BlueNote TOKYO
ARCHIVE 2010/12

2010/12/27

COUNT BASIE ORCHESTRA - ☆ P+M映像 : COUNT...

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☆ COUNT BASIE ORCHESTRA directed by D.MACKREL special guest LEDISI

インコグニートの公演で幕を開けた2010年も早いもので残りあとわずか、
今年最後の公演は、来る2011年に結成75年を迎える名門ビッグ・バンド、
デニス・マクレル率いるカウント・ベイシー・オーケストラが
ソウル/R&Bの人気シンガー、レディシをスペシャル・ゲストに迎えて登場。
ぜひ年の瀬のひとときは、ビッグ・バンド・ジャズのダイナミックなサウンドと、
レディシのソウルフルなヴォーカルでお楽しみください。
※カウント・ダウン公演は完売
初日のパフォーマンス&メッセージ映像はこちらから。



● 12.26sun.-12.31fri.
COUNT BASIE ORCHESTRA directed by D.MACKREL special guest LEDISI



'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , COUNT BASIE ORCHESTRA - - report : THE LEG...

カウント・ベイシー・オーケストラ - COUNT BASIE ORCHESTRA
カウント・ベイシー・オーケストラ - COUNT BASIE ORCHESTRA


公演初日リポート:THE LEGENDARY COUNT BASIE ORCHESTRA directed by DENNIS MACKREL special guest LEDISI


ブルーノート東京、本年度のカウントダウン&ニュー・イヤーはビッグ・バンド・ジャズの王道を行く“ザ・レジェンダリー”カウント・ベイシー・オーケストラがお供します。スイング感、楽しさ、華やかさ、輝き、どれをとってもこれ以上年末年始にふさわしい存在はないといっていいでしょう。

ぼくはさっそく昨日おこなわれた初日のファースト・セットに行ってまいりましたが、とにかく気合の入ったステージです。新コンダクターに就任したデニス・マクレルの意気込みが全メンバーに伝わっているのでしょう、「APRIL IN PARIS」のような大オハコ・ナンバーも格別、新鮮に響きます。デニスの物腰柔らかなMC、ハリのある指揮ぶりもすっかり板についていて、「名門オーケストラの歴史は、こうして受け継がれていくのだなあ」と、なんともいえない感銘を受けました。

デニスは創設者カウント・ベイシー存命時代のベイシー楽団で、最後のドラマーを務めていまました。その後、サド・ジョーンズやフランク・フォスターがコンダクターの座を受け継いだときも、彼は心地よいリズムを送り出しておりました。しかし今回はドラムスを叩かず、指揮に専念しています。彼はいま、ベイシー楽団を率いることに全力を注いでいるのでしょう。

前半はインストゥルメンタル・ナンバーが続きます。フォスターの編曲した「IN A MELLOW TONE」では、サックス・セクションが見事なソリ(ソロの複数形)を披露。この響きこそアール・ウォーレンやマーシャル・ロイアルがいた頃から脈々と受け継がれてきたベイシー・サウンドのひとつです。

続いて、先日亡くなったサックス奏者、ジェームズ・ムーディに捧げて「HEY JIM」が演奏されました。ぼくの知る限りムーディとベイシーの直接的なつながりはありませんが、’50年代初頭のムーディ・バンドに編曲を提供していたのがクインシー・ジョーンズでした。そこでの業績が認められて後年、クインシーはベイシー楽団のメイン・アレンジャーのひとりに抜擢されるのです。ここでもデニスいわく“世界一のサックス・セクション”が圧巻でした。セロニアス・モンクの「WELL,YOU NEEDN’T」を意識したに違いない「WAY OUT BASIE」、デニスの代表的な作編曲として知られる「AND THAT'S THAT」は2代目リーダー、サド・ジョーンズ時代のレパートリーですね。このあたりの選曲は、ベイシー存命中と没後、オーケストラの両方の時代を知っているデニスならではのチョイスといったところでしょうか。

後半はレディシのヴォーカルが大きくフィーチャーされます。ゲストで2、3曲出てくるというのではない、十二分に満喫させてくれる時間と内容でした。R&Bの大御所として知られる彼女ですが、今回は身も心もジャズ・シンガーになりきっているようです。火を噴くようなスキャットは、熱心な彼女のファンをも驚かせ、興奮させることでしょう。

