BlueNote TOKYO
ARCHIVE 2009/07

2009/07/31

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 - - 公演レビュー:B...

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公演レビュー:BOBBY HUTCHERSON



ぼくとボビー・ハッチャーソンの距離が一気に近くなったのは’90年代の中ごろです。

ブルーノート・レコードの作品がオリジナル・アナログ番号順にCD化されることになったときに、ライナーノーツの依頼を大量にいただいたのがきっかけでした。まるで何かのめぐり合わせのように、発注を受けた殆どのアルバムにハッチャーソンの名がクレジットされていたのです。これは縁だと思い、彼の作品をすべて残らず聴いておこうと決意、予算の許す限り参加作品を購入し、しばらくのあいだ朝から晩までハッチャーソン漬けの日々を過ごしました。

おかげで、中学生の頃から好きだった彼の音楽が更に好きになり、そうなると不思議なもので、ハッチャーソンに関してライナーノーツや雑誌やフライヤー等について書かせていただける機会がさらに増えてきて、いまもこうして彼について、今度のライヴに限りない期待を寄せながら、わくわくしつつ文章をしたためているわけです。

美しくみずみずしい音色、歌心と緊張感が入り混じったフレーズ作り、リズム感の鋭さ、メロディアスでかっこいい曲作りなどなど、ハッチャーソンの魅力は尽きません。が、なにしろあと1週間ほどで来日するのです。ぼくがグダグダと説明するよりも、ライヴで彼のプレイを目の当たりにしていただくのが絶対に一番です。
なので今回は、「これを事前に聴いておくとハッチャーソンのライヴがさらに楽しくなる10枚」を、独断と偏見を混ぜながら、そっと紹介させていただくことにいたしましょう。


その1:『ダイアローグ』(Blue Note)
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記念すべきハッチャーソンのファースト・アルバムです。ぼくは、ラテン調の「カッタ」に引き込まれました。アンドリュー・ヒルの力強いピアノや、サックス奏者サム・リヴァースとの絡みにも、ぞくぞくさせられます。



その2:『ハプニングス』(Blue Note)
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Bobby Hutcherson - Happenings

ハッチャーソンの代表作であると同時に、’60年代ジャズの金字塔です。「ヘッド・スタート」、「アクエリアン・ムーン」、「処女航海」などなど、名曲名演が詰まった、まさしく名盤。ハービー・ハンコックのピアノもかっこいい!



その3:『オブリーク』(Blue Note)
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ひょっとしたら入手が難しいかもしれません。こちらにもハービー・ハンコックが参加。隠れ名曲「ティル・ゼン」や、映画『欲望』のメイン・テーマなどを聴くことができます。ジョー・チェンバースの涼やかなドラムスも絶品。



その4:『スティック・アップ』(Blue Note)
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Bobby Hutcherson - Stick Up!

ジョー・ヘンダーソンが吹くテナー・サックスの音色と、ハッチャーソンのヴィブラフォンが絶妙にブレンドしています。オーネット・コールマン作「ウナ・ムイ・ボニータ」の躍動感に、体が揺れます。



その5:『モザイク・セレクト』(Mosaic)
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‘70年代、Blue Noteに吹き込んだスタジオ録音をまとめた3枚組CDです。「3枚組はヘビーだなあ」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、とにかく曲調もサウンドも多彩で飽きさせません。ハッチャーソンはマリンバも演奏しています。



その5:ライヴ・アット・モントルー(Blue Note)
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作品数の割にハッチャーソンのライヴ盤は少ないので貴重です。もちろん、内容も熱い! 伝説のトランペッター、ウディ・ショウとのコンビネーションは空前絶後のものすごさ。「嵐を呼ぶヴィブラフォン」を120%体感できます。



その7:『モンタラ』(Blue Note)
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カル・ジェイダーやデイヴ・パイクの例を出すまでもなく、ヴィブラフォンとラテンの相性は絶品です。そしてハッチャーソンがラテン・ジャズに取り組むと、そこに深いブルース・フィーリングが加わり、いっそう味にコクが出ます。旨いです、ご賞味あれ。



その8:『ソロ/カルテット』(Contemporary)
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前半はハッチャーソンの無伴奏ソロです。「ヴィブラフォンからこんなに多彩な音が出せるのか」と驚くのは、ぼくだけではないでしょう。彼の音楽性の広さが全開です。後半は盟友マッコイ・タイナーを加えた編成で、アコースティック・ジャズの王道を行きます。



