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- report : 本田雅人 featuring ボブ・ジェームス
本田雅人とボブ・ジェームスの共演盤『アクロス・ザ・グルーヴ』→ はとても爽快なアルバムです。
ぼくがこのCDを入手したのは去年の9月か10月ごろだったと記憶していますが、「この2人、すごく相性がいいなあ。ずっと一緒に演奏してきたみたいだなあ」と感じると同時に、「せっかくだからレコーディングだけじゃなくて、ぜひ一緒にライヴをやってほしいなあ。絶対、聴きに行くのになあ」と強く思ったものです。
その共演ステージが、作品リリースから約半年を経て、ついに実現しました。アクロス・ザ・ユニヴァース、ならぬ『アクロス・ザ・グルーヴ』の世界が、遂にライヴで楽しめるときが来たのです。
ところでぼくは、ボブ・ジェームスの名前をきくと反射的にウィスキーのTVコマーシャルを思い出します。
確かこんな設定でした。
ピアノを弾きながら作曲しているボブ。ちょっと手を休め、グラスに手を伸ばすと、アニメで描かれた妖精がピアノのまわりに降りてくる。やがて妖精とボブが賑やかなパーティを始め、音楽がフェード・インする。
日曜日の夕方、「笑点」にチャンネルをあわせると、毎回のようにこのコマーシャルを見ることができました。今から25年も前のことです。そこで使われた曲「マルコ・ポーロ」が入ったアルバム『フォクシー』はベスト・セラーを記録しました。
そのボブ・ジェームスが今、目の前にいます。フォープレイや自己のソロ・プロジェクトなどで何度も来日している彼ですが、今回の公演ではとにもかくにも、いちキーボード奏者としての一面をたっぷり味わわせてくれました。本田を始めとするソリストをうれしそうな表情でバック・アップし、ワン&オンリーのアドリブを展開するボブ。音数は決して多くないのに、そのプレイはすごく華やかです。
アルバム収録曲がさらにワイルドでアグレッシヴに“進化”していたのはもちろんのこと、そこに入っていない本田ナンバー「Condolence」を弾くボブ、ボブの近作『アーバン・フラミンゴ』からの「Choose Me」をエモーショナルに吹き綴る本田という珍しいシーンにも接することができました。
メンバーの誰もがライヴの実現を喜び、オーディエンスの誰もがその場にいる喜びに浸っていたのではないでしょうか。
(原田 2009/2/25)
(本田)
ボブ・ジェームズと僕。
確かに、大きく分類するとどちらもジャズという範疇に入るものの、普段は芸風的に若干異なる方向性の音楽をやっていると言って良いのではないでしょうか。
しかし、メンバー含め全員、やはりジャズ的スピリットの上に始まり、今が成り立ってますから、ひとたび一緒に演奏をはじめれば、そこにはまた新しくて面白い音楽世界が必ず生まれる。
これこそが僕の好きなジャズ、そして音楽の素晴らしさであり、喜びであります。
個性的で幅広い方向性のメンバーそれぞれから発せられる主張、そして協調、そしてその瞬間でないと当人ですら予想し得ない即興的なカンヴァセーションをリアルにお楽しみ頂けたら幸いです。
僕達も同時進行で楽しみたいと思います。
★ 出演者・プロフィール ★
● 本田雅人 (sax) http://www.ciao-ciao-ciao.com/
:大学時代“原信夫とシャープス&フラッツ”に参加。‘91年“T-SQUARE”に加入し、’98年からソロ活動を開始。自己のバンドや数々のセッションと並行して、マリーンやボブ・ジェームスとのコラボレーションも展開。
● ボブ・ジェームス (midi-piano) http://www.bobjames.com/
:数々のグラミー賞に輝くフュージョン・マスター。クインシー・ジョーンズに見出されて音楽界に入り、アレンジャー、プロデューサーとしても不動の評価を獲得。ソロ・プロジェクトの他、“フォープレイ”でも活動を続けている。
*** ボブ・ジェームスからのメッセージはこちら → http://www.bluenote.co.jp/jp/sp/255.html#message
● 梶原順 (g) http://www.4creator.com/JunKajiwara/
:’81年からプロ活動に入り、無数のセッション〜スタジオ・ワークを行ないながら、“J&B”、“Witness”、“渡辺貞夫グループ”、“本田雅人バンド”等で活躍。2008年に2ndソロ・アルバム『You Make Me Smile』を発表した。
● グレッグ・リー (b) http://www.gregg-lee.com/
:伝説のフュージョン・バンド“カルデラ”のメンバーを経て、’80年代から日本で演奏。卓越したテクニック、圧倒的なグルーヴ感で渡辺香津美、日野皓正、佐藤允彦等、数多くのトップ・ミュージシャンから絶大な信頼を受ける。
● 則竹裕之 (ds) http://dreamscango.cool.ne.jp/
:幼少の頃よりドラムスを始め、’85年“THE SQUARE(T-SQUARE)”に参加。2000年に退団後はジャズ〜フュージョンにとどまらず、J-POP、クラシック界でも活動。神保彰との2ドラム・ユニット“Synchronized DNA”も話題を呼ぶ。
★ アルバム紹介 ★
豪華共演者との海外録音作品。
『アクロス・ザ・グルーヴ』
(BMG ジャパン)