ベイシー楽団とレディシは今年の秋、「ブルーノート・ニューヨーク」でも共演し、大好評だったとききます。今、ニューヨークと同じセッションが日本で開催されることは殆どありません。ぜひ皆様、名門ビッグ・バンドとホットなヴォーカルの組み合わせで年末年始をお過ごしくださいませ。

(原田 2010 12.26)

● 12.26sun.-12.31fri.
THE LEGENDARY COUNT BASIE ORCHESTRA
directed by DENNIS MACKREL
special guest LEDISI



COUNT BASIE ORCHESTRA - カウント・ベイシー・オーケストラ


2010/12/22

PATTI AUSTIN - ☆ P+M映像 : PATTI...

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☆ PATTI AUSTIN

いよいよ今週はクリスマス、ブルーノート東京では
トップR&B/ジャズ・ヴォーカリスト、パティ・オースティンが公演中。
3歳でアポロ・シアターのステージに立つなど
幼い頃からその才能を発揮、クインシー・ジョーンズの秘蔵っ子として
彼のアルバムに参加する一方で自身のアルバム/シングルもヒット、
近年はジャズ・アルバムを発表して好評を博しているパティ。
今回はブラック・コンテンポラリー/AORのナンバーを中心に
披露する予定、ロマンティックなクリスマスになりそうだ。
初日のパフォーマンス&メッセージ映像はこちらから。



● 12.21tue.-12.25sat.
PATTI AUSTIN



'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , PATTI AUSTIN - - report : PATTI A...

PATTI AUSTIN - パティ・オースティン
PATTI AUSTIN - パティ・オースティン



公演初日リポート:PATTI AUSTIN


1年で最もロマンティックな時期を、最高峰の実力派シンガーのライヴで過ごす。そんな贅沢を、クリスマス・シーズンのブルーノート東京では楽しむことができます。

パティ・オースティンは3歳の頃から舞台に立っているそうです。生まれながらのエンターテイナーという表現がぴったりですね。ジョークを交えたMC、当意即妙のステージングも含めて、ファンを楽しませ、自分も楽しむことに全身全霊を注いでいるように感じられます。ジャズ系のスタンダード・ナンバーにもいい味を出す彼女ですが、今回はブラック・コンテンポラリー〜AOR系のサウンドを中心としたステージ。キャッチーなメロディ(「SAY YOU LOVE ME」を例に出すまでもなく、彼女は作曲家としても超一流なのです)、スケールの大きな歌いっぷり、声量の見事なコントロールにすっかり引き込まれてしまいました。

まるで1980年代にタイムスリップしたような「GIMME THE NIGHT」、「RAZZAMATTAZ」(どちらもクインシー・ジョーンズ関連曲ですね)、イントロが聴こえてきただけで猛烈な歓声と拍手が巻き起こった「SAY YOU LOVE ME」「BABY COME TO ME」等、極め付きのナンバーをパティは次々と歌いこなします。ツイン・キーボードを中心とするリズム・セクションも決して出しゃばることなく、しかし的確なプレイで彼女の歌声を盛りたてます。クリスマス・シーズンということで「WINTER WONDERLAND」、「HAVE YOURSELF A MERRY LITTLE CHRISTMAS」等のクリスマス・ソングも洒落たアレンジで披露。いまさらながら、クリスマス・ソングって本当に心あたたまるメロディだなあ、と思います。

しかしぼくが最も心を打たれたナンバーは大ヒット曲でもクリスマス・ソングでもありません。パティとジェームズ・イングラムが世に紹介し、トニー・ベネットもカヴァーした難曲「HOW DO YOU KEEP THE MUSIC PLAYING」と、パティ自身が“私にとって21世紀のアンセム(anthem)”と前置きして紹介した「LEAN ON ME」です。いずれも壮大な展開を持つバラードです。しかしパティは少しも大げさに表現することなく、ありあまる実力を巧みにセーブしながら、歌詞をじっくりと伝えてゆきます。ここまで深みのあるパティは、決して往年のアルバムでは聴けなかったといっていいでしょう。つねに第一線を歩みながら、円熟を重ねてきた現在のパティだからこそ表現できるのであろう“境地”に触れて、ぼくは改めて「いま、パティ・オースティンを生で聴ける幸せ」に浸りました。
(原田 2010 12.21)


● 12.21tue.-12.25sat.
PATTI AUSTIN


パティ・オースティン - PATTI AUSTIN


2010/12/18

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , 松居慶子 - - report : KEIKO M...

