BlueNote TOKYO

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , DIONNE WARWICK - - report : DIONNE ...

2012/07/20

ディオンヌ・ワーウィック - DIONNE WARWICK
ディオンヌ・ワーウィック - DIONNE WARWICK


公演初日リポート:
DIONNE WARWICK


世界の大エンターテイナー、ディオンヌ・ワーウィックのショウが昨日から始まっています。

なにしろ数々のミリオン・セラーを持つ大御所です。そのステージを至近距離で味わえること自体、世界的にも稀です。人間国宝と言っていいでしょう。それだけにぼくは、いささか緊張の面持ちでクラブに足を運びました。

しかしディオンヌは、素敵なトークと軽快な振る舞いで、一気に場の空気を和ませてくれます。「昔の歌も最近の歌も、ミリオン・セラーの曲もそうでない曲も歌います。知っている曲があったら一緒に口ずさんで、手拍子してくださいね。Hang Loose!」
気楽に楽しんでね、というわけです。「何を歌うかは、当日来てくださったお客様だけにお知らせしたい」という要望から、ここではタイトルを挙げませんが、とにかく名曲のオンパレードです。ぼくは「ああ、この曲もディオンヌの持ち歌だったのか」、「こんな曲もディオンヌのヴォーカルで聴けるのか」等、感慨深くライヴを楽しみました。

もちろん、彼女の名前を世界に広めたバート・バカラックのナンバーも数多く登場します。半世紀前のレコードとは歌い方が異なるところもありますが、音楽が生き物である以上、当然のことだと思います。ぼくは今のディオンヌにも深い魅力を覚えます。昔は「歌を歌っている」という雰囲気だったのが、今は「歌を完全に自分の一部にしている」という感じなのです。

伴奏ミュージシャンたちの演奏も、サポートのお手本というべき見事なものでした。「歌を引き立てる」ということを熟知している腕利きが集まると、こんなに気持ちいい音が出せるのです。もちろんディオンヌの歌声も冴え渡っていました。あの巧みなマイクの使い方は、多くの歌手志望者の参考にもなることでしょう。
公演はあさってまで続きます。こんなぜいたくで安らかなひとときが、東京にいながらにして楽しめる・・・これは本当にすごいことです。
(原田 2012 7.19)


● 7.19thu.-7.21sat.
DIONNE WARWICK


ディオンヌ・ワーウィック - DIONNE WARWICK


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , DIONNE WARWICK - - report : DIONNE ...

2011/06/03

ディオンヌ・ワーウィック - DIONNE WARWICK
ディオンヌ・ワーウィック - DIONNE WARWICK


公演初日リポート:DIONNE WARWICK


会場に着くと、いつもよりもさらにフォーマルでシックな雰囲気が感じられます。スーツをパリッと着こなした方も目立ちます。なにしろ世紀のエンターテイナー、ディオンヌ・ワーウィックの公演です。聴く側としても目いっぱい気合を入れて、おしゃれして、襟を正して、至高のパフォーマンスに触れたくなろうというものです。

場内が暗くなり、バンド・メンバーが登場します。全員がスーツ姿で、蝶ネクタイをしめています。少し遅れて、貴婦人ディオンヌが姿を現しました。ステージに立ち、まずトーク。「Gambare, Nippon!」というそのMCの中でのメッセージは感動すら覚え、強い想いをもっての来日であることを感じました。1曲目は「WALK ON BY」。いきなり大ヒット・ナンバーが飛び出して、客席は一気に盛り上がります。5度のグラミー賞に輝き、あの「WE ARE THE WORLD」の中心人物でもあるディオンヌですが、ステージ上の彼女には大スターの気取りや、近づきにくいところはまったくありません。名曲を次々と歌い、トークで観客をなごませ、ユーモアたっぷりのジェスチャーを交えながら、楽しく親しみやすい“ディオンヌ・ワールド”を繰り広げてゆきます。とにかく、歌われる曲のほとんどすべてが大ヒット・ナンバーなのです。いかにディオンヌが長い間、世界中で愛されてきたかを痛感させられました。そして、そんな彼女が今、この時世に日本に来て、しかも至近距離で歌ってくれることに感謝したくなりました。

