BlueNote TOKYO
ARCHIVE 2011/03

2011/03/31

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , INCOGNITO - - report : INCOGNI...

インコグニート - INCOGNITO
インコグニート - INCOGNITO


公演初日リポート:INCOGNITO



「日本に戻ってくることができて嬉しい。この公演に来ることを選んでくれたみなさんに感謝します」。ブルーイのMCには定評のあるところですが、今日の彼のひとことは、いつもよりもさらにオーディエンスの心に響いたのではないでしょうか。

彼が率いる人気ユニット、インコグニートの公演です。この日のヴォーカルはクリス・バリンとヴァネッサ・ヘインズ。ファンキーなテナー・サックスとフルートを聴かせたジェイミー・アンダーソンは今回が初来日だそうです。

ヴァネッサがシャウトする「ROOTS」に始まり、クリスの代表曲「LABOUR OF LOVE」、リズム・セクションが多彩なフレーズをこなしていく「GOOD LOVE」など、聴いても踊っても楽しいナンバーが続きます。「COLIBRI」と「LOW DOWN」では日本人ギタリスト、近田潔人(こんだきよと)がゲスト参加しました。ブルーイと彼はロンドンで知り合い、以来交流を続けているとのこと。ブルーイの奥さんや子供も彼を家族の一員のように思っているとのことです。「COLIBRI」では、あの印象的なギター・カッティングを2ギターのかけあいで披露。おなじみの曲に、新たな色合いが加わりました。

また今回のステージは、インコグニートが結成当時によく演奏していたという「PARISIENNE GIRL」もプレイされました。1979年のファースト・アルバムに入っていた曲で、日本で演奏するのは初めてなのだそうです。もちろんそのレコードからは約30年が経っているので、まったく同じアレンジというわけではなかったと思いますが、曲調は既にインコグニート・サウンドそのものでした。あらためてインコグニートの音楽性のブレなさ、グルーヴ・ミュージックに対するブルーイの一貫した愛情を痛感させられました。

今回は従来よりもインストゥルメンタル・ナンバーが多めだったので、ホーン・セクションやリズム・セクションの腕の見せ所も従来以上にあったように思います。もちろんブルーイのギターも冴え渡っていました。ユーモラスなキャラクターで知られる彼ですが、ギター・プレイそのものは“二枚目”です。ダンディなのです。
今回の公演で、インコグニートと日本のファンの絆はさらに強まることでしょう。
(原田 2011 3.30)


● 3.30wed.-4.2sat.
INCOGNITO


●4.8 fri. はモーション・ブルー・ヨコハマにて公演

インコグニート - INCOGNITO


'11 BNT : What's Happenin' ! , Good Music Parlor , INCOGNITO - - Good Music Parlo...

Good Music Parlor


- report : 『Good Music Parlor』@ブルックリン・パーラー(新宿)
DJ : Buey from Incognito & Terry Washizu


「なぜ、今この時期に日本に来たか。それは人間として困っている人たちの元に駆けつけるのは当然のこと。それができなければ、自分自身を人間として失格と思ってしまう」
19:00、マイクロフォンを通してブルーイのメッセージ:この度の震災の被害に遭われた方へ、今後自ら率先して支援を続けて行く意志の表明から始まった、Good Music Parlor 。

「もともとDJ とは、曲をつなぐことよりもしゃべりがメインなんだ。曲にまつわるストーリーなども交えて、よい音楽をみんなと一緒に楽しみたい」

自身が影響されてきた名曲の数々をトークを交えて披露する、日本ではあまり見ないタイプのいわばラジオの公開放送のイメージ近いイベントになりました。

途中はサインへも写真撮影にも応じながら、最後は拍手喝采で終了。
当日のソング・リストはこちらを参照ください。


Brand New Funk - Interlude
Alan Parker & John Cameron - Swamp Fever
Patrice Rushen - Music Of The Earth
James Mason - Sweet Power Your Embrace
Merry Clayton - Emotion
Samuel Jonathan Johnson - Sweet Love
Webster Lewis - El Bobo
Donny Hathaway - The Ghetto
Bill Withers - Can We Pretend
Minnie Riperton - Baby, This Love I Have
Incognito - 1975
Ronnie Foster - Mystic Brew
Linda Williams – Elevate Our Minds
Terumasa Hino - Send Me Your Feelings
Charles Rouse - Waiting On the Corner
Willie "beaver" Hale - Groove On
Hiroshi Fukumura With Sadao Watanabe - Hunt Up Wind
Gwen McCrae - 90% Of Me Is You
Side Effect - Always There
Average White Band - Pick Up The Pieces
The Salsoul Orchestra feat. Loleatta Holloway - Runaway
The Players Association - Turn The Music Up!
G. Q. - Disco Nights (Rock-Freak)
Gene Harris - As
Donald Byrd - (Fallin' Likee) Dominoes
Incognito - Colibri



● 『Good Music Parlor』@ブルックリン・パーラー(新宿)



Good Music Parlor


2011/03/29

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , -Love for Japan- BLUE NOTE TOKYO ALL-S... - - report : -Love f...

