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[インタビュー|OFFSTAGE]ザ・ゴーストfeaturingショーン・レノン&シャーロット・ケンプ・ミュールにインタビュー

[インタビュー|OFFSTAGE]ザ・ゴーストfeaturingショーン・レノン&シャーロット・ケンプ・ミュールにインタビュー

ベッドルームで生まれる夢のようなロック。

 スタジオで演奏しながら組み立てていく疾走感ある音。
プライベートな空間から生まれる優しく壮大な音。
ザ・ゴーストは映像的で幻想的なパフォーマンスをくり広げた。

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 ほんのひと時も離れたくない。どこか一か所でも接触していたい。そんな正直な気持ちをまったく隠そうとしない2人だった。ザ・ゴーストのショーン・レノンとシャーロット・ケンプ・ミュールである。インタビュー中も手をつなぎ、肩を抱き、シャーロットは鮮やかなピンクにオレンジを重ね塗りしたくちびるをショーンに近づけていた。その関係を象徴するのが、ブルーノート東京でのショーの終盤に演奏された「ラスト・コール」という曲だ。

ショーン「あれはベッドルームで、2人で作った曲。だからこそ、夢のようで、優しくて、そして知的に仕上がった。最初、僕はキンクスの『サニー・アフタヌーン』のイメージを提案したんだ。まず僕が導入部のコードを考えて、シャーロットが引き継いで、また僕が弾き継いで......、音をつむいでいった。そんなやりとりを積み重ねていったら、いつの間にかスケールの大きな作品になっていた」

 新譜『ミッドナイト・サン』に収録されている「ラスト・コール」はシンセサイザーとストリングスにアコーステックギターと声が美しくのる幻想的な曲だ。完成した作品にはキンクスのテイストはほとんど感じられない。むしろ後期のビートルズをイメージさせる。ブルーノート東京ではバンドが複数のキーボードを効果的に使い映像を感じさせるパフォーマンスを展開した。

ショーン「僕たちは、僕たちの声はさほど重要視していない。声を含む作品そのものの仕上がりこそ大切だと思っているんだ。そして作品に映像性を感じてもらえるとしたら、僕たちがシュールレアリズムの画家が描いた絵を愛しているからだろうね」

シャーロット「私はシンガーとしてフロントに立つアデルになるよりも、音で自分の世界を作るフィル・スペクターになりたいの」

 そんな「ラスト・コール」とは正反対の魅力を感じるのが「トゥ・ディープ」。ステージでもアルバムでも1曲目の、キャッチーで疾走感あるナンバーだ。

ショーン「2人でスタジオに入り、シャーロットのベースと僕のドラムスでリズムを組み立て、その上にメロディを乗せていった。僕たちは常に一緒にいるので息はぴったり。スタジオで楽器を持てば自然にリズムやグルーヴが生まれる。この曲にはロックンロールのスピード感を体験してもらえるはず」

 2人は2004年に出会い、すぐ絆を感じたそうだ。

シャーロット「ショーンはクールでナード。出会った5分後に量子物理学について語り始めたほど。私のどんな質問にも答えてくれて、知性を感じたわ」

「ナード(nerd)」を日本語に直訳すると"オタク"。友人がいる気配を感じないほどのオタクぶりに、シャーロットは興味を覚えたという。一方、ショーンは、出会った瞬間に運命の相手だと思ったそうだ。

「その時彼女は17歳。男女としてつきあうにはちょっと早かった。だから音楽を通して関係を深めていったんだ。初めて2人で作った曲は『ワールド・ワズ・メイド・フォー・メン』。今回のブルーノート東京のショーの本編のラストに歌った曲だよ」

「ワールド・ワズ・メイド・フォー・メン」は父親、ジョンがフェミニズムを歌った名曲「女は世界の奴隷か!」を思い起こさせる。シャーロットとの関係で育まれたショーン流のフェミニズムだろうか。

live photo
ザ・ゴーストfeaturingショーン・レノン&シャーロット・ケンプ・ミュール
2014 10.31 fri. - 11.2 sun.

photography = Hiroyuki Matsukage
text = Kazunori Kodate

Sean Lennon(ショーン・レノン)
1975 年、ニューヨーク生まれ。ジョン・レノンとオノ・ヨーコを両親に持ち、'98 年に「Into the Sun」でデビュー。2004年にシャーロットと知り合いザ・ゴーストを結成。ホンダFREEDのTVCMにも出演。
Charlotte Kemp Muhl(シャーロット・ケンプ・ミュール)
1987年、アトランタ生まれ。16歳でイギリスの「Harper's and Queen magazine」の表紙を最年少で飾るなど、ミュージシャン、写真家、女優、モデルといった様々な顔を持つ才女。

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