ステージ中盤ではボサ・ノヴァ〜ラテン系のナンバーを中心に熱唱。ブラジル出身のパーカッション奏者、レナート・ブラザの技も光ります。「DO YOU KNOW THE WAY FROM SAN JOSE」は大ヒットした往年のヴァージョンとは異なり、サルサ風のアレンジで歌われました。

プログラム後半は“バラード・タイム”といったところでしょうか。新作『ONLY TRUST YOUR HEART』からのレパートリーを中心に、決して60〜70年代には求め得なかったであろう円熟の歌声を聴かせてくれました。

公演はあさってまで続きます。不世出のエンターテイナー、ディオンヌのステージは、すべての音楽ファンに笑顔と優しさを運んでくれることでしょう。
(原田 2011.6.2)




● 6.2thu.-6.4sat.
DIONNE WARWICK


ディオンヌ・ワーウィック - DIONNE WARWICK


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , DIONNE WARWICK - - report : DIONNE ...

2009/12/15

ディオンヌ・ワーウィック-DIONNE WARWICK
ディオンヌ・ワーウィック-DIONNE WARWICK


公演初日リポート:DIONNE WARWICK


ついにこの日が来ました。ディオンヌ・ワーウィックの公演です。
‘72年以来、何度か来日しているディオンヌですが、ジャズ・クラブでのパフォーマンスは、もちろん今回が初めてです。世界のエンターテインメントのトップに立つ彼女を、こんな近くの距離で見聴きできるなんて、われわれはなんとラッキーなのでしょう。

愛息デヴィッド・エリオットが見事なオープニング・アクトを務めたあと、待ちに待った女王のステージが始まります。プログラムは、いきなりバート・バカラック・ナンバーで始まりました。さすがディオンヌ、ファンの心を一瞬にしてつかんでしまいます。
「Walk on By」、「I'll Never Fall in Love Again」、「I Say a Little Prayer」等が次々と登場、イントロが出ると同時に会場は沸きに沸きます。
皆さんはこれまで、いろんなライヴでいろんなミュージシャンが歌ったり演奏したりするバカラック・ナンバーを聴いてこられたことでしょう。しかしディオンヌの歌うバカラックには、そのどれとも違う重み、風格があります。ぼくも、ついに、ああやっと“正調”をナマで聴くことができた、という気持ちに満たされました。
だからといって彼女は別に'60年代と同じように歌っているわけではありません。声にはキャリア相応の渋み、年輪が加わり、メロディもフェイクされています。

とはいえ「なんだ、レコード通りに歌うわけじゃないのか」と解釈しては、ライヴを味わう醍醐味が半減します。'60年代には'60年代のディオンヌにしか表現できない世界があり、現在のディオンヌには現在のディオンヌだからこそ表出できる滋味に満ちているのです。

ぼくは2009年12月現在の彼女が歌う数々のラヴ・ソングに、時間を忘れて聴き入りました。ときおりジョークを交えながら、リラックスしつつ、でも丁寧に1曲1曲を歌い上げていくディオンヌ。ものすごい大スターのはずなのに、近寄りがたさは少しもありません。彼女はきっと、オーディエンス全員と握手するような気持ちでステージを繰り広げていたのでしょう。外の寒さを吹っ飛ばす、心底からだが暖まる公演でした。

※以下、マニアックな追加を・・・
デヴィッド・エリオットの父親は故ビル・エリオット(ドラムス)とのこと。ビル・エリオットのプレイは、オルガン奏者ジャック・マクダフの1960年作品『Tough ‘Duff』等で聴くことができます。
ソロ・デビュー前のディオンヌが聴ける音源がCD化されています。オルガン奏者ローダ・スコットの『ファンキー・ソウル・オルガン』という作品です。ディオンヌはザ・シャウターズというコーラス・グループの一員として参加(ディー・ディー・ワーウィックとの姉妹共演)。ゴリゴリのR&Bです。ちなみにドラムスはビル・エリオットが叩いています。
(原田 2009/12/14)




● 12/14mon.-12/16wed.
DIONNE WARWICK

ディオンヌ・ワーウィック-DIONNE WARWICK