BlueNote TOKYO

'11 Bloggin' BNT by 原田和典 , 上原ひろみ - - report : HIROMI ...

2011/04/25

HIROMI UEHARA - 上原 ひろみ
HIROMI UEHARA - 上原 ひろみ


先日「コットンクラブ」で圧倒的なソロ・パフォーマンスを聴かせたばかりの上原ひろみが、昨日から「ブルーノート東京」で熊谷和徳とのデュオを繰り広げています。

「ピアノとタップダンス? どうやって一緒に演奏するの?」という声もきこえてきそうですが、百聞は一見にしかずとは、まさにこのことです。ぼくはふたりのデュオを大きな会場で聴いたことがありますが、今回はクラブ規模でのライヴなので臨場感倍増、迫力500パーセント増しです。ふたりの一挙一動はもちろん、息遣いやかけ声までがダイレクトに飛び込んできます。

客席から見てピアノの左側に1枚、右側に4枚の板があります。ここをフルに使って、熊谷和徳はタップをします。ジャケットの下には、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの名盤『A NIGHT IN TUNISIA』のジャケットがプリントされたTシャツを着ています。踊るたびにジャケットがゆれ、Tシャツに書かれている“JAZZ”という文字が浮かびあがります。彼と上原ひろみのコンビネーションは、本当に自由自在です。あるときはピアノとユニゾンでステップを踏み、またあるときは床をするようなフットワークで上原のサポートに廻ります。そしてまたあるときは、ピアノとの4小節交換(4小節ずつ、アドリブ・ソロを渡しあうこと)で、何人ものドラマーが一緒に演奏しているかのようなストンピングを聴かせてくれました。

確かに2本の足で踏んでいるのです。しかしひとつのステップで6つか7つの音が出ていたのではないでしょうか。けっこうじっくりと彼の足使いを見ることができたのですが、どうしてあんな多彩なサウンドが出せるのか、不思議でなりません。熊谷は故郷・仙台に捧げたソロ・ナンバーも聴かせてくれましたが、観客の手拍子を受けながらのアドリブには、開いた口がふさがりませんでした。

もちろん上原ひろみのプレイも相変らずエンジン全開です。グラミー賞にも輝き、「笑っていいとも」のテレフォンショッキングに出るほどのスターであるのに、演奏への情熱、アドリブにかける気迫は高まるばかりです。演奏中の彼女は炎のかたまりです。いまにも鍵盤から黒煙があがりそうです。
1+1が20にも30にも拡がるデュオ・ワールド。それが上原ひろみと熊谷和徳の共演なのです。

アンコール終了直後に"グラミー受賞祝い"のサプライズ・ケーキが登場し、ご本人が本当に驚いていたシーンがまたこれも印象的でした。
(原田 2011.4.24)


● 4.24sun.-4.27wed.
HIROMI UEHARA × KAZUNORI KUMAGAI



● 4.27wed. 2nd show の模様はアーティストの意向により、
Ustream(ユーストリーム)BLUE NOTE TOKYO チャンネル
http://www.ustream.tv/channel/bluenotetokyo
で生中継いたします。是非ご覧ください。


上原 ひろみ - HIROMI UEHARA


'11 Bloggin' BNT by 原田和典 , 上原ひろみ - - report : HIROMI ...

2009/12/26

上原ひろみ-HIROMI UEHARA
上原ひろみ-HIROMI UEHARA


公演初日リポート:HIROMI UEHARA Solo Piano -PLACE TO BE-



飛翔を続ける“時の人”、上原ひろみのソロ・ピアノ公演がブルーノート東京で開催されています。チケットはわずか数時間で完売。激しい争奪戦を見事、くぐりぬけたファンが、クラブ中を埋め尽くしました。
彼女は11月中旬から1ヶ月以上に及ぶ国内ツアーを敢行中です。12月24日には、すみだトリフォニーホールで新日本フィルハーモニー交響楽団との共演コンサートをおこないました。その翌々日にあたる昨日26日と今日27日、彼女はブルーノート東京のステージに立っています。今年最後の演奏場所として、東京でのホームグラウンドを選んだのです。

ステージにはヤマハのピアノが一台。
アコースティック・サウンドが、クラブを満たします。最新作『プレイス・トゥ・ビー』の世界をライヴで味わうには最高の条件といえましょう。とはいってもそこは上原ひろみというべきでしょうか、CD収録曲を弾いても同じ展開とは限りません。1曲あたりの演奏時間は伸び、アルバムを聴いていただけでは予想もつかないパッセージが、驚くほどのテクニックに裏付けされながら次から次へと登場します。

ピアノを弾く喜び、音楽に浸る喜びを全身で発散させながら、上原ひろみは約90分を疾走しました。ただ単に鍵盤に指を走らせるのではなく、内部奏法(ピアノに張られている弦をはじく)を取り入れたり、中腰で弾いたり。足踏みや掛け声が生々しく響くのもクラブ・ギグならではです。彼女はアーティストであると同時に、アスリートでもあるのでしょう。観客の声援、拍手も曲が進むごとに高まってゆきます。“元気が出るピアノ”の真骨頂、ここにありといった感じです。

彼女は以前、ぼくの取材にこう答えてくれました。「自分のピアノが元気を与えているのならこんなに嬉しいことはない。でも、私もお客様からすごく大きな元気をもらっているのです」、と。
良いファン、良いスタッフに恵まれて、上原ひろみの才能はさらに研ぎ澄まされ、その音世界は一層スケールを増すことでしょう。2010年も彼女の動きから目が離せません。
(原田 2009/12/26)


12/26sat.-12/27sun.
HIROMI UEHARA Solo Piano -PLACE TO BE-