その9:『アンボス・ムンドス』(Landmark)
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ラテン・プロジェクトの第2弾です。タイトルは「両方の世界」という意味で、ジャズのスリルとラテンの熱狂がひとつになった本アルバムの内容を的確に言い表しています。ライヴの定番レパートリーである「ポンポニオ」も収録。



その10:『スカイライン』(Verve)
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60年代ブルーノート・サウンドを限りなく愛するリチャード・サイデルのプロデュース作品。ケニー・ギャレットやジェリ・アレンをメンバーに迎え、ハッチャーソンが気合満点のプレイを聴かせてくれます。巨匠の健在を伝える1枚です。


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ライヴの余韻がさめやらぬ9月16日には、名曲「リトル・Bズ・ポエム」の初演を含むアルバム『コンポーネンツ』(EMIミュージック・ジャパン)が国内初CD化されます。これも、とてもいいアルバムです(不肖ぼくが解説を書かせていただいております)。ライヴでもきっと、ここからの曲を演奏してくれることでしょう。
また、今日届いたボビーさんからのメッセージによると、なんと最近コルトレーンの曲に取り組んでいたようですね、これまた楽しみです!!
(メッセージはこちら → http://www.bluenote.co.jp/jp/sp/090806.html#message


● 8/6 - 10
BOBBY HUTCHERSON QUARTET featuring RENEE ROSNES



2009/07/27

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 - - report : ROBERTA...

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ROBERTA FLACK-ロバータ・フラック


原田和典の公演初日リポート:ROBERTA FLACK


あのスーパースター、ロバータ・フラックをクラブで聴ける。
これは世界的な快挙です。ものすごいぜいたくです。各国のファンが、必ずうらやましがります。

バンドが2曲プレイした後、マイケル・ジャクソンの名曲「YOU ARE NOT ALONE」を歌いながら、ロバータが客席から現れます。女王の堂々たる登場に場内、割れんばかりの拍手です。
歌い終わった後、ロバータはマイケルとの思い出を語ります。一緒に歌った映像(「WHEN WE GROW UP」)がYouTubeにアップされていることにも触れながら、「当時マイケルは12歳で、私は(ここだけ小声で)13歳だったわ」と、ジョークを入れることも忘れません。

そして次に「やさしく歌って」(KILLING ME SOFTLY WITH HIS SONG)。ロバータといえばこれ、というぐらい代表的なナンバーです。ぼくも当然のことながらこの曲を楽しみにしてクラブに向かったのですが、ラスト・ナンバーかアンコールで歌ってくれるだろうと思っていました。なのに、もう飛び出してしまったのですから、びっくりです。出し惜しみをしないというか、気前が良いというか。もちろん出来栄えも最高でした。70年代のロバータが歌った「やさしく歌って」はCDでいつでも聴くことができますし、今もラジオでよくかかっています。TVコマーシャルで使われたこともあると記憶しています。が、いま現在のロバータが歌う、さらに味わいを増した「やさしく歌って」は、ライヴでしか味わうことができません。それだけでぼくは、このステージに接することができてよかったなあと心から思うのです。

ロバータの気前の良さはまだまだ続き、次にキャロル・キングの書いた(最近はエイミー・ワインハウスも歌っていますね)「WILL YOU STILL LOVE ME TOMORROW」を取り上げてくれました。“今夜、あなたの目には愛の光が差している。言葉を使わずに「君だけだよ」って言ってくれる。でも、明日も私のことを愛してくれるの?”と歌うロバータは、まるで乙女です。やわらかな歌の合間に、バンマスを務めるシェルトン・ベクトンのキーボードが絶妙な合いの手を入れます。

そして次は、これまたお待ちかねの「愛のセレブレーション」(TONIGHT, I CELEBRATE MY LOVE)。ロバータとピーボ・ブライソンのデュエットで大ヒットしましたね。ピーボのソロ公演でもこの曲は必ず歌われますが、ロバータにとっても大切なレパートリーです。この日はデリック・ヒューズとのデュエットで聴かせてくれました。いやー、素晴らしい。なんて美しいメロディなんだというしかありません。ベタといえばベタなのですが、この、“予想通りに感動させてくれる展開”がたまらなく好きだ、というファンは、ぼく以外にも溢れるほどいらっしゃることでしょう。

もちろん「愛のためいき」(FEEL LIKE MAKIN' LOVE)も、「愛は面影の中に」(THE FIRST TIME EVER I SAW YOUR FACE)も歌ってくれました。名曲の数々に心が和み、たまらなくいい気持ちになります。
すごい名曲だよね、レコードやCDで何度も聴いたよ、という方も多いことでしょう。だけどもう一度いいますが、今のロバータが表現するこれらのナンバーは、ライヴでしか味わえません。現在も彼女は珠玉のナンバーを丁寧に丁寧に歌い、新たな息吹を加えています(新曲と共に)。その境地を、ぜひ間近で堪能していただきたいと思うのです(ライブの写真撮影がNGのようですので、写真掲載ができないそうです、ごめんなさい)。
(原田 2009/7/26)

ROBERTA FLACK
7/26 sun - 8/1 sat
(off - 7/29 wed.)



