BlueNote TOKYO

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , RICHARD GALLIANO - - report : RICHARD...

2012/09/21

リシャール・ガリアーノ - RICHARD GALLIANO
リシャール・ガリアーノ - RICHARD GALLIANO


公演初日リポート:
RICHARD GALLIANO "PIAZZOLLA FOREVER"
- 20th Anniversary Tour -
with special guest Naoko Terai


この2012年は、“タンゴの革命児”アストル・ピアソラの没後20年にあたります。世界各地で様々なイベントが開催されていますが、「ブルーノート東京」でも、心に迫るライヴが行なわれています。現代屈指のアコーディオン/バンドネオン奏者、リシャール・ガリアーノ率いる“ピアソラ・フォーエヴァー”によるトリビュート公演です。

ガリアーノは今から30年以上前にピアソラと初めて出会い、シャンゼリゼ劇場で行なわれたピアソラ五重奏団のコンサートに参加。1983年にはコメディ・フランセーズで上演された「真夏の夜の夢」等で共演し、その後もピアソラが亡くなるまで交流を続けました。「君は私に似ているね。私は新しいタンゴを創り、君は新しいミュゼットを創っている」とピアソラに言われたことは、ガリアーノにとって最も印象的な出来事のひとつであるそうです。

ステージには左からヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ピアノ(客席に背中を向けて演奏)の順に並びます。そしてガリアーノは前面中央に位置し、アコーディオン(ボタン式)、バンドネオン、そしてアコーディーナ(鍵盤ハーモニカの一種)を使い分けます。メンバーは全員、黒を基調としたシックな衣装。それが赤を強調したライティングと相乗して、なんともいえない情熱的な雰囲気を生み出します。「OBLIVION」におけるハーモニーの美しさに、鳥肌が立ちました。

ガリアーノのプレイは“達人の至芸”というしかないものでした。蛇腹楽器から、どうしてこんなに人の声のような響きが出せるのか。目を疑わずにはいられませんでした。ヴァイオリンのセバスチャン・シュレルも随所にフィーチャーされていましたが、伸びのある音色、すすり泣くようなフレーズに接して、彼の存在感を改めて頭に刻み込んだオーディエンスは相当数、いらっしゃるのではないかと思います。

ガリアーノを迎えたアルバム『リベルタンゴ・イン・トーキョー』が好評のスペシャル・ゲスト、ヴァイオリン奏者の寺井尚子はプログラム後半に登場しました。いきなりデュオで「MILONGA DEL ANGEL」(天使のミロンガ)を聴かせるあたり、心にくい選曲というしかありません。「NEW YORK TANGO」からは全員のセッションになりましたが、ユニゾンもアンサンブルも“一糸乱れぬ”という表現がぴったり。“ピアソラ愛”に溢れた演奏の数々に、会場の拍手と声援が鳴りやむことはありませんでした。
(原田 2012 9.20)


● 9.20thu.-9.22sat.
RICHARD GALLIANO "PIAZZOLLA FOREVER"
- 20th Anniversary Tour -
with special guest Naoko Terai
☆ 参考:セットリストはこちら


リシャール・ガリアーノ - RICHARD GALLIANO


RICHARD GALLIANO - ☆ P+M映像 : RICHA...

2010/06/07

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☆ RICHARD GALLIANO FRENCH TOUCH TRIO

フランスの大衆音楽である“ミュゼット”をジャズ、タンゴ、
ブラジル音楽、ラテンを融合させてワン&オンリーのサウンドを
生み出してきたボタン・アコーディオンの第一人者、
カンヌ出身のリシャール・ガリアーノ。
“フレンチ・タッチ・トリオ” 公演の
初日のパフォーマンス&メッセージ映像をアップしました!
公演は6.10thu. まで。




●6.7mon.-6.10thu.
RICHARD GALLIANO FRENCH TOUCH TRIO



'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , RICHARD GALLIANO - - report : RICHARD...

リシャール・ガリアーノ-RICHARD GALLIANO
リシャール・ガリアーノ-RICHARD GALLIANO


公演初日リポート:RICHARD GALLIANO FRENCH TOUCH TRIO



“1秒たりとも聴き逃せない”とは、こういうステージに対して使う表現なのだと思います。
溢れんばかりの美しすぎるメロディ、メロディ、メロディ。そして奥行きのあるハーモニーとリズム。そこにユーモアと洒落た風格(これが本物のエスプリというものなのでしょう)が加わった世界は、まさしくワン&オンリー。万雷の拍手に包まれながら高揚した面持ちでステージを降りるリシャール・ガリアーノに、ぼくは“ブラボー、マエストロ!”と声をかけたくなりました。

ガリアーノが演奏するのはボタン式アコーディオンです。大抵のアコーディオン奏者は椅子に座ってプレイします。しかしガリアーノは、楽器をより心臓(ハート)に近づけるかのように、楽器を抱えながら立って演奏します。アコーディオンはもともと大変に形状の美しい楽器です。それがガリアーノの手にかかると、魔法の道具にも変化します。すべての指が自由自在に楽器の上を動き、すべての音が彼の“声”となって客席に伝わります。ボタン式鍵盤は遠目から見ると真珠のようにキラキラと光っています。

もちろん“フレンチ・タッチ・トリオ”の構成員であるギターのジャン・マリー・エカイ、ベースのジャン・フィリップ・ヴィレも密度の濃いプレイを聴かせてくれました。ヴィレはコントラバス・アンサンブル“オルケストラ・ド・コントラバス”での超絶的なアルコ(弓弾き)でも知られていますが、この日はピチカート(指弾き)を中心に痛快にスイングしていました。エカイはフュージョンもロックも何でもこなす奏者ですが、この日はアコースティック・ギターに専念し、ロマンティックなプレイでガリアーノのアコーディオンを引き立てておりました。

ステージはトリオ演奏のほか、ギターやベースとのデュオ、無伴奏アコーディオン・ソロ、口笛とのユニゾン、そして“歌口のついたそろばん”と形容したくなる珍しい楽器=アコーディーナによるパフォーマンスなど、多彩な内容で構成されていました。ガリアーノは、あのアストル・ピアソラにも賞賛された巨匠です。もっと偉そうに振舞っても、誰も文句のいえないレベルに達した存在です。しかし彼は本当に謙虚そのもの、オーディエンスひとりひとりの心に届くように誠心誠意、演奏します。

実をいうとぼくがガリアーノのライヴに接したのはこれが初めてです。何度か来日している人気アーティストなのに、なぜか生を見る縁がなかったのです。だけど今回、ステージを体感できて本当によかった。ますますガリアーノの音楽が好きになりました。こういうことがあるから、ライヴ・ウォッチングは本当にやめられません。公演は10日まで続きます。皆さんもぜひ、ガリアーノの魔術に酔いしれてください!
(原田 2010/6/7)

 
● 6.7mon.-6.10thu.
RICHARD GALLIANO FRENCH TOUCH TRIO


リシャール・ガリアーノ-RICHARD GALLIANO