BlueNote TOKYO

'11 Bloggin' BNT by 原田和典 , EARL KLUGH - - report : EARL KL...

2011/01/27

アール・クルー - EARL KLUGH
アール・クルー - EARL KLUGH


公演初日リポート:EARL KLUGH


アコースティック・ギターでフュージョンを演奏した元祖がアール・クルーである、といっていいでしょう。1970年代に彼がデビューしたときの状況は、まさに“彗星のような”という形容がぴったりでした。

彼は優しく、暖かく、さわやかなサウンドで、多くの聴き手をジャズ〜フュージョンの世界に案内してきました。その親しみやすさは今もまったく変わっていません。音作りはさらに熟成され、テクニックには一層の磨きがかかっています。流行や時流にとらわれず、自分の信じる音楽を追求し続ける姿勢には頭が下がります。

この日のステージは、近作『The Spice of Life』からの曲に‘70年代からの定番を交えたプログラムでおこなわれました。オープニングでいきなり、ドラマーがマーチング・リズムを打ち出します。大定番のひとつ「CABO FRIO」です。しかしアールの指先からは、往年のレコードにはなかったフレーズが次々と飛び出してきます。「2011年のCABO FRIO」に接して、ぼくはすっかりいい気分になりました。続く「OCEAN BLUE」は伝説のギタリスト、ウェス・モンゴメリーへのアールなりのトリビュートといったところでしょうか。ウェスの1960年代後半のアルバムに入っていそうな曲調を、ウェス譲りの親指を使ったオクターヴ奏法を披露します。指弾きによる美しい音色がトレードマークのアールですが、親指だけによるプレイもまた魅力的です。

ほかにもベース、ドラムスとのトリオによる「SAY A LITTLE PRAYER」、無伴奏ソロによる「LIKE A LOVER」など、とにかく盛りだくさんの内容でした。バンド・メンバーにも大きくスポットが当てられていて、初期からの人気レパートリーである「DR. MACUMBA」ではキーボード奏者のデヴィッド・スプラッドリーがヴォコーダーで客席を煽ります。ベースのアル・ターナーは「MOVIN'」でリード・メロディをとり、ドラムスのロン・オーティスも自身のソロ・アルバムからの「TAKE TIME」で思う存分活躍の場が与えられます。

もうひとつ忘れてはならないのがソプラノ・サックス、アルト・サックス、フルート、ピッコロに加え、口笛まで吹いたネルソン・ランジェールの貢献です。GRPに何枚もアルバムを残している彼ですが、来日は久しぶりではないでしょうか。オリジナル曲の「SONORA」は、ヘンリー・マンシーニの「ひまわり」やジョニー・マンデルの「いそしぎ」に通じる、こよなく美しいメロディを持つナンバー。ネルソンは口笛でしっとりと、文字通り歌いあげるように聴かせてくれました。「こんなふうに口笛が吹けたらどんなに楽しいだろう」と、ついうらやましくなってしまったのはぼくだけではないでしょう。
(原田 2011 1.26)



● 1.26wed.-1.29sat.
EARL KLUGH


●1.31mon. はコットンクラブにて公演


EARL KLUGH - アール・クルー


BOB JAMES , EARL KLUGH - ☆ P+M映像 : BOB J...

2010/01/07

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☆BOB JAMES & EARL KLUGH


グラミー賞を受賞したフュージョン/コンテンポラリー・ジャズの傑作で
タッグを組んだ名コンビ、名プロデューサー/キーボーディスト/ピアニストの
ボブ・ジェームスと、ガット・ギターの名手アール・クルー。
初日のパフォーマンス & メッセージ映像をアップしました。
名手同士ならではの洗練と成熟を極めたサウンド、
気心の知れた2人だからこそ生み出せる、心にぽっと灯りが灯されるような
温かみのあるサウンドとグルーヴをぜひ、ジャズ・クラブで体感してください。
ボブとアールの公演は1.10sun.まで。




●1.6wed.-1.10sun.
BOB JAMES & EARL KLUGH



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ボブ・ジェームス-BOB JAMES
ボブ・ジェームス-BOB JAMES


公演初日リポート:BOB JAMES & EARL KLUGH



スーパー・グループ“フォープレイ”、本田雅人とのコラボレーション、アジア系ミュージシャンとの“エンジェルズ・オブ・シャンハイ”、ヒップ・ホップDJロブ・スウィフトを擁するユニットなど、さまざまなフォーマットで「ブルーノート東京」を沸かせてきたボブ・ジェームス。今回の公演はまさに待望、アコースティック・ギターの名匠アール・クルーとのセッションです。ボブとアールは、グラミー賞に輝いた名盤『One On One』を筆頭に、『Two Of A Kind』、『Cool』といった共演作品を残しています。しかし一緒にステージに立つことは思いのほか少なく、日本公演も’98年以来12年ぶり。掛け値なしに貴重なセッションです。

ベースのアル・ターナー、ドラムスのロン・オーティスは、アールの'99年公演、ボブの2007年公演でもコンビを組んでいた精鋭。2大フュージョン・マスターのバックには最適のチームといえましょう。オープニングの「KARI」は、『One On One』の1曲目に収められていたアールの自作です。あのレコードをすりきれるまで聴いた、というファンはぼくだけではないと思いますが、サウンドのみずみずしさは往年と少しも変わっていません。やわらかなボブのピアノと、粒立ちの良いアールのナイロン弦ギターが絶妙に融合しながら、さわやかな世界を描きます。2曲目は、ボブ作の「FUGITIVE LIFE」。リズムを強調したファンキーなナンバーを、4人の腕達者はさらりと仕上げます。以降、アールとボブの曲がほぼ交互に演奏され、MCもふたりが仲良く分け合いました。一緒にプレイできることの嬉しさをわかちあうように、ボブとアールは会心のパフォーマンスを繰り広げました。

ところでボブは、「私はブルーノート・ガイなんだよ」と豪語するほど、ブルーノート東京と縁の深いアーティストです。後進の育成にも積極的な彼は、ダイナースクラブのジャズ・コンテスト「Jazz Session on YouTube」で審査員兼パフォーマンス・アーティストを務め、2月21日に当店で行なわれるファイナルイベントにも登場します。詳しくはダイナースクラブのホームページ(http://www.youtube.com/user/YTJazzJP)をご覧ください。応募期間は1月11日(月)まで。最終選考に残った方は、ひょっとしたらボブと共演できるかもしれませんよ。
(原田 2010/1/7)


● 2010 1.6wed.-1.10sun.
BOB JAMES & EARL KLUGH

ボブ・ジェームス-BOB JAMES