BlueNote TOKYO

'11 Bloggin' BNT by 原田和典 , MARLENE - - report : MARLENE...

2011/05/25

マリーン - MARLENE
マリーン - MARLENE


公演初日リポート:MARLENE "INITIAL"


場内が暗くなると同時に、スクリーンに映像が映し出されます。マリーンの最新作『イニシャル』のジャケット撮影のシーンです。スタジオでポーズを決めるマリーンに、歯切れ良いカメラのシャッター音が響きます。スタイリング・プロデュースはドン小西、ジャケット写真は加納典明が担当。ふたりのインタビューも見ごたえ、聴きごたえがありました。

やがてミュージシャンが次々と舞台にのぼり、パフォーマンスが始まります。オープニングは代表曲のひとつ「ESP」。ほかにも「SUMMER NIGHT」、「IT’S MAGIC」など往年の定番がガンガン飛び出します。80年代に日本フュージョンの洗礼を受けたぼくは、マリーンがワン・フレーズ歌うだけで、そのメロディを条件反射的に口ずさんでしまうことを抑えきれません。が、昔とはアレンジが違います。ノリが違います。歌声に、よりコクが増しています。

ロング・セラーを続行中の『マリーンsings熱帯JAZZ』に続くアルバム企画が持ち上がったとき、マリーンは「ぜひフュージョンをやりたい」と思ったそうです。理由は、「フュージョンこそ私の原点だから」。そして旧知のギタリストである安藤正容(T-SQUARE)にプロデュース、キーボード奏者の安部潤にアレンジを依頼し、セルフ・カヴァーを含むアルバム『イニシャル』を完成させました。

CDのクリアーでタイトなサウンドも魅力的でしたが、ライヴでは当然ながら、よりワイルドになります。安藤や安部をはじめとする凄腕ミュージシャンたちの白熱したやりとりを受けて、マリーンはからだ全身で歌いまくります。ダンサブルなナンバーでは熱くシャウトし、「LOVIN’ YOU」(非常に面白い和音が使われていました)や新曲「COME FLY WITH ME」などバラード系の曲ではしっとりと歌詞を表現。もちろんフレンドリーなMCもたっぷり楽しませてくれました。

ライヴを見ればCDも聴きたくなり、CDが気に入ればライヴに必ず行きたくなる。それが現在のマリーンといえましょう。
(原田 2011.5.24)



● 5.24tue.-5.25wed.
MARLENE "INITIAL"

マリーン - MARLENE


'11 Bloggin' BNT by 原田和典 , MARLENE - - report : MARLENE...

2010/05/10

マリーン sings 熱帯JAZZ
マリーン sings 熱帯JAZZ


公演初日リポート:MARLENE sings NETTAI JAZZ



灼熱のプロジェクト“マリーンsings熱帯JAZZ”が、ブルーノート東京に帰ってきました。
昨年6月に行なわれた公演は、いずれも超満員。連日、客席は総立ちだったとききます。アジアを代表する情熱の歌姫と、日本のトップ・ラテン・ジャズ・ビッグ・バンドの共演が、手の届きそうな近距離で楽しめるのですから、誰だってエキサイティングな気分になるはずです。
そして今回、各メンバーが忙しいスケジュールをやりくりした末に、待ちに待ったアンコール公演が実現したのです。

初日がおこなわれた5月9日は「母の日」でした。ステージにはカーネーションが飾られ、マリーンも真赤なドレスで登場。オープニングの「AIN'T NO MOUTAIN HIGH ENOUGH」からエンジン全開です。舞台上でのマリーンの表情は本当に多彩です。けっこう激しい身ぶり手ぶりもみせるのですが、それも実に自然なのです。その歌の主人公になりきっているかのようなアクションを交えながら、歌詞を観客に送り届ける彼女は、シンガーであると同時にアクトレスであり、そして圧倒的なエンターテイナーである、といえましょう。MCでもオーディエンスを大いに沸かせていました。