松居 慶子 - KEIKO MATSUI
松居 慶子 - KEIKO MATSUI


公演初日リポート:KEIKO MATSUI
-The Second Annual Keiko Matsui Christmas Show-


ワールドワイドに活躍するスムース・ジャズ界のスター、松居慶子のクリスマス・シーズン公演が始まりました。

彼女のウェブサイトを見ると、「よくもまあ、こんなに多くのライヴを!」といいたくなるほど、ツアーを繰り返していることがわかります。このブルーノート東京公演の前にも3週間のヨーロッパ・ツアーに出ていました(そのあたりのエピソードは、ぜひ実際の公演に足を運んで、彼女自身のMCでお楽しみください)。バンドの音がさらに緊密感を増したところで来日してくれた、といっていいでしょう。

1曲目は「MY FAVORITE THINGS」。ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」からのナンバーですね。一時期はJRのテレビコマーシャルでも使われていました。この曲を松居慶子は情熱的なアレンジで演奏します。エッジの立ったアコースティック・ピアノの音が、場内に響き渡ります。続く「DOLL」ではステージ前方に配置されたシンセサイザーを演奏。彼女はその他、曲によってショルダー・キーボードも弾き、客席に乱入してファンを大いに熱狂させました。

中盤では、来年1月25日に全米発売されるニュー・アルバム『THE ROAD...』からのナンバーも演奏されました。前作『MOYO』以来、約4年ぶりのレコーディングになるそうです。ニューヨークとロサンゼルスで録音し、リチャード・ボナとの合作も含むとのことですが、「THE ROAD...」、「AWAKENING」と収録曲が“プレミア演奏”されると、いやがおうにもリリースが待ち遠しくなります。もちろん新作には現在の松居慶子バンドによる演奏もたっぷり収められているとのことなので、こちらも楽しみです。

プログラム後半では、このライヴならではの特別企画としてクリスマス・ソングを演奏。「WE THREE KINGS」、ボサノヴァ調の「SANTA CLAUSE IS COMING TO TOWN」などを立て続けに楽しませてくれました。パーカッションのスティーヴ・リードがいつの間にかサンタクロースの帽子をかぶり、愛嬌をふりまいていたのもよかったですね。数々の小物を取り入れたパーカッション・セットを操るスティーヴのプレイは見ていて愉快、聴いて心地よく、松居慶子バンドのサウンドに深い奥行きを加えておりました。
(原田 2010 12.17)


● 12.17fri.-12.19sun.
KEIKO MATSUI
-The Second Annual Keiko Matsui Christmas Show-


松居 慶子 - KEIKO MATSUI


2010/12/14

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 - - report : SAM MOO...

サム・ムーア - SAM MOORE
サム・ムーア - SAM MOORE


公演初日リポート:SAM MOORE



ワン・アンド・オンリーの“ミスター・ソウルマン”、サム・ムーアが元気な姿を見せてくれました。
ホーン・セクション、リズム・セクション、バック・コーラス(みなさん、お綺麗です。サムの好みなのでしょうか)で構成された大所帯を従えての、貫禄あふれるステージです。音楽監督(バンマス)はサム・ファンにはもうすっかりおなじみ、ひょうきんベーシストのイヴァン・ボドリーが担当します。

インストゥルメンタルの「PETER GUNN」等、ノリノリのナンバーが続いたところで、「HOLD ON, I'M COMING」のメロディが演奏されます。途端、客席のボルテージは急上昇。本日のメイン・イヴェント、サム・ムーアのステージが始まるのです。以前の公演におけるサムは、「HOLD ON, I'M COMING」に乗って舞台に現れても、決して歌詞を歌いませんでした。「過去、飽きるほど歌ってきたので、もう歌う気はないんだ」というようなことを語っていたインタビューを読んだことがあります。しかしこの日は、軽くですが、ワン・コーラス歌ってくれました。たったひと声で、サムは観客をひきつけてしまいました。

