BlueNote TOKYO
ARCHIVE 2009/06

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , ROY HARGROVE - report : ROY HARGR...

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原田和典の公演初日リポート:ROY HARGROVE QUINTET


‘90年代初頭のことです。“注目の天才新進トランペッター、あらわる”的な触れ込みで、ロイ・ハーグローヴが野外のジャズ・フェスティヴァル出演のために来日したとき、ぼくは全セットを聴く機会に恵まれました。そのフェスでロイは、さまざまなグループ(その中にはビッグ・バンドもありました)にゲスト参加したり、ジャム・セッションに乱入してトランペットを吹きまくったのですが、なかでも圧巻はファンク系のミュージシャンが集まったジャム・セッションにおけるプレイでした。メイシオ・パーカー、フレッド・ウェスリー、ピー・ウィー・エリスの“JBホーンズ”を軸とするスペシャル・ユニットに飛び入りした彼は、まさしく火の玉ファンキー小僧でした。ロイは20世紀の終わりにR&Bやヒップ・ホップを取り入れたプロジェクト“RHファクター”を結成してセンセーションを巻き起こします。きっと根っからのファンキー体質なのでしょうね。

昨年はビッグ・バンドを率いて「ブルーノート東京」に登場、貫禄たっぷりのステージで楽しませてくれたロイですが、ことしは少数精鋭というべきメンバーでの登場です。思えばメジャー・デビュー後からロイは一貫してクインテット(5人編成)を率いています。メンバーの入れ替わりもそれなりにあるとはいえ、ハード・バップに基づく4ビート・ジャズを、ここまでカッチリと聴かせるユニットは、そうそうあるものではありません。アルト・サックスのジャスティン・ロビンソンはロイとほぼ同年代ですが(ジミー・スコットのバンドや、ハーパー・ブラザーズの一員として来日したことがあります)。ピアノのサリヴァン・フォートナー、ベースのアミーン・サリーム、ドラムスのモンテス・コールマンは、ロイやジャスティンよりもさらに下の世代です。いつまでも元気いっぱいの若手という印象が強いロイも、この秋で40歳。歳の離れた弟のような年齢のミュージシャンとアイ・コンタクトをとりながら、演奏のテンションをこれでもか、と高めていく姿は、彼がトランペッターとしてだけではなく、音楽監督、指導者としても注目すべき存在であることを改めて伝えてくれました。

メンバー全員が燃え上がる長尺ナンバー「CAMARADERIE」、ラテン・リズムに乗せてロイが踊りながら吹いた「LA PUERTA」、古くからのファンには実になつかしい(ロイのセカンド・アルバムのタイトル曲です)「PUBLIC EYE」などなど、バラエティに富んだ曲目が次々と威勢よく演奏されていきます。近年のロイはトランペットより、いっそう柔らかい音の出るフリューゲルホーンを愛用しているイメージが、ぼくにはあったのですが、このステージでは「SAY IT (OVER AND OVER AGAIN)」(ジョン・コルトレーンの演奏で有名なバラードです)以外、すべてトランペットを吹いてくれました。元気炸裂のアドリブ、パワー全開の音色。やっぱりロイはこうじゃなくっちゃ。

心の底からスカッとさせられたライヴでした。
(原田 2009/6/22)


● ROY HARGROVE QIUNTET
6/22 mon - 25 thu


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2009/06/18

MIKE STERN - ☆ P+M映像:MIKE S...

☆ パフォーマンス(P)+メッセージ(M)映像:MIKE STERN BAND


ジャズ・フュージョン?ロック?ジャンルの垣根を超えた世界へようこそ。

永遠のギター少年・マイク・スターン、
巨匠・ランディ・ブレッカー、
才人・クリス・ミン・ドーキー
豪腕健在・デイヴ・ウェックル、

大人のグルーヴは、まさにライヴでこそ!
サイン会も開催中。






6/17 wed - 21 sun
MIKE STERN BAND featuring RANDY BRECKER, DAVE WECKLE & CHRIS MINH DOKY
ギター 少年 マイク スターン MIKE STERN MIKE STERN BAND featuring RANDY BRECKER, DAVE WECKLE & CHRIS MINH DOKY



'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , MIKE STERN - - report : MIKE ST...

