BlueNote TOKYO

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , CHICO & THE GYPSIES - - report : CHICO &...

2012/09/30

CHICO - チコ
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公演初日リポート:CHICO & THE GYPSIES



すっかり「ブルーノート東京の顔」というべきミュージシャンになったチコ・ブーチキー。元ジプシー・キングスの重要人物にして、ワールド・ミュージックの超大物です。
昨年は“ザ・ジプシー・プロジェクト”という特別ユニットで喜ばせてくれましたが、今回は彼のマザーシップである“チコ&ザ・ジプシーズ”によるステージを2年ぶりに楽しませてくれました。しかし楽器編成は以前とは違います。複数のギタリスト+ひとりのベーシストで構成されていた往年のジプシーズに、ヴァイオリン、ピアノ、ドラムスが加えられた豪華版です。

当然、バンド・アンサンブルはさらに広がりをみせ、即興の割合も増しました。ジプシーズの伝統的なサウンドに、“ザ・ジプシー・プロジェクト”でフィーチャーされていたジャズ〜フュージョン的側面が、ほどよくプラスされた・・・といえばいいでしょうか。これまでのジプシーズのファン、“ザ・ジプシー・プロジェクト”で新たにチコの魅力を知った方、その両者が満足できるステージだったと思います。

チコは相変らず、決して前面に出てプレイすることはありません。しかしその存在感は抜群です。他のメンバーは黒を基調としたコスチュームで登場しますが、チコは白いシャツを着ています。そして黒いギターを、やや高めに持って演奏します。そのコントラストがまた、実に粋なのです。そしてソリストやシンガーに暖かな視線を送り、オーディエンスに「We Love You」を繰り返します。 このひとことに接するだけで、「今度来たときも、絶対また行かなくちゃ」と思うファンは数知れないことでしょう。

場内は「補助椅子が間に合わないのでは?」と思ってしまうほどの超満員。3曲目が始まるころにはオーディエンスは総立ち、秋だというのに場内はカルナヴァル状態です。プログラムはとにかく、名曲、絶対どこかで聴いたことのある曲のオンパレードといっていいでしょう。チック・コリア作「SPAIN」も、あの“ジャカジャカ、ジャカジャカ”という複数のギター・カッティングでアレンジされると、100%チコ・サウンドに生まれ変わってしまいます。「MADRE MIA」の後半、だんだんテンポが速くなっていくところも、も うわかっているんだけど、いざナマで演奏されると「きたきたきたーっ!」と興奮せずにはいられません。時代劇ドラマ「鬼平犯科帳」でおなじみの「INSPIRATION」も、沁みました(ぼくは、そこに出演している女優の梶芽衣子さんを思い出しながら聴きました)。

そして改めて感心したのが、チコのレパートリーの国際性です。フランス発の「MY WAY」あり、アルゼンチン発の「LIBERTANGO」あり、イタリア発の「VOLARE」あり。かつて日本の曲を演奏したCDもありましたが、どの国の曲もジプシーズは彼ら独自の世界に染め上げてしまいます。

公演はまだまだ続きます。今日も“チコと愉快な仲間たち”は、聴き手を徹底的に楽しませてくれることでしょう。
(原田 2012 9.29)


● 9.29sat.-10.2tue.
CHICO & THE GYPSIES
☆ 参考:セットリストはこちら


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'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , CHICO & THE GYPSIES , CHICO presents "THE GYPSY PROJECT" - - report : CHICO p...

2011/10/26

チコ - CHICO
チコ - CHICO


公演初日リポート:CHICO presents "THE GYPSY PROJECT"
featuring MARIO REYES & GYPSIES



かつてジプシー・キングスの黄金時代を築き、現在はチコ&ザ・ジプシーズを率いるワールド・ミュージックの重鎮、チコ・ブースキー。彼が新ユニット“チコ&ザ・ジプシー・プロジェクト”を率いて来日、大盛り上がりのステージを繰り広げています。