2009/07/24

LEE RITENOUR - - どちらがお目当...

LEE RITENOUR-リー・リトナー

LEE RITENOUR-リー・リトナー width=



LEE RITENOUR GROUP with special guest ANNEKEI : 充実のステージをお約束します


『次回は、アンナケイと一緒にくるよ。彼女はすばらしい才能の持ち主さ。』
りーさんが楽しげに語ってくれたのは、昨年9月の来日時でした。
リー・リトナー がプロデュースするアンナケイのプロジェクトはすでにその時始動してました。

アンナケイは昨今、話題をひとり占めした新作『Touch』アンナケイ - タッチ
の世界を今夏ブルーノート東京のステージにて、そのアルバムのプロデューサー率いる豪華バンドと披露します。

そして、今回の公演、リー・リトナー・グループは、惜しげもなく往年の名曲を連発するという宣言が、リーから届いたメッセージから届いてます。
http://www.bluenote.co.jp/jp/sp/090811.html#message


充実の内容が約束された今回のステージ、
リーさんお目当てでも、アンナさんお目当てでも、
きっと彼らはすべてに於いて、必ず楽しませてくれるはずです!

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***今年5月、プロモーション来日時のワンシーン



● 今回はこの曲の演奏に期待。 ♪ Mr. Briefcase





● こちらもリトナーのスーパー・ソロ炸裂か!?豪華メンツでのパフォーマンス映像
♪ CAPTAIN FINGERS





● 伝家の宝刀『Red Guitar』 炸裂! "Smoke 'n' Mirror"





● ♪ "Is It You ?"





● ♪Night Rhythms






● ♪ Rio Funk




● Larry Carlton との共演!  ♪Room 335



→ LARRY CARLTON、10月に出演!: http://www.bluenote.co.jp/jp/sp/091010.html



● GEORGE BENSON & LEE RITENOUR  ♪WES MONTGOMERY TRIBUTE





● Annekei アルバム・レコーディングのメイキング ♪"Touch" PART I





● Annekei ♪Showtime at the Apollo (2003)



2009/07/23

CLEMENTINE - ☆ P+M映像:CLEMEN...

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☆ CLEMENTINE


納涼!
フレンチ・ポップの世界のみならず、バラエティ豊かなステージングで楽しませてくれる
クレモンティーヌ公演は 7/25 sat. まで。








● CLEMENTINE
7/22 wed. - 7/25 sat.

- 特別プラン、ショコラ・エ・スイーツ 2009 も好評を頂いております。
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- 音楽ジャーナリスト・原田和典氏のライブ・レポートはこちら



'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , CLEMENTINE - - report : CLEMENT...

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クレモンティーヌ-CLEMENTINE



原田和典の公演初日レポート:CLEMENTINE



フランスの歌姫、クレモンティーヌさんの公演が始まりました。

僕は初めて彼女の歌を聴いたのは1980年代の半ばだったと記憶します。FM放送でアルバム『コンティノン・ブリュー』からの曲を耳にして、“フランス語でジャズを歌う、渋い新人が出てきたな”と思ったものです。そうです、デビューしたてのクレモンティーヌは、ストイックとすらいえるジャズ・シンガーでした。それに当時の日本では、フランス語の歌は現在ほどポピュラーではなかった気がします(シャンソンは別として)。

しかし今は、TVコマーシャルひとつとってもフランス語の歌がごく当たり前に聴こえてくる世の中です。クレモンティーヌも活動を続けるうちに、領域をどんどん広げていきました。いわゆるJ-POP系ミュージシャンとのコラボレーションを始め、ボサ・ノヴァへの取り組み、シャンソンの再解釈などなど、そのすべてを彼女は、あの一度聴いたら忘れられないウィスパー・ヴォイスで鮮やかにこなしてきました。最近はNHK教育テレビのフランス語講座でもおなじみですね。

