BlueNote TOKYO

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , ROBERT RANDOLPH - - report : ROBERT ...

2012/02/28

ロバート・ランドルフ - ROBERT RANDOLPH
ロバート・ランドルフ - ROBERT RANDOLPH


公演初日リポート:
ROBERT RANDOLPH AND THE FAMILY BAND



“ペダル・スティール・ギターの魔術師”、ロバート・ランドルフが遂にブルーノート東京のステージに登場しました。

ペダル・スティール・ギターは、どちらかというとハワイアン、カントリー等で多用されている楽器です。ブルース畑では、かつてホップ・ウィルソンという偉才がこの楽器に取り組んでいましたが、ロバートはこれでロック、ブルース、ファンクを融合した“ロバート・ランドルフ・ミュージック”をプレイします。彼の愛用しているモデルは、きくところによると、通常(6〜12弦)よりも1弦多い13弦使用だとか。その両手の動きは、まさしく神技です。とんでもなくかっこいいフレーズの数々が、次から次へと飛び出しては興奮させてくれます。あの指さばきを間近で見ることができるのも、クラブ公演ならではの醍醐味でしょう。

ロバートは左手中指にスライド・バーをはめて演奏します。そしてハーモニクス(倍音)を強調するときは、右手の側面で軽く弦を叩きます(空手チョップをするように)。非常に乗りの大きい、グルーヴ感あふれる曲に取り組んでいるときでも、細かな指の動きがやむことはありません。あるときはタイプライターを打つように、またあるときは毛糸の機械編みをするように、彼の指が弦の上を踊ります。ここまでペダル・スティールを自由自在に扱うミュージシャンは、どう考えてもロバートのほかにはいないでしょう。

ペダル・スティールは椅子に座って弾く楽器です。したがって視覚的にはどうしても地味に見えてしまう・・・と思いきや、そこはさすがロバート。インストゥルメンタルの曲でもしきりに掛け声をあげてバンド・メンバーや観客を煽り、楽器をゆらしながら弾いたり、クラブのすみずみにまで視線を配って、見るものを釘付けにします。そして人気曲「THE MARCH」では楽器を離れて立ち上がり、ステップを踏みながら歌います。そして女性オーディエンスをバンドスタンドに招き、楽器の前に戻ったロバートは、彼女たちのダンスをバックに目の覚めるような即興演奏を聴かせてくれました。

ロバートはアンコールでも、ぼくらファンを驚かせてくれました。ワン・コーラス弾き語るとベーシストのレイフィールド・ホロマンのところにかけより、彼のベースを手にとって演奏し始めたのです。そしてホロマンはペダル・スティールの椅子に座り、アドリブで演奏を始めました。続いてロバートはドラムスのマーカス・ランドルフに、ペダル・スティールを弾くように指示。今度はホロマンがドラムスを担当したのですが、皆、むちゃくちゃ巧くてグルーヴしているのです。「自分のレギュラーの楽器じゃないのに、どうしてこんなにかっこいい音が出せるんだ」と、ぼくは驚くばかりでした。3人が楽器を替えている間、曲のリズムを崩さぬよう、ひたすらカッティングしつづけていたギタリスト、べレット・ハースの職人ぶりも見事です。

ロバート・ランドルフ&ザ・ファミリー・バンド。本当にすごい4人組だと改めて思いました。公演は29日まで、ぜひどうぞ!
(原田 2012 2.27)


● 2.27mon.-2.29wed.
ROBERT RANDOLPH AND THE FAMILY BAND
☆ 参考:セットリストはこちら


ロバート・ランドルフ - ROBERT RANDOLPH