チコ&ザ・ジプシーズでは、ベーシストがひとりいる以外、全員がギターを弾いていました。しかしチコ&ザ・ジプシー・プロジェクトはパーカッション、キーボード、アコーディオン、ヴァイオリン等もフィーチャーした多彩な楽器構成です。インストゥルメンタル・ナンバーの割合も増え、即興を重視したパートも数多くありました。チコを中心にミュージシャンが一丸となり、鉄壁のまとまりで魅了するのがチコ&ザ・ジプシーズだとすれば、今回のザ・ジプシー・プロジェクトは各演奏家の個人技が堪能できるオールスター・チームといっていいでしょう。

メンバーが黒のコスチュームで統一するなか、チコは白いシャツを着て登場します。決して派手なプレイをすることはありませんが、常にステージ全体に気を配り、視線を注ぎます。今回、特にスポットライトが当てられたのはパッチャイ、マリオ・レイエス、ジョセフ・ゴーティエの3人。いずれもこの世界のビッグ・ネームといっていいでしょう。

パッチャイはチコの横で渾身のギターとヴォーカルを披露しました。細身で小柄な彼ですが、その歌声は野太くワイルドです。いっぽう、ギターが小さく見えるほどの巨体を誇るマリオ・レイエスは繊細な歌声の持ち主で、とくにスロー・ナンバーに魅力を発揮していました。ギター・プレイは超絶技巧そのもの。右利き用の楽器を180度反対に持って(弦は逆に張り替えて)、すさまじい指弾きソロを聴かせてくれました。ジョセフもマリオ同様、左利きですが、彼は左利き用のギターを使用。ステージ中央に大柄なレフティがふたりいるユニットは、チコ&ザ・ジプシー・プロジェクト以外に存在しないのではないでしょうか。

「悲しき天使」、「THOSE WERE THE DAYS」等の別名でも知られる「LE TEMPS DES FLEURS」ではピー・ウィーのヴァイオリンがむせび泣き、チック・コリア作「SPAIN」ではキーボード奏者ホアンのアドリブが会場を沸かせました。ステージ後半ではもちろん「BAMBOLEO」、「DJOBI DJOBA」、「VOLARE」といった定番を披露。前回のジプシーズ公演では、これらの曲はメドレーで演奏されましたが、今回はすべてフル・コーラスです。

パッチャイ、マリオ、ジョセフのリード・ヴォーカルで、黄金のヒット曲を聴く快感。ジプシーズのファンはもちろん、まだチコを生で見たことがないという方も、大喜びすること間違いなしのライヴです。
(原田 2011 10.25)



●10.25tue.-10.26wed.,10.29sat.-10.30sun.
CHICO presents "THE GYPSY PROJECT"
featuring MARIO REYES & GYPSIES


●10.27thu. は恵比寿act squareにて公演


チコ - CHICO


CHICO & THE GYPSIES - ☆ P+M映像 : CHICO...

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☆ CHICO presents "THE GYPSY PROJECT"

「バンボレオ」、「ジョビ・ジョバ」「ヴォラーレ」等、
数多くのビッグ・ヒットを放ったジプシー・キングス。
その黄金時代を築いたひとりであるチコ・ブースキーが
日本のファンのためにスペシャル・ユニット“ザ・ジプシー・プロジェクト”を新結成、
記念すべきプレミアム・ライヴの模様をアップしました。
公演は10.25tue.-10.26wed.,10.29sat.-10.30sun.。

●10.25tue.-10.26wed.,10.29sat.-10.30sun.
CHICO presents "THE GYPSY PROJECT"
featuring MARIO REYES & GYPSIES



'11 BNT : What's Recommended ! , CHICO & THE GYPSIES - Spain Wine Festa !...

2011/10/22

 
 
Spain Wine Festa !
10.25tue.-11.12sat.