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マイク・スターンとブルーノート東京の相性は最高です。

ぼくはマイクのプレイをいろんな会場で見ていますが(この3月にはインドネシア・ジャカルタのJAVA JAZZ FESTIVALで鑑賞いたしました)、ブルーノート東京で演奏する彼はいつも、とりわけ楽しそうで、心の底からリラックスしきっているように感じられます。

オープニングは近年のライヴの定番である「TUMBLE HOME」。いわゆるマイナー・ブルース形式で書かれた曲なのですが、これがまた、山あり谷ありの展開で、その凝り具合が、いかにもマイク・スターンなんだよなあ、とぼくは目を細めてしまいます。テーマ・メロディ(半音階を執拗に使った、相当な技巧を要するもの)をランディ・ブレッカーのトランペットとユニゾンでこなし、続くアドリブ・パートでは、前半をリヴァーブの利いたクリアな音色で、後半をディストーション気味のトーンで弾きまくります。そしてその締めくくりとして、パワフルな和音(パワー・コードといいます)を一発。ファンならば誰もがたまらない“黄金のパターン”です。

これに限らず、マイク・スターンのライヴは1曲あたりの時間がとても長いです。CDでは数分間でカッチリまとめられていたナンバーが、ステージで演奏されることによって拡大され、よりスケールの大きなものへと変化をとげていく、といえばいいでしょうか。とにかく弾いて弾いて弾き倒す、ギターの鬼と化しているのがライヴでのマイク・スターンです。ベースのクリス・ミン・ドーキー、ドラムスのデイヴ・ウェックルも白熱のサポートでマイクに絡みます。

オーラスは、あの「SOME SKUNK FUNK」。いわずとしれた、ブレッカー・ブラザーズ・バンドの代表曲ですね。70年代に絶大な人気を放ったブレッカー・ブラザーズ・バンドが、しばらくの休息を経て復活したのは1992年のこと。そのときにギタリストとして抜擢されたのがマイクでした。あれからもう15年以上が経つのですが、ステージ上のマイクとランディは、さらに若々しくエネルギッシュに、この名曲を蘇らせてくれたのでした。
(原田 2009/6/17)


6/17 wed - 21 sun
MIKE STERN BAND featuring RANDY BRECKER, DAVE WECKLE & CHRIS MINH DOKY


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2009/06/14

TERRI LYNE CARRINGTON - ☆ P+M映像:TERRIL...

☆ パフォーマンス(P)+メッセージ(M)映像:TERRI LYNE CARRINGTON GROUP


様々な音楽的要素が盛りだくさんの内容構成、実力派が集結した質の高いパフォーマンス、
現代ジャズ・シーンの最前線に立つメンバーが集いました。
このメンバーでは初ライブとの事=ワールド・プレミアのテリ・リン・キャリントン・グループによるパフォーマンスは 6/16 tue まで。






6/13 sat - 15 mon
TERRI LYNE CARRINGTON GROUP



'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , TERRI LYNE CARRINGTON - - report : TERRI L...

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<<< 原田です。
今回は、TOWER OF POWER のファンクラブ・会長としても有名な、
今回は、櫻井隆章先生へ、ご執筆をお願いしました。
西海岸系スムース・ジャズも非常に詳しい方です。


櫻井隆章の公演初日リポート:TERRI LYNE CARRINGTON GROUP



 まぁ、見事なショウだった。そして、色々なことを考えさせてくれるライヴでもあった。まず、当り前のことなのだが、アメリカの音楽界の奥深さと多様さ、そして圧倒的な実力の高さ。そもそも、ステージの上の光景自体が多様さを表している。人種も年代も性別さえもバラバラなミュージシャンが並んでいるのだ。そして誰もがジャンルを越えた音楽を軽々とプレイする。そのどれもが見事な水準のプレイなのだから、ライヴ通いは止められない!

