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'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , PABLO CRUISE - - report : PABLO C...

2012/08/28

パブロ・クルーズ - PABLO CRUISE
パブロ・クルーズ - PABLO CRUISE


公演初日リポート:
PABLO CRUISE


爽快なライヴでした。再び日本でプレイできることを喜ぶメンバーの気持ちと、久しぶりの来日公演を待ちわびていたファンの気持ちが、会場の中でとけあって、実に実に熱い雰囲気を生み出していました。

カリフォルニアが生んだサーフ・ロックの雄、パブロ・クルーズの再来日公演です。前回、来日したのはなんと、今から33年も前の1979年。ぼくは残念ながら“パブロ・クルーズ世代”ではありません。しかし後追いで「LOVE WILL FIND A WAY」や「WHATCHA GONNA DO ?」といったナンバーを聴き、親しみやすいメロディ・ライン、タイトなリズム、厚みのあるハーモニーに魅了されました。そして、「こういう曲を聴きながら海辺をドライヴしたり、サーフィンしたら最高の気分だろうな」と思ったものです(免許もサーフボードも持っていないのに)。

場内が暗くなり、往年の映像がスクリーンに映し出されます。パブロ・クルーズの栄光の歴史、といったところでしょうか。やがてメンバーがステージにあがり、’78年のアルバム『WORLDS AWAY』のタイトル曲を演奏します。オリジナル・メンバーのデヴィッド・ジェンキンス、コーリー・レリオス、スティーヴ・プライスが、手の届くような距離で一同に並ぶ姿は壮観です。もちろん‘70年代に比べて、ルックスは格段に渋くなっています。デヴィッドの髪の毛はかなり白くなっています。しかしメンバーのヴォーカルやハーモニーの魅力は、まったく色あせていません。演奏テクニックに関しては、往年よりもさらに良くなっているのではないかとも思いました。徹底的に磨き抜かれた“バンドの音”に、ぼくは聴きほれるばかりでした。

2010年から加入しているベースのラリー・アントニーノも、すっかりバンドにとけこんでいます。5弦ベースを縦横無尽にあやつる彼のプレイは、間違いなく現パブロ・クルーズのグルーヴ感に貢献しているといっていいでしょう。歌声も実に渋く、味があります。デヴィッド、コーリー、そしてラリーと、リード・ヴォーカルをとれるシンガーが3人も揃っているところも、今のグループの大きな魅力です。

歌よし、演奏よし、雰囲気よし。とにかく楽しいひとときを味わわせていただきました。「パブロ・クルーズ? 聞いたことがない名前だなあ」というひともいらっしゃるかもしれませんが、ぜひライヴにお越しください。「ああ、この曲、知ってる。これ、パブロ・クルーズの歌だったんだ」と、なるに違いないからです。
(原田 2012 8.27)


● 8.27mon.-8.29wed.
PABLO CRUISE
☆ 参考:セットリストはこちら


パブロ・クルーズ - PABLO CRUISE