BlueNote TOKYO
ARCHIVE 2011/12

2011/12/20

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , NICOLA CONTE JAZZ COMBO - - report : NICOLA ...

ニコラ・コンテ - NICOLA CONTE
ニコラ・コンテ - NICOLA CONTE


公演初日リポート:NICOLA CONTE JAZZ COMBO -Love & Revolution-
featuring BRIDGETTE AMOFAH, TIMO LASSY, NICOLAS FOLMER,
PIETRO LUSSU, PAOLO BENEDETTINI & TEPPO MAKYNEN
DJ:TATSUO SUNAGA



プロデューサー、DJ、リミキサー、ギタリストとして幅広い活動を続けるニコラ・コンテが、自身のバンドと共に来日しています。

いつもハイレベルなメンバーを連れてきてくれるニコラですが、今回もニコラス・フォルメール(トランペット)、ティモ・ラッシー(サックス)、ピエトロ・ルッス(ピアノ)、パオロ・バネディッティーニ(ベース)、テッポ・マキネン(ドラムス)といった精鋭がズラリと揃っています。彼らのプレイを楽しみにクラブに駆けつける方も多いのではないでしょうか。「卓越したミュージシャンであり、僕の人生になくてはならない親友でもある」と、ニコラはMCで語っていました。

そして紅一点のヴォーカリストがブリジット・アモファーです。ロンドンを拠点とする彼女は、伝説のR&Bシンガーであるキャンディ・ステイトンと同じステージに立ったこともあるとのこと。「まさしく彼女の登場は、ディスカヴァリーという言葉にふさわしい」と、ニコラも賞賛しています。

オープニングの「ALL PRAISES TO ALLAH」がインストゥルメンタルでプレイされた後、ブリジットが登場します。CDではナイラ・ポーターとホセ・ジェイムズが歌っていた「LOVE FROM THE SUN」、メラニー・チャールズが歌っていた「SHIVA」等を次々と歌いこなしていくのですが、なるほど確かにニコラは大変な歌い手を“発見”したものです。まるで何年も前からニコラのバンドでシンガーを務めていたのではないか、と思えるほど、彼女の歌声は全体のサウンドに溶け込んでいました。

近年、あまり他のミュージシャンがとりあげない50〜60年代のジャズの隠れ名曲をプレイしてくれるのも、ニコラ・バンドの特徴です。DJとしてあらゆるレコードを聴いていくうちに、ニコラの中で「これをバンドで演奏すれば面白いんじゃないか」というアイデアが沸いて来るのでしょう。

インストゥルメンタルで演奏されたジャッキー・マクリーン作「APPOINTMENT IN GHANA」、ブリジットが歌ったマックス・ローチ作「FREEDOM DAY」などは、ぼくも何十回とオリジナル・ヴァージョンで聴いてきたナンバーです。そこには過剰なほどエモーションが溢れていましたが、それをクールかつスタイリッシュに処理するのがニコラ流カヴァー・ヴァージョンといっていいでしょう。そこが今のファンをつかんで離さない秘訣なのでしょうか。「BLACK SPIRITS」には、ランディ・ウェストンの名曲「AFRICAN COOKBOOK」のメロディが使われておりました。

公演は本日も行なわれています。ニコラが愛するシチリアのワインや料理に舌つづみを打ちながら、彼らのライヴをどうぞ!
(原田 2011 12.19)


● 12.19mon.-12.20t
NICOLA CONTE JAZZ COMBO -Love & Revolution-
featuring BRIDGETTE AMOFAH, TIMO LASSY, NICOLAS FOLMER,
PIETRO LUSSU, PAOLO BENEDETTINI & TEPPO MAKYNEN
DJ:TATSUO SUNAGA


ニコラ・コンテ - NICOLA CONTE


2011/12/19

NICOLA CONTE JAZZ COMBO - ☆ パフォーマンス...

☆ パフォーマンス映像 : NICOLA CONTE JAZZ COMBO

この5月に名門インパルス・レーベルから『ラヴ&レヴォリューション』を発表。
プロデューサー、DJ、ギタリスト、リミキサーとして活躍するニコラ・コンテが、
同アルバムの世界を日本で初披露。
初日のパフォーマンス映像をアップしました!
公演は12.20tue. まで。

●12.19mon.-12.20tue.
NICOLA CONTE JAZZ COMBO -Love & Revolution-
featuring BRIDGETTE AMOFAH, TIMO LASSY, NICOLAS FOLMER,
PIETRO LUSSU, PAOLO BENEDETTINI & TEPPO MAKYNEN
DJ:TATSUO SUNAGA



2011/12/18

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , Ninety Miles - - report : STEFON ...

