BlueNote TOKYO

STANLEY CLARKE - - report : STANLEY...

2010/11/27

スタンリー・クラーク - STANLEY CLARKE
スタンリー・クラーク - STANLEY CLARKE


公演初日リポート:STANLEY CLARKE TRIO
with HIROMI & LENNY WHITE

2009年に最も話題を呼んだジャズ・アルバムの1枚が『ジャズ・イン・ザ・ガーデン』です。スタンリー・クラーク、 上原ひろみ、 レニー・ホワイトという人気者が揃っているのですからヒットしたのも当然でしょうが、多くのリスナーはCDの充実ぶりに感銘を受けると同時に、「ライヴはもっとすごいことになりそうだ」と思ったのではないでしょうか。満を持してブルーノート東京に登場した3人は、すさまじい音の渦で満場のオーディエンスを圧倒しました。

オープニングは伝説のテナー・サックス奏者、ジョー・ヘンダーソンが書いた「ISOTOPE」。スタンリーとレニーは1970年代初頭、ジョーのバンドにいたことがあるので、いわば彼らの原点に立ち返った選曲といえましょうか。上原のプレイも単音からブロック・コードまで自由自在。ソロ・ピアノ・パフォーマンスのときと変わらない力強い左手の低音が耳に残ります。彼らはプログラム後半にも、ジョーの「BLACK NARCISSUS」を取り上げました。もしジョーが生き返って、彼らと共演したらいったいどうなるのだろうと思いながら、フレーズのひとつひとつを味わわせていただきました。

2曲目はCDのオープニングに入っていた「PARADIGM SHIFT」。もともとドラマティックなナンバーだったのに、今回のライヴではさらにそのスケールが前後左右に広がったという印象を受けました。この日のPAはミュージシャン側からの要望でしょうか、各楽器に深いリヴァーブがかけられていました。それがまた、曲の幻想的な雰囲気を高めます。この曲に限らず、スタンリーはほぼ全レパートリーで長大なソロをとります。弦を単に速く弾くだけではなく、引っ張り、叩き、和音やハーモニクス(倍音)を混ぜながら展開されるプレイは、視覚的にも大きなインパクトがありました。あの大きなウッド・ベースの指板の上を彼の大きな手、長い指が踊るように駆け巡るのです。レニーとのデュオで繰り広げられた「TAKE THE COLTRANE」は、まさしくベースとドラムスの超絶技巧のぶつかりあいでした。

ラスト2曲には、日本を代表する面々で構成されたホーン・セクションが参加。事前に告知されていなかっただけに、ちょっとしたサプライズに出会ったような気分です。チャーリー・パーカーの「CONFIRMATION」を下敷きにした「3 WRONG NOTES」など、まるでビッグ・バンドのようなサウンドで楽しませてくれました。嵐のような拍手と声援、ミュージシャンとオーディエンスの満面の笑顔。またひとつ、ブルーノート東京史上に残るステージが生まれました。
(原田 2010 11.26)

● 11.26fri.-11.28sun.
STANLEY CLARKE TRIO with HIROMI & LENNY WHITE


スタンリー・クラーク - STANLEY CLARKE


CHICK COREA , STANLEY CLARKE - ☆ P+M映像 : CHICK...

2009/11/28

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☆ CHICK COREA, STANLEY CLARKE & LENNY WHITE -POWER OF THREE-


チック・コリア、スタンリー・クラーク、レニー・ホワイト
初日のパフォーマンス & メッセージ映像をアップしました。

最強の3人によるステージは12/2wed. まで。
毎回違うプロジェクトで来日するチック・コリア
=このメンバーで次回公演は実現するか、次回は当分先ではないのか?
あるいは、リターン・トゥ・フォーエヴァー黄金第2期の到来か?
今回はいずれにせよ、後世に伝説のステージの1つとして数えられることでしょう。
 



● 11.27fri.-12.2wed.
CHICK COREA, STANLEY CLARKE & LENNY WHITE
-POWER OF THREE-



'11 Bloggin' BNT by 原田和典 , CHICK COREA , STANLEY CLARKE - - report : CHICK C...

チック・コリア-CHICK COREA
チック・コリア-CHICK COREA


公演初日リポート:CHICK COREA, STANLEY CLARKE & LENNY WHITE
-POWER OF THREE-






ブルーノート東京に登場するたび大きな話題を巻き起こしてくれるのがチック・コリアです。
この前はジョン・マクラフリンやクリスチャン・マクブライドとの夢のユニット“ファイヴ・ピース・バンド”で猛烈に熱い世界を聴かせてくれました。今回はスタンリー・クラーク、レニー・ホワイトとのアコースティック・トリオ“パワー・オブ・スリー”での出演です。

MCでチック自身も話していましたが、スタンリーとは’72年のいわゆる“第1期リターン・トゥ・フォーエヴァー”からのつきあい。レニーは’73年に始動したいわゆる“第2期リターン・トゥ・フォーエヴァー”のドラマーです。この3人はリターン・トゥ・フォーエヴァー解散後もたびたび共演し、’82年には故フレディ・ハバード、故ジョー・ヘンダーソンを加えて『GRIFFITH PARK COLLECTION』というアコースティック・ジャズの傑作をリリースしています。

3人がステージに歩みを進めるだけで、場内にどよめきが起こります。ぼくの記憶によれば彼らが日本で顔を合わせるのは’83年以来26年ぶり、通算2度目。そのときは「よみうりランドEAST」のこけら落とし公演として、第2期リターン・トゥ・フォーエヴァーの再結成がたった1日だけおこなわれたのでした(ギターはアル・ディメオラ)。伝説のコンビネーションがこれから、目の前で蘇ろうとしているのですから、クラブにつめかけた誰だって興奮を抑えきれないはずです。
もちろん、ぼくもそうでした。いったい何をどのように演奏してくれるのか。この3人の解釈で聴きたい曲は山のようにあります。

そしてチック、スタンリー、レニーは、出血大サービスと呼びたくなる選曲で、アコースティック・ピアノ・トリオの凄みをたっぷり味わわせてくれました。「LA FIESTA」と「SPAIN」が一夜でまとめて聴けるとは思いませんでしたし、チックとゲイリー・バートンのデュオで有名な「BUD POWELL」がまさか、ベースとドラムスを従えてプレイされるとは予想もしていませんでした。しかもビル・エヴァンスの名曲「WALTZ FOR DEBBY」まで聴かせてくれるとは。あの有名なメロディがチック節として生まれ変わっていく瞬間に立ち会うことができたのは、まさに「ライヴの現場」にいる醍醐味といえましょう。リターン・トゥ・フォーエヴァー時代にはエレクトリック楽器を駆使して演奏していた「NO MYSTERY」のアコースティック・ヴァージョンも新鮮でした。ほんとうにチックはファンの聴きたいものをとことんまで知り尽くしている。そんな印象を受けました。

ぼくは初日のファースト・セットに行きましたが、セット・リストを見ると、セカンド・セットではまったくといっていいほど異なる選曲だったようです。本日はどんな名曲が飛び出すでしょうか? わくわくします。

● 11/27fri.-12/2wed.
CHICK COREA, STANLEY CLARKE & LENNY WHITE
-POWER OF THREE-

チック・コリア-CHICK COREA