いまやクレモンティーヌは日本のファンに最も親しまれているフレンチ・アーティストのひとりです。彼女の歌を聴いて、自分とフランスとの距離が一気に狭くなったという方は、ぼくのほかにもたくさんいらっしゃるはずです。

この日のライヴも、“フランス大使”クレモンティーヌの魅力満開でした。ボサ・ノヴァ調にリメイクされた「ラ・メール」、ジャジーな「枯葉」、8ビートの「バラ色の人生」、流暢な日本語MCに続いて歌われた「サン・トワ・マミー」、合唱が巻き起こった「オー・シャンゼリゼ」・・・・。フランスの曲っていいなあ、心ときめくなあ、と、ぼくは改めて、その響きに酔いしれるのでした。ライヴ中盤では「クレモンティーヌのフランス語講座」というコーナーも飛び出して、選ばれたオーディエンスがステージで彼女にフランス語の特訓(!?)を受けるという場面もありました。

かと思えばマイケル・ジャクソンの「ビリー・ジーン」や中島みゆきの「悪女」をカヴァーしたり、槙原敬之やゴンチチの提供曲を歌ったり。エンターテイナー=クレモンティーヌの多彩な輝きが、ひとつのプログラムにギュッと凝縮されている。この日のステージに接して、ぼくはそんな印象を持ちました。

もちろんバック・バンドも極上です。なかでもぼくはピアノ&フェンダー・ローズのローラン・ジ・オリヴェイラ、ジョー・ザヴィヌルと来日したことのあるジョルジ・ベゼーラのパーカッションに惹かれました。クレモンティーヌのウィスパー・ヴォイスを巧みに引き立てる彼らの熟練の技に乾杯です。

公演開催中には、彼女の新作にちなんで“ショコラ・エ・スイーツ2009”というデザートプレートも用意されております。ショコラをふんだんに取り入れたデザートを味わいながら、甘くスタイリッシュな音楽に浸ると、どこからかパリのそよ風が吹いてくるような・・・・
(原田 2009/7/22)

7/22 wed. - 7/25 sat.
CLEMENTINE

クレモンティーヌ-CLEMENTINE



2009/07/22

ROBERTA FLACK - - やさしく歌うわ

ROBERTA FLACK-ロバータ・フラック

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ROBERTA FLACK : やさしく歌うわ♥


下記、ロバータ・フラックから届いたメッセージです。


Hi everybody!
where is the love?
I feel like makin`love and ....I promise not to kill you softly,

so meet me at the Blue Note tonight, I celebrate my love for you ,

We`ll be back together again and I`ll remind you of the first time ever I saw your face....your love ...your love

Roberta Flack


なんと心ときめかされるメッセージでしょう。
あの独特のハイトーン・ヴォイスをもって、
公演では果たしてどれだけのヒット曲を聞かせてくれるのでしょうか。

かつて、オーディエンスのすばらしい反応に感激し、涙ぐんで歌えない、という客席と一体となった感動的なシーンも
あったロバータ・フラックのライブ。
公演初日はもうすぐそこです。



● 伝家の宝刀・ ♪ Killing Me Softly





● ♪ Back Together Again





● ♪ Imagine





● ♪ The First time ever





● ♪ The First time ever I saw your face / with India Arie





● ♪ The First time ever I saw your face /performed by Leona Lewis
:レオナ・ルイスによるカバー。世代を超え、
永遠に後世まで歌われる名曲であることの証明に見えてならない。





● ♪ Killing Me Softly / performed by Fugees
:メガヒットを記録した名曲カバー。
 あらためて、ロバータの楽曲のすばらしさが再認識された '90年代のできごと。




● ♪ Killing Me Softly - with Laruryn Hill



BOBBY HUTCHERSON - - いぶし銀

BOBBY HUTCHERSON-ボビー・ハッチャーソン\

BOBBY HUTCHERSON-ボビー・ハッチャーソン width=



BOBBY HUTCHERSON : いぶし銀


銀盤の音色をあやつるベテラン魔術師、
ボビー・ハッチャーソン。
ビブラフォンの世界では "師範" の域にいるプレイヤー。
ここで100の説明をするよりも、動画をご堪能頂ければと思います。




● ♪Teddy
:ロン・カーターがベースです。





● with MILT JACKSON !! ♪JUST FRIENDS





● McCoy Tyner e Bobby Hutcherson ♪African Village Part 1





● ♪BOUQUET

● 多くの DJ / リミキサーによって幾度となくボビーの名曲、♪Montara




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