BlueNote TOKYO

'11 Bloggin' BNT by 原田和典 , CHRISTIAN SCOTT - - report : CHRISTI...

2009/01/31

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クリスチャン・スコットが自身のグループで遂に来日しました。

過去「ブルーノート東京」にはソウライヴのホーン・セクションとして出演していますし、マッコイ・タイナー・トリオのゲストとして登場したこともあります。この2バンドと共演し、存在感をアピールしたというだけでも、クリスチャンの幅広い適応力がわかろうというものです。
が、今回は、自身のグループでの上陸です。「自分の音楽をやりに」、来たのです。

これまでの来日では、ひとりのトランペット奏者に徹してベストを尽くせばよかった。しかし今回はトランペッターとしてはもちろん、バンド・リーダー、作曲家、編曲家、音楽監督として体を張らねばならないのです。
楽屋からステージに向かう途中、クリスチャンは何度も武者震いしたのではないでしょうか。
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演奏は、‘迫真’という言葉がふさわしいものでした。
いわゆる、テーマ→アドリブ→テーマという展開ではありません。ドラムスが一定のリズムを刻み、そのうえでソリストがアドリブをとる、というものでもありません。演奏の様相が刻々と変化しているのにもかかわらず妙なる統一感があり、時おり曲やメンバーの紹介はあるものの、ワン・セットがひとつの組曲になっているように感じられました。

ものすごい気合いです。メンバーの誰もが全身全霊をこめて、音楽に立ち向かっています。最初から最後まで徹底してガチでぶつかってきます。彼らのプレイに没頭しているうちに、ぼくは、思いっきりおなかがすきました。エネルギーにあふれる音楽は、聴く側にもエネルギーを求めます。これからクリスチャンのライヴを体験される方は、余裕を持って早めにご来店して腹ごしらえされることをお勧めいたします。

とにもかくにもぜひ実際のステージを接していただきたい、ぼくの願いはそれに尽きるのですが(あと2日あります)、まさしく今を進行するジャズをクリスチャン・スコットは聴かせてくれました。こういう音が日本で味わえて、しかも多くのリスナーから拍手を浴びているという事実に触れて、ぼくは思わず心の中でガッツポーズをとりました。


ところでクリスチャンは2008年夏、「ニューポート・ジャズ・フェスティバル」に自身のグループで出演しています。1958年、このジャズ祭で若きマイルス・デイヴィスが演奏しました。それから半世紀経ったことを記念して、主催者側はクリスチャンにマイルスにちなんだ曲を演奏してはどうかと提案したそうです。しかしクリスチャンはこれを断り、「最新の自分の音楽」を展開しました。それこそが、常に未来を追い求めていた帝王マイルスへの最高の献花である、といわんばかりに。
久しぶりにジャズ界に鼻っ柱の強いやつが現れた、お前なかなかいいぜ、とマイルスも天国でニヤリとしているのではないでしょうか。
(原田 2009/1/31)
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'11 Bloggin' BNT by 原田和典 , CHRISTIAN SCOTT - - クリスチャン・ス...

2009/01/26

● July '08、BLUE NOTE TOKYO
SOULIVE with special guest CHRISTIAN SCOTT & SAM KIININGER
:ソウライヴの放つグルーヴの中、クリスチャンの "個性" が非常に際立っていたシーンのひとつ。


クリスチャン・スコットの公演が近づいてきました。
わくわくしています。なにしろ彼は現代ジャズ・シーン、希望の星なのですから。



大御所フレディ・ハバードが亡くなったのも記憶に新しいジャズ・トランペット界ですが、いつも覇気に溢れた若手が群雄割拠しているのもこのフィールドです。アヴィシャイ・コーエン(ベース奏者とは別人です)、アンブローズ・アキンムシーレ、キーヨン・ハロルド、コーリー・ウィルクス、モリース・ブラウン、マイケル・ロドリゲス、ジェレミー・ペルト、ダレン・バレットなど、本当に数多くの逸材がいます。ウィルクスとロドリゲスは昨年、それぞれウィル・カルホーン、ゴンサロ・ルバルカバのバンドで「ブルーノート東京」に出演しましたね。

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Corey Wilkes / Michael Rodriguez


が、大手レコード会社と契約し、自分のグループで世界を回り、いっぽうでプリンスやモス・デフにも招かれ、しかも映画俳優としても活躍している存在はクリスチャンしかいません。つまり、彼には並外れたスター性があるのです。

2006年夏のシカゴ・ジャズ・フェスティバルで、ぼくは初めてクリスチャンに接しました。あとで調べたところ、彼のファースト・アルバム『リワインド・ザット』が発表された直後ということがわかったのですが、この時点ではまだその作品を聴いていませんでした。

クリスチャンは、彼の叔父であるドナルド・ハリソン・グループの一員としてステージにあがりました。ハリソンは伝説的バンド“アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ”出身のサックス奏者で、いわゆるハード・バップと呼ばれるタイプの演奏を得意にしています。が、クリスチャンの演奏は、どこか違うのです。フォーマットこそハード・バップなのですが、そこを突き破って新たな地平に突入していくかのように、次から次へと新鮮なフレーズをたたみかけてゆくのです。