「I THANK YOU」などサム&デイヴのヒット曲はもちろんのこと、ベン・E・キングの「DON'T PLAY THAT SONG」、レイ・チャールズの「I'VE GOT NEWS FOR YOU」等のR&Bクラシックスもサム流に解釈。ジャコ・パストリアスのアルバムにゲスト参加したときに歌った「COME ON, COME OVER」が出てきたのも嬉しかったですね。イヴァンのベースも、目を閉じて聴けば“伝説の天才”ジャコが弾いているかのように響きます。
サムは、たまにマイクから離れて生声で歌うのですが、これもまた絶品なのです。ゴスペルで鍛え、激動のR&B〜ソウル・ミュージック・シーンを疾走した持ち主の喉は、今も楽器の音を突き破って届いてくるほど鮮やかで、生き生きとしています。

熱いヴォーカルと、見事にまとまったバック・バンド、そしてファンの心を知り尽くした選曲。これまでサムの来日公演に何度も足を運んできた方、そして初めてサムを聴こうという方、両方を満足させてくれる内容だと思います。
(原田 2010/12/13)




● 12.13mon.-12.15wed.
SAM MOORE


サム・ムーア - SAM MOORE


2010/12/06

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , BOB JAMES , FOURPLAY , HARVEY MASON - - report : FOURPLA...

フォープレイ - FOURPLAY
フォープレイ - FOURPLAY


公演初日リポート:FOURPLAY



新生フォープレイが、最新作『レッツ・タッチ・ザ・スカイ』を携えてブルーノート東京に戻ってきました。

ボブ・ジェームス、ネイザン・イースト、ハーヴィー・メイソンという不動の顔ぶれに、今年から新ギタリストとしてチャック・ローブが参加。正直に申し上げて日本では前任のリー・リトナー、ラリー・カールトンほどの知名度は持ち合わせていませんが、西海岸にベースをおくふたりとは異なり、ニューヨークに生まれ育ち、モダン・ジャズの強いバックグラウンドを持つ(ジム・ホールに師事し、スタン・ゲッツのバンドで本格的なプロ入りを果たしました)チャックの加入は間違いなくフォープレイに新風を吹き込んでいます。

黒いスーツ、赤いネクタイで統一した4人がステージに向かうだけで、超満員の場内は拍手と声援でいっぱいになります。オープニングにはアルバム『スノウバウンド』から「ANGELS WE HAVE HEARD ON HIGH」を演奏、ひと足早いクリスマスを届けてくれた後は『X』から「EASTERN SKY」をプレイ。ネイザンのスキャット・ヴォーカルも冴えに冴えています。きくところによると彼はこの夏、アキレス腱を切ってしばらく活動停止していたそうですが、ステージに立つ姿はすっかり復調、元気そのものです。3曲目からはお待ちかね、『レッツ・タッチ・ザ・スカイ』からのナンバーが続きます。MIDIピアノを自由自在に駆使するボブ、愛用の緑色のソリッド・ギターとアームのついたセミアコ・ギターを持ち替えるチャック(ステージにはアコースティック・ギターも置いてありましたが、初日のファースト・セットでは弾きませんでした)、流れるようなスティックさばきでサポートに徹するハーヴィー、笑顔を絶やさずに超絶フレーズを決めるネイザン。ソロ活動も盛んな4人ですが、やはりフォープレイとして演奏するときの気持ちは格別なのでしょう、彼らの“一緒にプレイする喜び”が伝わってくるようなステージでした。

来年、フォープレイはアルバム・デビュー20周年を迎えます。グループができた当初、ボブはあるインタビューでこう語っていました。「モダン・ジャズ・カルテット(MJQ)のような存在になるのが目標だ」。MJQは結成されてから22年後に一度解散しました。しかしフォープレイはこのまま20年、25年、30年と突っ走ってくれるような気がします。
なお、彼らは 12/10fri、新日本フィルハーモニックオーケストラとの競演という一夜限りの歴史的スペシャル・パフォーマンスがあります。こちらもお見逃しなく。
(原田 2010/12/5)


● 12.5sun.-12.8wed.
FOURPLAY

● 12.10 fri.
FOURPLAY Symphonic Special Night
すみだトリフォニーホール

フォープレイ - FOURPLAY


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