 場内暗転と共に、静かに沸き起こる期待の拍手。そこにアーティスト達が登場し、曲が始まる……と思ったら、まずはテリ・リンがメンバーを丁寧に紹介。サックスのエヴァレット・ハープやキーボードのグレッグ・フィリンゲインズなどは、彼等だけで充分にお客さんを集められる人達だ。目の前の光景の贅沢さを痛感する。そして始まった1曲目、何とビートルズ・ナンバーの「ミッシェル」。如何にもアグレッシヴで前衛的ですらあるアレンジが興味深い。
しっかりと「ジャズ」しているのである。続く2曲目は、ジョニ・ミッチェルの「エチオピア」だ。ここではテリ・リンがドラムを叩きながらヴォーカルも。彼女の歌、実に良い味である。また、こうした選曲も面白い。それが終ったところでヴォーカリストのロリ・ペリーがステージへ。強烈なパーソナリティの持ち主で、彼女が登場するとメンバーの誰もが笑顔になり、白い歯を見せる。雰囲気を一人で変えられる個性は、それだけで強い武器だ。圧倒的な声量とお客さんを一瞬にして酔わせる実力。そして曲調もソウル〜R&Bとなり、プレイヤー達の表情も緩む。ニュー・アルバム『モア・トゥ・セイ』からのナンバーを中心に、でもアルバムで聴けるそれとは大きく印象も変っている。これもライヴの醍醐味の一つだろう。ジャズをベースに、ソウル・タッチと飛び入り参戦の DJ KOU によるヒップ・ホップのフレイヴァーまで含み、さながら「オール・アメリカン・ミュージック・バンド」の様相すら見せつつ、あっと言う間に大団円だ。時計を見ると充分な時間が過ぎているのだが、それを感じさせないスキの無さ。この辺りが、ステージ運びの上手さなのだ。そして、ほぼ一曲毎に曲紹介のMCを挟むテリ・リンの丁寧さにも頭が下がる。

 そして、何よりも印象的だったのが、終演後のお客さん達の笑顔だった。聴く者、見る人に大きな刺激を与え、そして笑顔を与えてくれる、アーティスト達。こんな見事なショウを見せてくれるのだから、「生の音楽って、本当に良いな」とつくづく思うのだった。
(櫻井隆章)

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2009/06/09

MIKE STERN - - マイク・スターン...

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原田和典の公演レビュー:マイク・スターンという男


大人気のギター・ヒーロー、マイク・スターンの来日が近づいてまいりました。今回も昨年同様、ランディ・ブレッカー、クリス・ミン・ドーキー、デイヴ・ウェックルとのオールスター・ユニットです。この顔合わせ、海外でもなかなか聴くことはできません。超絶技巧が火花を散らす、熱狂的なステージになるのは間違いないでしょう。

マイクが広く日本で知られるようになったのは1981年、マイルス・デイヴィスの通称カムバック・バンドに抜擢されてからです。6年ぶりに活動を再開した“ジャズの帝王”マイルスと活動を共にすることによって、マイクのプレイは幅広い音楽ファンに知れ渡りました。

● Something's on your mind




が、この時点でマイクはすでに約10年のキャリアを持つ“若きベテラン”でした。子供の頃はクラシック・ピアノのレッスンを受けていたそうですが、12歳のときにギターに開眼。地元ボストンのロック・バンドで演奏を始めます。初期のアイドルはロック・ギタリストのロイ・ブキャナン。その後、ジミ・ヘンドリックスやウェス・モンゴメリーを聴くようになりました。’70年から’74年まではバークリー音楽大学で学び、パット・メセニーやミック・グッドリックに師事しています。‘76年から’78年にかけては、ブラス・ロック系の“ブラッド、スウェット&ティアーズ”でも演奏し、’76年には初来日も果たしています(当時の資料には、Michel Sternと表記)。このバンドで演奏するようになったのは、パットの推薦によるものだそうです。

マイク・スターンといえば、あの人懐っこい親しみやすい人柄が、サイン会でいつも垣間みられます。自ら 『C〜D〜! C〜D〜』と叫びながらサイン会を盛り上げる、サービス精神旺盛な姿が印象的です。あと、何やら非常に水泳が好きらしく、開演1時間前まで泳いでいるとか。あのエネルギー溢れるプレイの源は、泳ぎにあるのかもしれません。


マイルス・バンドを離れて約25年。今なおマイクは、音楽の冒険を続けています。2009年“最新のマイク・スターン・サウンド”を、ぜひ至近距離でどうぞ!
(原田 2009/6/11)


● w/ BRECKER BROTHERS






● MIKE STERN + RICHARD BONA



KYLE EASTWOOD - ☆ P+M映像:KYLE E...

☆ パフォーマンス(P)+メッセージ(M)映像:KYLE EASTWOOD


カイル・イーストウッド公演初日の模様 & カイルからのメッセージ映像をアップしました。
端正なマスクとは相反して、熱のこもったライブ・パフォーマンスを、個々に高い技術を持ち合わせるバンドメンバーとともに見せてくれてます。

お近くにご来訪の際は是非お立ち寄りください、とはカイルからのメッセージ。。。
お待ちしております。
残念ながら、今週金曜・6/12 までの公演です。







6/8 mon - 12 fri
KYLE EASTWOOD



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