もちろん凄腕ミュージシャンが揃っている熱帯JAZZゆえ、充実したソロ・プレイも味わうことができました。木幡光邦(トランペット)、中路英明(トロンボーン)、奥山勝(ピアノ)、小池修(アルト・サックス)、宮本大路(バリトン・サックス)に加えて、アルト・サックス、ソプラノ・サックス、フルートでフィーチャーされたスティーヴ・サックスの大活躍ぶりにも唸らされました。リーダーのカルロス菅野もパーカッションやMCに大活躍、「SMILE」におけるマリーンとのヴォーカル・デュオも聴きものでした。

本編ラストは、待ってましたの「MAS QUE NADA」。もちろん場内は総立ちとなり、マリーンと観客のコール&レスポンスは永遠に続きそうな勢いでした。3度目の“マリーンsings熱帯JAZZ”がブルーノート東京で催されるのも、そう遠いことではないでしょう。
(原田 2010/5/9)



● 5.9sun.-5.10mon.
MARLENE sings NETTAI JAZZ


マリーン sings 熱帯JAZZ


'11 Bloggin' BNT by 原田和典 , MARLENE - - report : MARLENE...

2009/06/06

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原田和典の公演初日リポート:マリーン sings 熱帯JAZZ



歌姫マリーンが、2年ぶりにブルーノート東京に登場しています。
しかも今回は、日本のトップをいくラテン・ジャズ・ビッグ・バンドとの共演です。ゴージャスです。トロピカルです。この日も、梅雨空を吹き飛ばすような爽快なパフォーマンスをたっぷり楽しませてくれました。

ぼくが本格的にジャズ〜フュージョンを聴き始めたのは1980年代のことです。当時は今以上に日本全国でジャズ・フェスティヴァルが盛んで、よくテレビやFMで放送されてもいました。その常連シンガーとして登場し、会場をひときわ熱狂させていたのがマリーンです。当時を過ごした音楽ファンは誰も、彼女の歌う「IT'S MAGIC」や「ZANZIBAR NIGHT」に心を惹かれたのではないでしょうか。

結婚後はしばらく活動を控えめにしていたとのことですが、2005年に久々の作品『ジャズ&アウト』を発表。今年4月には『マリーン sings 熱帯 JAZZ』をリリースしました。このアルバム、ジャズ・ヴォーカル・チャートで首位を独走しているそうです。おめでとうございます。

ライヴは「AIN'T NO MOUNTAIN HIGH ENOUGH」から始まりました。
マーヴィン・ゲイ&タミー・テレルやダイアナ・ロス&テンプテーションズで有名な曲ですね。個人的には男女デュオの歌という印象が強いのですが、マリーンはこれをひとりで歌います。どんなに高い山も低い谷も広い川も私たちをさえぎることはできない、私の名前を呼んでくれたらすぐあなたのもとにかけつけるから・・・・という熱いラヴ・ソングを、ラテン風味満載のサウンドに乗って歌うマリーンは実に姉御肌で、とにかくかっこいい。レンジの広い表現力、歯切れ良い発音。カルロス菅野のパーカッションも小気味良くリズムを彩ります。これ1曲で梅雨のうっとうしさは、どこかに消えてしまいました。

ステージの前半はピックアップ・メンバーとのセッションでしたが(ラテン・ジャズ・バンド“GUANABARA”のメンバーだったスティーヴ・サックスが大活躍)、後半はビッグ・バンド全員がバンドスタンドに上がります。ぼくの席はバリトン・サックスやバス・トロンボーンに近かったので、重低音がガンガン響いてきて、これまたすっかり気持ちよくなってしまいました。マリーンのテンションも、さらにあがっているようです。おなじみの「IT'S MAGIC」で沸かせた後、「MAIS QUE NADA」はオーディエンスを巻き込んでのカーニバル状態。「SMILE」ではカルロス菅野とのヴォーカル・デュオも聴かせてくれました。

華やかなマリーンと、夏の日差しを感じさせる熱帯サウンド。出会うべくして出会った両者のセッションは、どこまでも歓喜にあふれています。
(原田 2009/6/5)


6/5 fri - 6/7 sun
MARLENE sings NETTAI JAZZ