ブルーノート東京 オールスター・ビッグ・バンド - Blue Note Tokyo ALL STAR BIG BAND
ブルーノート東京 オールスター・ビッグ・バンド - Blue Note Tokyo ALL STAR BIG BAND


公演初日リポート:-Love for Japan-
BLUE NOTE TOKYO ALL-STAR BIG BAND



“今、自分たちにできることは何だろうか”。トランペット奏者、エリック宮城の呼びかけによる特別公演が「ブルーノート東京」で行われています。題して「-Love for Japan- ブルーノート東京 オールスター・ビッグ・バンド」。

エリック宮城がブルーノート東京に交渉し、各ミュージシャンと連絡を取ったのは3月24日のことだったそうです。その四日後、クラブには次のようなミュージシャンが集まりました。エリック率いる、“怪物バンド”との呼び声も高いEM BANDの面々。そして日野皓正、小曽根真、伊藤君子、海老沢一博、本田雅人、中川英二郎、寺井尚子といった文字通りのオールスター・ミュージシャンたち。彼らのスケジュールが調整できたのは文字通りの奇跡といえましょう。

超多忙なアーティストばかりですから、おそらくリハーサルの時間も満足にとれなかったことでしょう。しかしそこはマスター・クラスの面々です。各人が文字通り、“入魂”のパフォーマンスを聴かせてくれました。特定のパートを取り出して、誰のどの曲がよかった、と書くのは、今回は避けたいと思います。演奏終了後、レジのところでぼくの後ろに並んでいたお客さんは、“こんなすごい演奏は、もう聴けないかもしれないなあ!”と言っていました。この発言が、ライヴの内容を物語っています。

曲間に挟まれた、エリックやフィーチャリング・メンバーひとりひとりのコメントも胸を打つものでした。それを文字にすることもできるのでしょうが、口調や表情までは到底、書き表すことはできません。ぜひ実際にステージに足を運び、ミュージシャンたちの“熱い気持ち”に触れてもらえたら、と思います。本日29日は、山下洋輔や塩谷哲も登場します。いったいどんな音が飛び出すのか、さらに期待がつのります。

(原田 2011 3.28)


●3.28mon.-3.29tue.
-Love for Japan-
BLUE NOTE TOKYO ALL-STAR BIG BAND


ブルーノート東京 オールスター・ビッグ・バンド - Blue Note Tokyo ALL STAR BIG BAND



2011/03/27

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , PHIL WOODS QUINTET - - report : PHIL WO...

フィル・ウッズ - PHIL WOODS
フィル・ウッズ - PHIL WOODS


公演初日リポート:PHIL WOODS QUINTET
featuring BRIAN LYNCH, BILL MAYS, STEVE GILMORE & BILL GOODWIN



アルト・サックスの人間国宝、“Mr.ダイジョブ”ことフィル・ウッズが元気な姿をみせてくれました。日本の人を励ますため、周囲の反対を押し切っての "強行来日" を果たしてくれた、と聞きました。その彼が「ブルーノート東京」に登場するのは約20年ぶり。久々の帰還を歓迎するように、場内には溢れんばかりのオーディエンスがつめかけました。

1曲目は「BOHEMIA AFTER DARK」。伝説のベース奏者、オスカー・ペティフォードが書いた曲ですね。50年代にはキャノンボール・アダレイやズート・シムズも演奏していましたが、最近はあまり取り上げられていないのが不思議です。こうした“隠れ名曲”を発掘するのは、ファンにはおなじみのウッズの得意技。数々のメロディを引用しながら、まさしく“ウッズ節”というべきアドリブで酔わせてくれました。もちろん20代、30代の頃の爆走感はうかがえませんが、79歳にして、ここまで往年の輝きを保っていることは驚きに値します。

ウッズの近作はあまり日本ではリリースされていませんが、イタリアのPhilologyというレーベル(熱心なウッズ・ファンが設立した)からは数多くの新譜が発表されています。そうした作品では、よりバラード・プレイに重点がおかれていることが多いのですが、この日も「ANOTHER TIME, ANOTHER PLACE」、「SOUVENIR」などで絶品のバラードを聴かせてくれました。作曲は、ウッズの大先輩であるベニー・カーターです。カーターはウッズの才能を早くから認め、共演アルバムも残しています(80年代の終わりには一緒に来日しました)。カーターは90代まで現役活動を続けましたが、ウッズもまだまだ第一線を走り続けてくれることでしょう。

“私はオールド・マンだからね、薬を飲む時間をもらうよ”というユーモア交じりのMCの後は、サイドメンをフィーチャーしたナンバーが続きます。ここでファンは、今回の公演がなぜ単なるフィル・ウッズ・クインテットではなく“フィル・ウッズ・クインテット・フィーチャリング・ブライアン・リンチ、ビル・メイズ、スティーヴ・ギルモア&ビル・グッドウィン”なのかに気づくわけです。見方を変えればメンバー全員が主役なのですね。熱演する彼らをステージ袖から見守るウッズの表情は、「どうだい、私のバンドのメンバーは最高だろう?」といいたげな自信に溢れたものでした。

その後、御大は再びアルト・サックスを手に、歌心いっぱいのプレイで楽しませてくれました。客席からは自然に手拍子が巻き起こります。ミュージシャンも、オーディエンスも、みんな笑顔です。

音楽の力ってすごいなあ。そう心から感じさせてくれるステージでした。
(原田 2011 3.26)


● 3.26sat.-3.27sun.
PHIL WOODS QUINTET
featuring BRIAN LYNCH, BILL MAYS, STEVE GILMORE & BILL GOODWIN


フィル・ウッズ - PHIL WOODS


2011/03/23

PHIL WOODS QUINTET - ☆ P+M映像 : PHIL ...

