BlueNote TOKYO

PAQUITO D'RIVERA - ☆ P+M映像 : PAQUI...

2009/11/07

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☆ PAQUITO D'RIVERA QUINTET


あのチューチョ・ヴァルデスを宇宙イチと言わしめるサックス/クラリネットの実力者、
パキート・デリヴェラが登場!とても明るいキャラクターもまた魅力的です。
公演は11/9mon. まで。



● 11/6fri.-11/9mon.
PAQUITO D'RIVERA QUINTET



'11 Bloggin' BNT by 原田和典 , PAQUITO D'RIVERA - - report : PAQUITO...

パキート・デリヴェラ-PAQUITO D'RIVERA
パキート・デリヴェラ-PAQUITO D'RIVERA

公演初日リポート:PAQUITO D'RIVERA QUINTET


パキート・デリヴェラを、ようやく近距離で体験することができました。生で聴きたくてたまらなかったステージです。

ぼくは以前に一度、スペインの大きな野外劇場でパキートを見ています。フェルナンド・トゥルエバ監督のラテン・ジャズ映画『カジェ54』の公開記念コンサートで、パキートのバンドに加え、ピアニストのベボ・ヴァルデス(先ごろ「ブルーノート東京」に出演したチューチョ・ヴァルデスの父)やベース奏者のカチャオ(昨年、惜しくも亡くなりました)も出演していましたが、なにしろ向こうのお客さんは熱狂的に盛り上がるのはいいとしても、演奏中にしゃべっていることも多いのです。しかもぼくの席は後方だったので、静か目な曲だと音楽よりも話し声のほうが大きめに聞こえてきたりして、残念ながら「パキートの音楽に浸る」というシチュエーションではありませんでした。

いつか近距離で彼の音楽をガッチリ味わってみたいものだと思ってから7〜8年が経ったでしょうか。今、その機会がやっと訪れました。『Funk Tango』が2008年のグラミー賞に輝き、ますますノっている状態での来日です。1991年以来の相棒である俊英ディエゴ・ウルコラ(トランペット&ヴァルヴ・トロンボーン。アルゼンチン出身)とのコンビネーションにもさらに磨きがかかり、アルト・サックスとクラリネットで“パキート節”を存分に響かせてくれます。

オープニングは「FIDDLE DREAMS」。バイアォン風のリズムに乗せて演奏がスタートし、やがて速いサンバに。その後スロー・テンポのパートになり、再びサンバ→バイアォン風になるというドラマティックなナンバーです。冒険的なテーマ・メロディは、ちょっと気を抜くとすぐに出だしを間違えてしまいそうです。そんな難易度Aの楽曲を、パキートのバンドはいとも易々とこなします。と思ったら次の曲「LA YUMBA-CARAVAN」では、プエルト・リコ出身のヴァルヴ・トロンボーン奏者ファン・ティソールが書いた「CARAVAN」を、アルゼンチン・タンゴ風な味付けで料理します。音楽はすべてひとつで、輪のようにつながっているんだとやさしく諭されたような気分です。

「ANDALUCIA」は、キューバの作曲家エルネスト・レクオーナの同名組曲をジャズの素材としてアレンジしたものといっていいでしょう。オープニングとエンディングには、やはりレクオーナの書いた「SIBONEY」がクラリネットで演奏されました。そして「THE BREEZE AND I(そよ風と私)」という別タイトルで知られる「ANDALUZA」(「ANDALUCIA」の第二楽章)のパートでは、ディエゴのトランペット・プレイが爆発! このブロウを聴いたひとは皆、なぜ彼がニューヨークのジャズ・シーンで引く手あまたの存在なのか、瞬時に理解できたのではないでしょうか。今回の公演ではパキートのプレイはもちろんのこと、ディエゴの吹きっぷりにもぜひ注目していただきたいものです。
(原田 2009/11/7)


● 11/6fri.-11/9mon.
PAQUITO D'RIVERA

パキート・デリヴェラ-PAQUITO D'RIVERA


'11 Bloggin' BNT by 原田和典 , PAQUITO D'RIVERA - - 宇宙イチのサッ...

2009/11/04

デイヴ・コーズ-DAVE KOZ
パキート・デリヴェラ-PAQUITO D'RIVERA

パキート・デリヴェラ-PAQUITO D'RIVERAwidth=




公演レビュー:PAQUITO D'RIVERA


すっかり秋も深まってきた今日このごろ。そんな季節だからこそ熱いサウンドに身も心もゆだねたいものです。

そこでガッチリお勧めしたいのが、パキート・デリヴェラのステージです。

パキートはキューバ出身のサックス&クラリネット奏者。
つい先日、鮮烈なパフォーマンスを見せつけてくれたあのチューチョ・ヴァルデスが "今までいろいろなサックスやクラリネットのプレイヤーと共演したが、彼こそが宇宙イチ!”
といわしめました。
(Chucho さんへのインタビューをご参照ください)
http://www.bluenote.co.jp/jp/movie/2009/10/_interview_chucho_valdes_1.html


音楽的な環境に育ったため、幼い頃からラテンやジャズに親しみ、7歳の頃には人前で演奏していたといいます。’60年代に入るとチューチョ・ヴァルデス(この9月、ブルーノート東京に登場しました)と活動を共にし、これがやがて世界に名を轟かせたスーパー・フュージョン・バンド‘イラケレ’へと発展しました。そして‘80年にアメリカへ渡り、キューバ時代に輪をかけた大活躍を続けて現在に至っています。外国人ミュージシャンに対して必ずしも暖かいとはいえないアメリカで30年にもわたってトップを走り続けているのは、つまり、彼の実力が圧倒的に超国際的であるという証なのでしょう。

パキートはまた、ジャズ(とくに、ビ・バップと呼ばれる分野での演奏がよく知られています)やラテンのマスター・ミュージシャンであると同時に、クラシックやブラジル音楽の名手であります。しかし彼の偉いところは、それらを決してごちゃ混ぜにしないこと。‘クラシックとラテン・ジャズの融合’とか、‘ブラジル音楽風ビ・バップ’などどいった無粋なことはしないのです。ジャズをやるときには徹底してジャズ。クラシックをプレイするときは、とことんクラシック。そこにぼくは、パキートのミュージシャンシップの高さを垣間見ます。

今回は、彼のレギュラー・グループによる公演です。これまでクラウディオ・ロディティ(トランペット)、ミシェル・カミロ、ダニーロ・ペレス(ピアノ)等、多くの逸材をシーンに紹介してきたパキートです。現在のバンドにも、‘未来のスター’が集結していることは間違いありません。とくにトランペット奏者のディエゴ・ウルコラは、現代ラテン・ジャズの精鋭としてニューヨークで引く手あまたのプレイヤーです。彼とパキートのアンサンブルが聴けるのも、ぼくにとっては大きな楽しみです。

長年にわたって早熟の天才プレイヤーといわれてきたパキートですが、そのサウンドは決して難解でも、高踏的なものでもありません。思わずからだが揺れ、一緒に歌いだしたくなるような音作りです。誰にでも伝わる熱い世界を携えて、パキートは11月のブルーノート東京に灼熱の太陽を運んでくれることでしょう。
(原田 2009/11/4)


● from CALLE 54 !!