BlueNote TOKYO

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , ASHFORD & SIMPSON - report : ASHFORD &...

2009/11/20

ASHFORD & SIMPSON-アシュフォード&シンプソン\
ASHFORD & SIMPSON-アシュフォード&シンプソン\


公演初日リポート:アシュフォード&シンプソン-ASHFORD & SIMPSON



あっ、本物だ!

そう声がでかかってしまいました。まさに待望、それ以外にどんな言葉がありましょうか。あまりにも偉大なヴォーカル・デュオ、そしてソングライターであるアシュフォード&シンプソンの、まさかの日本初公演が今、開催されています。

ふたりは数年前からニューヨーク・マンハッタンの72丁目で「シュガー・バー」というライヴ・スポットを経営していて、そこで定期的にステージを重ねています。ぼくもN.Y.に行くときは是が非でも見たいと思っていたのですが、どういうわけか予定が合わず(彼らの出ていないときにぶつかってしまうのです)、あの愛とソウルの世界にいつ生で接することができるのか、ひょっとしたら聴けずに終わるんじゃないかとも感じていたものです。

しかし、彼らは今、日本に来て、素晴らしいショウを繰り広げてくれています。何度も書きますが初来日です。これまで、プロモーターは何をしていたのでしょう。そう毒づきたくもなりますが、アシュフォード&シンプソンは常に全盛期を維持しています。トップ・フォームのまま、この国を訪れてくれたのです。昨日のふたりも、“旬”のステージをたっぷり楽しませてくれました。外はまるで冬のような寒さでしたが、往年のレコードとまったく変わらない、エモーショナルで熱い歌声、愛に溢れた動きのひとつひとつに、こころとからだがどんどん暖まっていくのがわかりました。

聴きどころだらけの内容でしたが、個人的に最もグッときたのは「LET'S GO GET STONED」に始まるセクションです。食うのにも困っていた時代、レイ・チャールズの目に留まり、彼に提供した「〜STONED」が大ヒットしてハンバーガーも心おきなく食べられるようになったとのこと。モータウンの総帥ベリー・ゴーディから送られてきたデトロイト行き飛行機のファースト・クラス・チケット。それらを曲の間に語るアシュフォードの語りはまるで牧師のよう、シンプソンのアコースティック・ピアノもゴスペル風に聴こえます。マーヴィン・ゲイ&タミー・テレルの歌で有名な「AIN'T NO MOUNTAIN HIGH ENOUGH」や、シャカ・カーン(と発音していました)やホイットニー・ヒューストンによるカバーで流行った「I'M EVERY WOMAN」を、アシュフォード&シンプソンの自作自演で味わう喜びはまた格別です。最高の食材が、目の前で鮮やかに料理されていく場面に立ち会っているような快感に包まれました。
(原田 2009/11/19)


● 11/19thu.-11/22sun.
ASHFORD & SIMPSON

ASHFORD & SIMPSON-アシュフォード&シンプソン\