
原田和典・公演レポート: JOSHUA REDMAN with REUBEN ROGERS & GREG HUTCHENSON
ジョシュア・レッドマンの登場は久しぶりのような気がします。
しかも今回は、ベース、ドラムスとの、いわゆるサックス・トリオでの公演。彼がこの編成で演奏するのは、日本では初めてのことです。
サックス・トリオは、サックス奏者にとって最もハードで、それだけにやりがいのあるフォーマットだといわれています。ピアノやギターのように和音を楽々と出せる楽器もありません。単音楽器であるサックスがメロディをリードし、ときにはハーモニーの行方を指し示さなくてはいけない。これは大変なことです。
1950年代にはソニー・ロリンズが、60年代にはオーネット・コールマンやアルバート・アイラーがサックス・トリオで素晴らしいアルバムを吹き込んでいます。70年代にはジョン・サーマンやデヴィッド・マレイが目の覚めるようなトリオ作品を残しています。こうした先人たちが登りつめた“峰”に、ジョシュアは挑んでいるわけです。
きくところによると、彼はジャズ・ミュージシャンとして活動を始めた当時、よくサックス・トリオで演奏していたそうです。ピアノの置いてあるジャズ・クラブはニューヨークに決して多いわけではなく、しかもそうした店には名のある音楽家が出るため、まだ無名だったジョシュアは必然的にピアノのない場所で演奏するしかなかったのです。'93年にワーナー・ブラザーズからファースト・アルバムを発表するまで、ジョシュアはベーシストやドラマーと共に、小さなライヴ・スポットで繰り返し演奏を重ねたのでした。今回のサックス・トリオによるワールド・ツアーは、彼にとって“原点回帰”的なニュアンスもあるのかもしれません。
最新作『コンパス』からの曲を軸に、「オータム・イン・ニューヨーク」、ロリンズの名演で有名な「マック・ザ・ナイフ(モリタート)」などのスタンダード・ナンバーも交えたステージは、緊張感とリラックスした雰囲気が絶妙に融合された、実に楽しめるものでした。ルーベン・ロジャースとグレゴリー・ハッチンソンも、あの手この手で演奏のテンションを高めてゆきます。このバンドでは、全員が対等なのです。
スマート、シャープ、そしてスタイリッシュ。ジョシュア、ルーベン、グレゴリーはサックス・トリオの新しい扉を開こうとしています。彼らの‘うた’は、会場につめかけたすべてのファンの心を射抜くことでしょう。このトリオの公演は土曜日まで続きます。どうかお見逃しなく!
(原田 2009/4/22)
4/21 tue - 25 sat.
JOSHUA REDMAN 公演
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JOSHUA REDMAN : 男のサックス道
現代最高峰のサックス・プレイヤーの1人として名を挙げられる機会の多いジョシュア・レッドマン。
近年の活動は、まるでサックス・プレイヤー人生に勝負がかかっているかのような勢いにも見受けられる、サックス+ベース+ドラムのみという無骨な編成、つまりは飾り気のない、言い換えればごまかしのきかないスタイルに取り組んでいます。
前作『バック・イースト』、そして今月18日に国内盤発売予定『コンパス』、2作連続にてその姿勢がうかがえますが、勝負がかっているように見えるとはいえ、その雰囲気は人生がけっぷちというものではまるでなく、むしろその勝負、かけひきを満喫している様子すら漂うものです。
一見専門的分野のごとくジャズの複雑な世界に取り組んでいるかのようではありましたが大間違い、テナーサックスの音色による "コンパス" が、まだ見ぬ彼らの音世界へ誘ってくれることでしょう。
どのような新境地を見せてくれるのか、約2年ぶりのジョシュアの登場に期待が高まります。

ジョシュア・レッドマン
『コンパス』
(ワーナーミュージック, 3/18 発売) → ![]()
● こちらは、以前の編成・Joshua Redman Elastic Band feat. Sam Yahel & Brian Blade - ♪ Jazz Crimes
● ジェームス・カーターとの"競演" ♪
● またいつか近い将来実現してほしい顔合わせ:with Brad Mehldau, Christian McBride & Brian Blade
● スティーヴィー・ワンダーとの共演 ! 豪華 : "Duke Ellington Tribute"