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☆ PHIL WOODS QUINTET

ブルーノート東京公演に先駆け、コットンクラブで行われた
フィル・ウッズ・クインテット・フィーチャリング・
ブライアン・リンチ、ビル・メイズ、スティーヴ・ギルモア
&ビル・グッドウィンのパフォーマンス&メッセージ映像をアップ!
ブルーノート東京には3.26sat.から登場、2日間の貴重な公演です。

●3.26sat.-3.27sun.
PHIL WOODS QUINTET

featuring BRIAN LYNCH, BILL MAYS, STEVE GILMORE & BILL GOODWIN



2011/03/22

沖仁 - - report : JIN OKI...

沖 仁 - JIN OKI


JIN OKI SPRING TOUR 2011
"Con Palmas"



3/21mon, フラメンコ・ギターリスト・沖仁さんに登場いただきました。

テクニックは紛れもない "ワールド・クラス"、
復興への想いを胸に、即興での楽曲披露があったりと、バラエティー豊かなセットリスト、
大儀見元さん(Per) と小林智詠さん(Gt) のサプライズ出演ありなど、
華麗かつ力強いステージを披露してくれました。

日本人として初の快挙、ムルシア "ニーニョ・リカルド" フラメンコ・ギター国際コンクール優勝など、すでに世界で活躍する姿は有名であり、今後も世界で活躍する姿が非常に楽しみななアーティストであることは言うまでもありませんが、常に笑顔を絶やさない、ポジティブな姿が非常に印象的でした。




● 3.21 mon.
JIN OKI SPRING TOUR 2011
"Con Palmas"


JIN OKI - 沖 仁


2011/03/11

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , TOWER OF POWER - - report : TOWER O...

タワー・オブ・パワー - TOWER OF POWER
タワー・オブ・パワー - TOWER OF POWER


公演初日リポート:TOWER OF POWER


大きなアニバーサリーを迎えると、大抵の人間はそこで一区切りをつけてしまうものです。ひとまず落ち着いてしまうものです。
しかしタワー・オブ・パワー(TOP)は違います。先年、結成40周年を迎え、力作『グレイト・アメリカン・ソウルブック』と、盛大なアニバーサリー・ツアーを行なった彼らですが、その意欲、ファンキー度はこの2011年、さらに高まるばかりです。きっと彼らは結成45周年、いや50年に向けて、さらに全力疾走を続けてくれることでしょう。

リーダーのエミリオ・カスティーヨ(テナー・サックス)、“ファンキー・ドクター”ことスティーヴン・ドク・クプカ(バリトン・サックス)、フランシス・“ロッコ”・プレスティーア(ベース)、デイヴィッド・ガリバルディ(ドラムス)、みんなありあまるほどのエネルギーを発揮しています。バンドの礎を築いたといっていいであろう彼らと、その音楽を敬愛する精鋭ミュージシャンが一丸となって、現在進行形の生々しいTOPを目前で繰り広げてくれるのです。

TOPのホーン・セクションは、2本のトランペット、2本のテナー・サックス、1本のバリトン・サックスで構成されています。アルト・サックスが入ればもっと高音が強調されるのかもしれませんし、トロンボーンを加えれば、より柔らかな響きが生まれるかもしれません。しかしこのスピード感に満ちた、とことんまで引き締まったサウンドは、TOP独自の楽器の組み合わせによるところが大きいと思います。今回、トランペットはおなじみのアドルフォ・アコスタとエリック宮城が担当しましたが、エリックはソロでもアンサンブルでも眩しいほどのプレイを展開し、単なる助っ人以上の貢献をしていました。

ホーン・セクション、リズム・セクション、ヴォーカルがすべて強力なバンドは、ありそうでなかなか見つからないものです。乗ってもよし、聴きこんでもよし、踊ってもよし、一緒に歌ってもよし。どんな方法でも楽しめるのが、タワー・オブ・パワーの大きな魅力です。しかも彼らは、各セット、どんどん演目を入れ替えていきます(それほど自信作が多いのです)。1セットとはいわず、2セット、3セットと通いつめても、決して期待を裏切られることはないはずです。
永遠のファンキー野郎のライヴを、ぜひ間近でどうぞ!
(原田 2011 3.10)


● 3.10thu.-3.13sun.
TOWER OF POWER


タワー・オブ・パワー - TOWER OF POWER


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