パッションあふれるライヴにぴったりな、“情熱的な”お勧めのワインをご用意しました。
※数に限りがございます。無くなり次第“情熱的に”別の銘柄に変更いたします。
 
 
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<Cava カヴァ>
Proyect Cu4tro Cava
プロジェクト クワトロ カヴァ

淡く緑色を帯びた輝き
爽やかで透明感のある色合いのスパークリングワイン。
品種:マカベオ、チャレッロ、パレリャーダ、シャルドネ

Bottle ¥5,000

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<Blanco 白ワイン>
N' estruc Idoia Blanc
カ ネストラック イドイア ブランク

白い花や南国フルーツのようなアロマ
スペイン、カタルーニャ
品種:チャレッロ、ガルナッチャブランカ他

Glass ¥1,150
Decanta ¥2,500
Bottle ¥4,300

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<Tinto 赤ワイン>
Val de Los Frailes
ヴァル デ ロス フライレス
ブラックベリーやシガー、リコリスなどの複雑な香り
アメリカンオークで12ヶ月以上熟成
スペイン、シガレス
品種:ティンタ デル パイス

Glass ¥1,150
Decanta ¥2,500
Bottle ¥4,300

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※価格は全て消費税込。別途サービス料を頂戴いたします。
 
 
 
●10.25tue.-10.26wed., 10.29sat.-10.30sun.
CHICO presents "THE GYPSY PROJECT"
featuring MARIO REYES & GYPSIES


●10.27thu.
HAJIME MIZOGUCHI


●10.28fri.
MATTHEW GARRISON
featuring SCOTT KINSEY & GENE LAKE
with very special guest KAZUMI WATANABE


●11.1tue.-11.4fri.
TOSHIKO AKIYOSHI QUINTET
featuring Lew Tabackin with Monday Michiru


●11.5sat.-11.7mon.
JAMAICA JAZZ
featuring ERNEST RANGLIN, MONTY ALEXANDER and SLY & ROBBIE


●11.8tue.-11.12sat.
MICHEL CAMILO & TOMATITO



'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , CHICO & THE GYPSIES - - report : CHICO &...

2010/11/01

CHICO & THE GYPSIES - チコ&ザ・ジプシーズ
CHICO & THE GYPSIES - チコ&ザ・ジプシーズ


公演初日リポート:CHICO & THE GYPSIES



カーニバル、フェスティバル、フィエスタ、宴、祭り・・・・・呼び方はなんでもいいですが、チコ&ジプシーズの音楽にはそれらを一緒にして、さらに灼熱の太陽で乾かしたようなカラッとしたエキサイトメント(興奮)があります。

開演前から、客席内は大騒ぎで賑やか。このあたり、いわゆるジャズ系のライヴではあまりみられない現象です。「今日は祭りだ!」というオーディエンスの声が聞こえてくるようです。そしてメンバーが楽器を大切そうに抱えながら登場すると、クラブはまさに“蜂の巣をつついたような”騒ぎになります。

リーダーのチコは白いシャツに黒いギター。他のメンバーは黒い衣装でステージに立ちます。リード・ギターを担当するケマは薄型の白いギターを、相変わらずの超絶技巧で弾きまくります。間奏パートになると、ぼくの目は自然に彼の指先に向かいましたが、どう弾いているのか本当にわかりません。彼が人差し指や中指を一度軽く動かすだけで、5つも6つもの音が立て続けに出てくるのです。

もちろん他のメンバーも、存分に見せ場を発揮しておりました。ごきげんな喉を聴かせたマノロやムニン、ティンバレスを中心に叩きながら軽やかなリズムを送り出すアンディ。一歩退いたところで、ニッコリとギターをつまびく重鎮チコ。各曲の出だしの数音が流れるやいなや、クラブを埋め尽くしたファンから「待ってました!」といわんばかりの拍手、指笛が飛びます。
メンバー全員が心から音楽を楽しみ、それをオーディエンスとわかちあおうとしているのが伝わってきます。この“気のおけなさ”に、フランスのサルコジ大統領もノックアウトされたのでしょう。

もちろん「BAMBOLEO」、「DJOBI DJOBA」、「VOLARE」はプレイされますが、そうした大定番はむしろアッサリと奏でられ、新たなレパートリーが増えているのも今回の公演の特徴です。皆さんきっと御存知の、あのイーグルスの大ヒット「HOTEL CALIFORNIA」も見事、チコ&ザ・ジプシーズ風にリメイクされていますのでお楽しみに。結成から約20年、彼らの前進はまだまだ続きます。
(原田 2010 10.31)


● 10.31sun.-11.3wed.
CHICO & THE GYPSIES


チコ&ザ・ジプシーズ - CHICO & THE GYPSIES


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