはないでしょう”と言っておりましたが、ブルーノート東京に居合わせたすべてのオーディエンスも、決してこの日を忘れないに違いありません。


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CANDY DULFER with special guest SHEILA E.
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☆ライブ映像は
こちら

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<< プロフィール・原田和典 >> 1970年生まれ。ジャズ誌編集長を経て、2005年ソロ活動を開始。 著書に『原田和典のJAZZ徒然草 地の巻』(プリズム) 『新・コルトレーンを聴け!』(ゴマ文庫)、 『世界最高のジャズ』(光文社新書)、 『清志郎を聴こうぜ!』(主婦と生活社)等。 共著に『猫ジャケ』(ミュージックマガジン)、 監修に『ジャズ・サックス・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック・エンターテイメント)。好物は温泉、散歩、猫。


2009/05/03

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , JANE MONHEIT - - report : JANE MO...

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- 原田和典の公演初日リポート:JANE MONHEIT



うまいなあ!
ジェーン・モンハイトのステージに接しながら、ぼくは何度も声をあげそうになりました。

マイクを離れても会場に響き渡る“通る声”、オーディエンスに語りかけるようなMC、ほどほど加減が心地よいフェイク&スキャット、緩急自在の選曲。声域は、ひょっとしたら4〜5オクターヴはあるかもしれません。しかし彼女が使うのは1オクターヴから1オクターヴ半ぐらいです。だから歌に余裕があります。包容力があります。技巧をちらつかせることは、しません。いちばん美しく響く声のレンジを選んで、ジェーンは聴き手に歌を届けます。

かつて彼女がセロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション(全米でもっとも権威のあるジャズ・コンテスト)を勝ち抜き、ファースト・アルバムを発表した頃、ぼくは雑誌の編集に携わっていました。とても楽しみな新人が出てきたものだと思い、記事を組んだ記憶があります。が、いまやジェーンは、こちらの予想を軽々と超え、ジャズ・ヴォーカル界になくてはならない存在になりました。変わらぬみずみずしさのまま、すっかり貫禄と風格を増した彼女は、1曲ごとに歌の主人公になって歌詞の世界を届けてくれます。

「BY MYSELF」、「LUCKY TO BE ME」、「MY ONE AND ONLY」など、いつしか余り取り上げられなくなってしまったスタンダード・ナンバーをじっくり聴かせてくれたのも個人的には嬉しいものでした。とくに「MY ONE AND ONLY」には、“よく取りあげてくれました!”といいたい気分です。ガイ・ウッドが作曲した「MY ONE AND ONLY LOVE」なら何度もいろんなミュージシャンのステージで聴いたことがあります。でもジョージ・ガーシュインが作曲した「MY ONE AND ONLY」は、ぼくもこれまで千本以上のライヴを見ていますが、生で味わったのは今夜が初めてです。加えて「STARDUST」、「OVER THE RAINBOW」といった超有名曲も聴かせてくれました。どちらも、数々の偉大なシンガーが名唱を残している大定番です。客席にいた誰もが知っているメロディをジェーンは真正面から伸びやかに歌い上げます。“うまいなあ!”とぼくは、またしても叫びたくなりました。

伴奏のミュージシャンが、また魅力的なのです。ピアニストのマイケル・ケイナンはジミー・スコットのバンドで何度も来日していますが、いつ聴いても趣味のいいバッキングをします。ヴォーカルのブレス(息継ぎ)の間に入れる合いの手が絶妙なのです。余談ですが、彼は自分のアルバムも出していて、これもなかなか良いので、機会があれば聴いてみてください。とくに『THE GENTLEMAN IS A DOPE』がお勧めです。

いい歌と、すてきな伴奏。いま最も輝いているシンガーのひとりから、最高のおもてなしを受けました。
(原田 2009/5/2)





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<< プロフィール・原田和典 >> 1970年生まれ。ジャズ誌編集長を経て、2005年ソロ活動を開始。 著書に『原田和典のJAZZ徒然草 地の巻』(プリズム) 『新・コルトレーンを聴け!』(ゴマ文庫)、 『世界最高のジャズ』(光文社新書)、 『清志郎を聴こうぜ!』(主婦と生活社)等。 共著に『猫ジャケ』(ミュージックマガジン)、 監修に『ジャズ・サックス・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック・エンターテイメント)。好物は温泉、散歩、猫。


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