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'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , OSCAR CASTRO NEVES - - report : OSCAR C...

2009/04/27

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原田和典の公演初日レポート:
OSCAR CASTRO-NEVES
"BRAZILIAN SONGS & STORIES of BOSSA NOVA CELEBRATION"
with MARCO BOSCO, PAULO CALASANS & MARCELO MARIANO
special guests AIRTO MOREIRA & LEILA PINHEIRO



半世紀もの長きにわたって、心のこもった響きをじっくりと、大切に大切に奏であげてきた“音の詩人”。
それがぼくのオスカー・カストロ・ネヴィスに対するイメージです。

彼の名前が入っているレコードやCDを聴けば、まずハズレをつかむことはありません。それはライヴでも同様です。彼がギターを爪弾けば、それだけで周りの空気が和み、オーディエンスは皆、笑顔になります。
決して派手なことはやりません。これみよがしの技など、出しません。だけど溢れんばかりのメロディがあります。限りなく広がるハーモニーがあります。

この日のステージも、そんな彼の職人芸が満載でした。とにかく、世界が深い。プレイにコクがある。和音の使い方には、うっとりさせられるばかりでした。「ブラジル音楽はもともとハーモニーが豊かなんだよ」という声も聞こえてきそうですが、いまのぼくは、“それはわかる。だけど、オスカーの豊かさはまた一段と格別なのだ”、と胸を張って言いたい気持ちです。熱心なファンの方なら、彼が1960年代、ピアニストとしても素敵な作品を出していることをご存知でしょう。オスカーの頭の中にはたぶん、何十ものピアノやギターが棲んでいてオーケストレーションを奏でているに違いありません。

あまりにも偉大なパーカッション奏者であるアイアート・モレイラがドラマーとして、ステディなビートを刻んでいたのも印象的でした。ぼくは彼のドラミングが大好きで、サンバランソ・トリオや、トロンボーン奏者ラウル・ジ・スーザ(ハウル・ヂ・ソウサ)のレコードをむさぼるように聴いたものです。ジャズ・サンバの最高峰のドラマーだと思っています。そのアイアートが、ボサ・ノヴァを叩く。しかも鮮やかに。それを見聴きしてぼくはさらに豊かな気分を味わいました(彼のパーカッションを満喫したいファンの方も、とっておきのソロ・コーナーがありますのでご安心を)。

むくつけき男たち(失礼)の中に混じって紅一点のレイラ・ピニェイロが出てくると、ステージは花が咲いたようになりました。豊かな声量、巧みな日本語を交えたMCでファンの心をつかみます。オスカーとの二重唱も決まりすぎるほど決まっていました。

飛び切りの職人たちがおくる夕べは金曜日まで続きますが、もう一回見に行っちゃおうかと考えてます。
昨日のライブ映像がこのブログの別ページにアップされるようですので、そちらも是非見てください。
(原田 2009/4/26)


● 4/25 sun. 〜 5/1 sat.
OSCAR CASTRO NEVES "BRAZILIAN SONGS & STORIES OF BOSSA NOVA CELEBRATION
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1970年生まれ。ジャズ誌編集長を経て、2005年ソロ活動を開始。
著書に『原田和典のJAZZ徒然草 地の巻』(プリズム)
『新・コルトレーンを聴け!』(ゴマ文庫)、
『世界最高のジャズ』(光文社新書)、
『清志郎を聴こうぜ!』(主婦と生活社)等。
共著に『猫ジャケ』(ミュージックマガジン)、
監修に『ジャズ・サックス・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック・エンターテイメント)。好物は温泉、散歩、猫。