BlueNote TOKYO

'11 Bloggin' BNT by 原田和典 , THE SOUND STYLISTICS - - report : THE SOU...

2010/09/18

ザ・サウンド・スタイリスティックス - THE SOUND STYLISTICS
ザ・サウンド・スタイリスティックス - THE SOUND STYLISTICS


公演初日リポート:THE SOUND STYLISTICS



アメリカにはザ・スタイリスティックスという老舗の男性ヴォーカル・グループがありますが、昨日から「ブルーノート東京」に出演しているザ・サウンド・スタイリスティックスはUKを代表する凄腕ミュージシャンが集まったジャズ・ファンクのドリーム・チームです。

もともとはレコーディングのためのプロジェクトだったそうですが、「一緒に演奏しているとあまりにも気分がいいので、ライヴ活動も始めることにした」とのこと。ぼくの20年間の音楽ライター歴で判断するに、こういうバンドにハズレはありません。ミュージシャンたちの「俺はこいつと演奏したいんだ!」、「俺はこのバンドが好きなんだ!」という意志は必ず音になって現れ、その音にこめられた情熱が、聴き手の心に一直線に届くからです。

ステージ上に6人の管楽器奏者が並ぶ図は本当に壮観でした。2本ずつのトランペット、トロンボーン、サックスが、山のように盛られたかっこいいフレーズをビッグ・トーンで次々と奏でていきます。それをオルガン、ギター、ドラムス、ベース、パーカッションで構成されたリズム隊がタイトにサポートし、演奏はやがて火の出るような展開となります。

テナー・サックス、バリトン・サックス、フルートを使い分けながらアンサンブルに彩りを加えるアンドリュー・ロス、ダン・カーペンターの突き刺さるようなハイノート・トランペット、“ザ・グルーヴ・ギャングスタ”という異名の通り、怖いほどノリまくっていたパーカッション奏者のピーター・エクフォード、みんなファンクの神が乗り移ったかのようでした。元インコグニートのドミニク・グローヴァーはトランペットのほか、指揮やMCでも大活躍。彼の仕切りの元で、全メンバーが羽根を伸ばしてプレイしているのです。

ジャズ・ファンク好きはもちろんのこと、シカゴやチェイス等のブラス・ロック・ファン、70年代のメイナード・ファーガソン・オーケストラやバディ・リッチ・オーケストラのファン、デオダートのファン、タワー・オブ・パワーのファンなど、あらゆるグルーヴ・ミュージック好きが喜ぶに違いないサウンドで、クラブは満たされました。

もちろん硬軟たくみな名手揃いだけあって、単にノリ一発のナンバーだけをプレイしていたわけではありません。リズム・セクションだけのナンバーがあるかと思えば、トロンボーン・バトルをフィーチャーした曲もあり、フルートとフェンダー・ローズでシットリと迫るナンバーもありました。だけど、どんな曲にも強烈なグルーヴが脈打っています。

彼らはまだまだ、日本では有名になろうとしている最中です。耳ざといひとが集まったのでしょう、客席のノリは最高でしたが、残念ながら有名ベテラン・アーティストが出演するときのような満員御礼ではありませんでした。しかし「ネーム・ヴァリューではなく、音楽そのもの」を聴きにくる方なら、ザ・サウンド・スタイリスティックスの熱演に裏切られることは絶対にないといえましょう。(原田 2010 / 9/17)


● 9.17fri.-9.19sun.
THE SOUND STYLISTICS


ザ・サウンド・スタイリスティックス - THE SOUND STYLISTICS