BlueNote TOKYO

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , MIKE STERN - - report : MIKE ST...

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マイク・スターンとブルーノート東京の相性は最高です。

ぼくはマイクのプレイをいろんな会場で見ていますが(この3月にはインドネシア・ジャカルタのJAVA JAZZ FESTIVALで鑑賞いたしました)、ブルーノート東京で演奏する彼はいつも、とりわけ楽しそうで、心の底からリラックスしきっているように感じられます。

オープニングは近年のライヴの定番である「TUMBLE HOME」。いわゆるマイナー・ブルース形式で書かれた曲なのですが、これがまた、山あり谷ありの展開で、その凝り具合が、いかにもマイク・スターンなんだよなあ、とぼくは目を細めてしまいます。テーマ・メロディ(半音階を執拗に使った、相当な技巧を要するもの)をランディ・ブレッカーのトランペットとユニゾンでこなし、続くアドリブ・パートでは、前半をリヴァーブの利いたクリアな音色で、後半をディストーション気味のトーンで弾きまくります。そしてその締めくくりとして、パワフルな和音(パワー・コードといいます)を一発。ファンならば誰もがたまらない“黄金のパターン”です。

これに限らず、マイク・スターンのライヴは1曲あたりの時間がとても長いです。CDでは数分間でカッチリまとめられていたナンバーが、ステージで演奏されることによって拡大され、よりスケールの大きなものへと変化をとげていく、といえばいいでしょうか。とにかく弾いて弾いて弾き倒す、ギターの鬼と化しているのがライヴでのマイク・スターンです。ベースのクリス・ミン・ドーキー、ドラムスのデイヴ・ウェックルも白熱のサポートでマイクに絡みます。

オーラスは、あの「SOME SKUNK FUNK」。いわずとしれた、ブレッカー・ブラザーズ・バンドの代表曲ですね。70年代に絶大な人気を放ったブレッカー・ブラザーズ・バンドが、しばらくの休息を経て復活したのは1992年のこと。そのときにギタリストとして抜擢されたのがマイクでした。あれからもう15年以上が経つのですが、ステージ上のマイクとランディは、さらに若々しくエネルギッシュに、この名曲を蘇らせてくれたのでした。
(原田 2009/6/17)


6/17 wed - 21 sun
MIKE STERN BAND featuring RANDY BRECKER, DAVE WECKLE & CHRIS MINH DOKY


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MIKE STERN - - マイク・スターン...

2009/06/09

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原田和典の公演レビュー:マイク・スターンという男


大人気のギター・ヒーロー、マイク・スターンの来日が近づいてまいりました。今回も昨年同様、ランディ・ブレッカー、クリス・ミン・ドーキー、デイヴ・ウェックルとのオールスター・ユニットです。この顔合わせ、海外でもなかなか聴くことはできません。超絶技巧が火花を散らす、熱狂的なステージになるのは間違いないでしょう。

マイクが広く日本で知られるようになったのは1981年、マイルス・デイヴィスの通称カムバック・バンドに抜擢されてからです。6年ぶりに活動を再開した“ジャズの帝王”マイルスと活動を共にすることによって、マイクのプレイは幅広い音楽ファンに知れ渡りました。

● Something's on your mind




が、この時点でマイクはすでに約10年のキャリアを持つ“若きベテラン”でした。子供の頃はクラシック・ピアノのレッスンを受けていたそうですが、12歳のときにギターに開眼。地元ボストンのロック・バンドで演奏を始めます。初期のアイドルはロック・ギタリストのロイ・ブキャナン。その後、ジミ・ヘンドリックスやウェス・モンゴメリーを聴くようになりました。’70年から’74年まではバークリー音楽大学で学び、パット・メセニーやミック・グッドリックに師事しています。‘76年から’78年にかけては、ブラス・ロック系の“ブラッド、スウェット&ティアーズ”でも演奏し、’76年には初来日も果たしています(当時の資料には、Michel Sternと表記)。このバンドで演奏するようになったのは、パットの推薦によるものだそうです。

マイク・スターンといえば、あの人懐っこい親しみやすい人柄が、サイン会でいつも垣間みられます。自ら 『C〜D〜! C〜D〜』と叫びながらサイン会を盛り上げる、サービス精神旺盛な姿が印象的です。あと、何やら非常に水泳が好きらしく、開演1時間前まで泳いでいるとか。あのエネルギー溢れるプレイの源は、泳ぎにあるのかもしれません。


マイルス・バンドを離れて約25年。今なおマイクは、音楽の冒険を続けています。2009年“最新のマイク・スターン・サウンド”を、ぜひ至近距離でどうぞ!
(原田 2009/6/11)


● w/ BRECKER BROTHERS






● MIKE STERN + RICHARD BONA



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