BlueNote TOKYO

'11 Bloggin' BNT by 原田和典 , AZYMUTH - - report : AZYMUTH

2011/06/15

アジムス - AZYMUTH
アジムス - AZYMUTH


公演リポート:AZYMUTH



ホセ・ロベルト・ベルトラミ(ジョゼ・ホベルト・ベルトラーミ:キーボード)、アレックス・マリェイロス(ベース)、そしてイヴァン・コンチ(ドラムス)。
名前を見ただけで「音が聴こえてくるようだ」というファンも多くいらっしゃるのではないでしょうか。ブラジルが誇るフュージョン・グループ、アジムスのステージです。

とはいっても、彼らは「フュージョン・ミュージック」という言葉が定着する遙か前、1970年代中期に本格的な活動を開始しました。長寿グループにはありがちなことですが、その間にはメンバー・チェンジも経験しました。ベルトラミが脱退していた時期もあります。しかし現在は黄金期のメンバーによる活動に戻っています。「やっぱり、この3人が揃ってこそのアジムスなんだ」という気持ちは、ぼくら聴き手だけではなく、メンバー自身にも強く存在しているのでしょう。

横並びで演奏する彼らは、とくにアイ・コンタクトをとるわけでもなく、ごくごく淡々と楽器をプレイします。しかし各楽器の呼吸は見事に一致し、それぞれのメンバーが他のメンバーのフレーズに対して絶えず反応していることがわかります。長年のキャリアを積んだバンドならではの技のやりとりが、客席の熱気を徐々に高めていきます。「IN MY TREEHOUSE」など、最新作『オーロラ』からのナンバーも聴かせてくれましたし、ジョアン・ジルベルトの数少ない自作のひとつである「HOBALALA」では全員の(タンバ・トリオを思わせる)コーラスを、アントニオ・カルロス・ジョビンの「AGUAS DE MARCO」ではベルトラミのアコースティック・ピアノを楽しむことができました。

もちろん他の曲では、ベルトラミ特製のフェンダー・ローズ・プレイも満喫することができました。このふくよかで、柔らかく、浮遊感のある響きは、今後デジタル・シンセがいくら進化しようとも絶対に表現できないのではないかと思います。ベルトラミがフェンダー・ローズを弾くと、それだけで場内に涼やかな風が舞い込んでくるようです。

アンコールでは、彼らの日本における人気を決定付けたといっても過言ではない「VOO SOBRE O HORIZONTE(Fly Over The Horizon)」が演奏されました。現在、30代半ば以上の洋楽少年少女なら誰でも一度は聴いたことがあるであろう伝説のFM番組「クロスオーバー・イレブン」のオープニング・テーマ・ソングですね。ぼくも1980年代初頭、この曲で初めてアジムスの名を知り、サウンドの気持ちよさにすっかり魅了されてしまったひとりです。まさか「クロスオーバー・イレブン」のテーマが生で聴けるなんて、と思いながら、ぼくは頭の中でメロディを必死に追いかけました。

アジムスの「ブルーノート東京」公演は昨日で終了しましたが、本日からは「コットンクラブ」に登場します。梅雨時を吹き飛ばすブラジリアン・グルーヴを、どうぞお楽しみください!
(原田 2011.6.15)




● 6.14tue.-6.15wed.
AZYMUTH

●6.16thu.-6.17fri. はコットンクラブにて公演

AZYMUTH - アジムス