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◆ ドナルド・ハリソン\nhttp://www.donaldharrison.com/


「これはえらいトランペッターがあらわれたなあ」、と僕は五大湖に向かってシャウトしたくなりました。

そのときハリソン・グループでベースを弾いていたのはエスペランザ・スポールディングです。
いまや“今をときめく”存在となった彼女も、当時はたんなる一介のベーシスト。ぼくは既にファースト・アルバム(Ayvaというレーベルから発売されました)を聴いていましたから、彼女のプレイをナマで聴いても格別驚かなかったのですが、強靭なビートは明らかにグループの要となっていました。

2006年夏なんて、まだ2年半前のことです。
しかし、伸び盛りの若手ミュージシャンにとってそれは、十分すぎるほどの歳月なのでしょう。一本立ちしたクリスチャンは、見事なトランペット・スタイリストになりました。スーツを脱ぎ捨て、ベル(朝顔)が上に向いた楽器に持ち替えた彼には、貫禄とりりしさが溢れています。

昨年7月にソウライヴのホーン・セクションの一員として「ブルーノート東京」初登場。人気ジャズ・ファンク・ユニットに新鮮な息吹を与えました。また9月には、マッコイ・タイナー・トリオとの共演で再び「ブルーノート東京」のステージに立ち、伝統的なアコースティック・ジャズを聴かせてくれました。

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そんなクリスチャン・スコットが、遂に自己のバンドを引き連れて上陸します。
スリル満載、やけどするほど熱いステージが繰り広げられることでしょう。





◆◆◆ INFO ◆◆◆

◆ more'bout CHRISTIAN SCOTT, check these out !!
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
-公演blogページ : http://www.bluenote.co.jp/jp/movie/2009/01/post_2.html
-公演詳細ページ : http://www.bluenote.co.jp/jp/sp/247.html
-アーティスト・オフィシャル : http://www.christianscott.net/


◆ BS フジ 放映予定(再放送):

『SOULIVE Live at BLUE NOTE TOKYO』

2/3 Tue 24:00〜24:55
2/8 Sun 26:00〜26:55



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1970年生まれ。ジャズ誌編集長を経て、2005年ソロ活動を開始。
著書に『原田和典のJAZZ徒然草 地の巻』(プリズム)
『新・コルトレーンを聴け!』(ゴマ文庫)、
『世界最高のジャズ』(光文社新書)、
『清志郎を聴こうぜ!』(主婦と生活社)等。
共著に『猫ジャケ』(ミュージックマガジン)、
監修に『ジャズ・サックス・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック・エンターテイメント)。好物は温泉、散歩、猫。



CHRISTIAN SCOTT - - 次世代を担う期...

2009/01/14

クリスチャン・・スコット
  ■ クリスチャン・スコット

シーンの注目と期待を一身に集める若手トランペット奏者。
ニューオリンズ生まれの熱きジャズ・ヒーロー、クリスチャン・スコット。2008年にソウライヴのホーン・セクションとして初登場、次いでマッコイ・タイナー・トリオとの共演でクラブを沸かせた彼が遂に自己のユニットで戻ってくる。少年時代からウィントン・マルサリス等の大物ジャズメンと共演し、18歳でデビュー。R&Bやヒップ・ホップ等を取り入れた独自の音作りで幅広いリスナーの支持を集め、最新作『ライヴ・アット・ニューポート』も大好評を博している。そのスター性が評価され、モデル業や映画出演にも意欲的なクリスチャン。精悍なルックス、豪快でブリリアントなトランペット・サウンドを手の届くような距離で体感したい。ジャズの新しい扉が、ここから開かれる。


● LIVE AT NEWPORT

ロードアイランド州ニューポートで行なわれる“ニューポート・ジャズ・フェスティヴァル”は、豊かな歴史を誇る野外ジャズ祭のひとつです。1958年にはマイルス・デイヴィスがジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンスを含むグループで出演し、絶賛を博しています(当日の模様はCD『アット・ニューポート1958』に収録)。それから丁度50年後の2008年、クリスチャン・スコットは自己のグループを率いてニューポートのステージに登場しました。“マイルスと比べられるのは光栄だよ。彼のことは尊敬しているし、よく話も聞いている。叔父のドナルド・ハリソンがマイルスの親友だったからね”と語るクリスチャンには、早くも大物の風格が漂います。



● "Died in Love"

ニューポート・ジャズ祭からの映像です。この「ダイド・イン・ラヴ」は、射殺された友人夫婦に捧げたクリスチャンのオリジナル曲。訴えかけるようなトランペットの音色がバンド全体を牽引します。彼が敬愛してやまないジョン・コルトレーンやチャールズ・ミンガスの音楽に通じる“熱い主張”がうかがえるパフォーマンスです。


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