ナインティ・マイルズ・プロジェクト - NINETY MILES PROJECT
ナインティ・マイルズ・プロジェクト - NINETY MILES PROJECT


公演初日リポート:
STEFON HARRIS, DAVID SÁNCHEZ & CHRISTIAN SCOTT 
"Ninety Miles"



いよいよ、この日を迎えました。ヴィブラフォン奏者ステフォン・ハリス、トランペット奏者クリスチャン・スコット、テナー・サックス奏者ダヴィッド・サンチェスのラテン・ジャズ・プロジェクト“ナインティ・マイルズ”の登場です。同名のアルバムが日本で発売されたのは今年の夏だったと思いますが、それを聴いて以来、ぼくは彼らのライヴを待ち焦がれておりました。「来日しないだろうなあ。海外のジャズ・クラブかフェスティバルに行かなければならないのかなあ」と思っていたところ、ブルーノート東京に出演することが決まり、昨日、大盛況の中、熱いセッションが行なわれたのです。

フロント・ラインに立つ3人以外のメンバーは、キューバ勢が集まったCDとは若干異なり、プエルトリコ勢が中心でした。いずれもニューヨークを拠点に活動する面々です。これがまた、CDとは一種違った興奮を演奏に与えていました。ひとことでいえばCDよりもシャープでソリッド、“ニューヨークの空気”が濃厚になっているのです。ソロが白熱するので、CDでは5分ほどの曲が、その3倍にも4倍にも発展します。これもまた、ライヴならではの魅力です。

ステフォンはマレットを2本、3本、4本と持ち替えながら、豊かな音色、シャープなハーモニーを駆使しながら驚嘆すべきプレイを聴かせました。最近はウォーレン・ウォルフ、ジェイソン・アダシウィッツ、トム・ベッカム等、逸材に事欠かないジャズ・ヴィブラフォン界ですが、その兄貴格であるステフォンの演奏は、やはり格別です。クリスチャンは2本のトランペットを持って(いずれもベル部分が上を向いている)、それを使い分けながら表情豊かなブロウを楽しませてくれます。1980年代から活動を続けるダヴィッドは、いまやベテランの風格。肉厚な音で綴られるフレーズには、一音のムダもありません。

トランペットとサックスの前にはマイクも立てられていますが、クリスチャンもダヴィッドも乗ってくるとマイクを離れて自由自在に吹きまくります。その音色は限りなく豊かで、クラブ全体に響き渡ります。「世界のトップに数えられるミュージシャンの生音は、こんなにすごいのか」と感動したオーディエンスの方も、相当数いらっしゃるのではないでしょうか。

公演は本日まで行なわれています。ぜひぜひ、お越しください! 現代のニューヨークの息吹を感じさせるジャズを日本にいながら生で楽しめる機会がすっかり減っている昨今、彼らの生音を浴びることのできる嬉しさは、とても言葉で表現できません。ぼくはこの公演で、ひと足早いクリスマス・プレゼントをもらった気分になりました。
(原田 2011 12.17)


● 12.17sat.-12.18sun.
STEFON HARRIS, DAVID SÁNCHEZ & CHRISTIAN SCOTT 
"Ninety Miles"


ナインティ・マイルズ・プロジェクト - NINETY MILES PROJECT


- ☆ パフォーマンス...

☆ パフォーマンス映像 : STEFON HARRIS, DAVID SÁNCHEZ & CHRISTIAN SCOTT "Ninety Miles"

クリスチャン・スコット、ステフォン・ハリス、ダビッド・サンチェス。
現代ジャズ界を牽引する3人の気鋭が、キューバ録音の話題作
『ナインティ・マイルズ』の世界を日本のステージで披露する。
初日のパフォーマンス映像をアップしました!
現在進行形のジャズとラテンの融合を、ぜひ至近距離で体感してください。
公演は12.18sun. まで。

●12.17sat.-12.18sun.
STEFON HARRIS, DAVID SÁNCHEZ & CHRISTIAN SCOTT 
"Ninety Miles"



2011/12/16

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , 松居慶子 - - report : KEIKO M...

松居慶子 - KEIKO MATSUI
松居慶子 - KEIKO MATSUI


公演初日リポート:KEIKO MATSUI 『THE ROAD...』JAPAN TOUR 2011

「世界を舞台に活動する」という表現が、これほどふさわしい日本人ミュージシャンもいないのではないでしょうか。今年も5週間に及ぶツアーを終えて、松居慶子がブルーノート東京に戻ってきました。移動、演奏、そして移動と目の回る忙しさなのではないかと思いますが、演奏は「せわしなさ」とは無縁。実にメロディアスで、ゆったりしています。そして瑞々しい余韻があります。

新作『THE ROAD...』発表後、初めての日本公演です。ジャキーム・ジョイナーのサックス、ケイタ・マツノのギター、スティーヴ・リードのパーカッション(彼はロシア・ツアー中、オーケストラ・ピットに落ちるアクシデントに見舞われましたが、奇跡的に怪我ひとつ負うことがなかったとのことです)等を含む顔ぶれは、もはやひとつのファミリーであるといっていいでしょう。メンバー間の息の合ったプレイが、ポップなメロディをよりポップに、ダンサブルな曲をよりダンサブルに“ライヴ化”していきます。

ぼくが見たセカンド・セットでは、『THE ROAD...』の国内盤だけに収められている「HIKARI〜旅立った魂と生かされた魂へ〜」も含めて、同アルバムからの大半の曲を聴くことができました。この曲が「静の松居慶子」を表したものだとすれば、「動」の代表するひとつが「NGUEA WONJA」でしょう。意味はカメルーンの言葉で“to be proud to your journey”。リチャード・ボナが命名してくれたのだそうです。

曲名にまつわるMCでは「BOHEMIAN CONCERTO」に関するエピソードも印象に残りました。「ボヘミアン・ラプソディ」というタイトルにしようと思っていたところ、レコード会社側から「クイーンに同名曲がある」といわれ、この題名に変更したとのことですが、ラテンの要素が取り入れられた多彩なリズム、起伏にとんだ曲調には“コンチェルト”というフレーズがぴったりのように、ぼくには感じられました。

公演は本日まで行なわれます。『THE ROAD...』の“...”にはどんな意味がこめられているのか、ぜひ実際のライヴで松居慶子本人のMCを聞いて御確認いただければと思います。
(原田 2011 12.15)


● 12.15thu.-12.16fri.
KEIKO MATSUI 『THE ROAD...』JAPAN TOUR 2011


松居慶子 - KEIKO MATSUI


2011/12/10

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , KYLE EASTWOOD - - report : KYLE EA...

カイル・イーストウッド - KYLE EASTWOOD
カイル・イーストウッド - KYLE EASTWOOD


公演初日リポート:KYLE EASTWOOD



ベース・テクニック、作曲能力、ルックスの三拍子を兼ね備えた逸材がカイル・イーストウッドです。父親はもちろん、あのクリント・イーストウッド。「若い頃の父親にそっくり」という声もありますが、「いや、カイルのほうがハンサムだ」というファンも多いようです。

今回の公演もトランペット、サックス、ピアノ、ベース、ドラムスという編成で行なわれました。1940年代から続くジャズの典型的フォーマットといっていいでしょう。しかしカイルが3種のベースを使い分け、ドラムスがさまざまなビートを送り出すことで、なんとも新鮮な空気が生まれます。世界各国を旅し、その経験を音楽に生かしてきたカイルならではの音作りといえましょう。

今回の公演は、前回とは若干メンバーが異なりました。トランペットのアレックス・ノリスはバークリー音楽大学出身。グレン・ミラー・オーケストラ、インコグニート、マニー・オケンド&リブレ等、タイプの違ういろんなバンドで働いてきた名手です。ピアノのリック・ジャーマンソンはニューヨークを拠点とするミュージシャンで、パット・マルティーノのバンドには5年間、在籍しました。ソロ・アルバムも3枚発表しています。ドラムスのジョー・ストラッサーはホセ・フェリシアーノ、カート・ローゼンウィンケル等と共演。ストレート・ジャズも、今回のようなフュージョン・タイプのものも自在に叩きわける逸材です。

しかし観客の視線は当然ながら、ステージ中央でベースを弾くカイルに集まります。彼にはやはり、華があります。ステージはアンコールを除き、すべて彼のオリジナルで構成されていましたが、じっと聴いていると「この曲、何の映画のサウンドトラックに使われていたかな」と思えてくるほど、ドラマティックでメロディアスです。父クリントが最近の映画でカイルの音楽を使っているのは、決して身びいきではないはずです。

ラストの「BIG NOISE」は1930年代に全米でヒットした曲ですが、カイルのオリジナルとして認知しているひとも相当数、いるのではないでしょうか。
(原田 2011 12.10)


● 12.10sat.-12.12mon.
KYLE EASTWOOD


カイル・イーストウッド - KYLE EASTWOOD


KYLE EASTWOOD - ☆ パフォーマンス...

☆ パフォーマンス&メッセージ映像 : KYLE EASTWOOD

高い音楽性とスタイリッシュなルックスを併せ持つ人気ベーシスト、
カイル・イーストウッドがニュー・アルバム『ソングス・フロム・ザ・シャトー』
を携えて登場する。父親はアメリカを代表する名優・名監督のクリント・イーストウッド。
ソロ活動を継続する一方で父親の映画に作品を提供、2008年には『グラン・トリノ』の
音楽がゴールデングローブ賞最優秀主題歌賞にノミネートされた
カイルの初日のパフォーマンス&メッセージ映像をアップしました!
公演は12.12mon. まで。

●12.10sat.-12.12mon.
KYLE EASTWOOD



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