【JAM vol.244】MARY HALVORSON | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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【JAM vol.244】MARY HALVORSON

【JAM vol.244】MARY HALVORSON

text = Mitsutaka Nagira

なぜメアリー・ハルヴォーソンは
ここまで評価されるのか

メアリー・ハルヴォーソンほど、幅広い場で評価されている現代のジャズ・ギタリストもいないだろう。アメリカの権威あるジャズ専門誌「ダウンビート」の批評家投票では、2017年以降、ギタリスト部門をほぼ独占するかたちで9年連続の首位を獲得。いまやジャズ・シーンを象徴するギタリストのひとりとして独自の地位を築いている。同誌に限らず、彼女のアルバムはあらゆるジャズ・メディアの年間ベストの常連であり、彼女を世界屈指のジャズ・ミュージシャンと評することに異論があるものは少ないだろう。

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かと思えば、彼女はジャズに力を入れているわけではないロック系の媒体からも注目されている。たとえば、"Pitchfork"。『Cloudward』や『Amaryllis』、『Belladonna』など、これまでに6作品が取り上げられ、高い評価を得てきた。Pitchforkだけでなく、"PopMatters"や"The QUIETUS"、"WIRED"のようなメディアがたびたび彼女の作品を取り上げ、年間ベストのリストにも加えている。

そのうえ、"天才賞"として知られる「マッカーサー財団フェローシップ」など受賞歴も多い。僕はこのような評価を得ているジャズ・ミュージシャンは他に思い当たらない。メアリー・ハルヴォーソンは音楽シーン全体を見渡しても特別なポジションにいるのだ。

そこで興味深いのは、彼女の音楽がフリージャズを含むエクスペリメンタルなシーンでの活動を中心としていることだ。2010年代以降、広く話題になったジャズ・ミュージシャンは他ジャンルの要素も取り込んだポップなアプローチが必須だった。しかし、彼女の音楽はあからさまなハイブリッドではなく、ギターのサウンドメイクや即興演奏のアプローチなど、ギタリストとしての演奏そのものによって評価されている。そこも特異だ。

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なぜメアリー・ハルヴォーソンがここまで評価されるのか。それは新たな手法を生み出したことにある。彼女は若いころにマーク・リーボウ、ネルス・クライン、ビル・フリゼールをリサーチしていたことをよく話しているし、メルヴィンズやディアフーフ、ロバート・ワイアットへの関心をたびたび口にしているくらいで、その音楽にはロック的な要素が含まれている。とはいえ、ロック的なフレーズを多用するわけでもないし、ディストーションやループ・ペダルを派手に使うわけではない。フリーキーなインプロに浸ってしまうことも滅多にない。ヴィンテージ志向のエレクトリック・ギターを愛用し、そのギターの影響源として1950年代に活躍した名手ジョニー・スミスの名前をあげるだけあり、ジャズそのものの音色や響きを活かしながら、抽象を織り交ぜながら演奏する。しかし、やわらかな音色のギターのチューニングが突如急激にズレるようなエフェクトを自然に織り交ぜ、それが極めて自然にフレーズの一部として機能するように彼女はギターを奏でる。ペダルを使ってピッチを変える彼女のシグネチャー・サウンドは、ジャズ・ギターの古典的な魅力と斬新さや過激さが共存している。こんな心地よさと驚きが同居するギターは彼女にしか奏でられない。

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そのメアリー・ハルヴォーソンがブルーノート東京に初登場する。彼女のもうひとつの特徴に、おびただしい数の録音があるにもかかわらず、異なる編成や異なる人選の作品ばかり発表していることがある。変わり続けることを信条とする彼女は、作品ごとに変化を加え、新たに曲を書く。ブルーノート東京ではリズム・セクションにトランペット、トロンボーン、シンセサイザーを加えたアマリリス・セクステット名義でライヴを行う。2010年代以降の彼女は、最大10人までの多様な編成での録音を行ってきた。6人編成のアマリリス・セクステットは、その到達点のような完成度を誇る近年の彼女の活動における核となる重要なバンドだ。刺激的な即興演奏家としてだけでなく、個性的な作曲家としての彼女の現在地を聴くことができるこの公演を見逃すわけにはいかない。。

LIVE INFORMATION

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MARY HALVORSON's AMARYLLIS SEXTET

2026 8.30 sun., 8.31 mon.
8.30 sun.
[ 1st ] Open 3:30pm / Start 4:30pm [2nd] Open 6:30pm / Start 7:30pm
8.31 mon.
[ 1st ] Open 5:00pm / Start 6:00pm [2nd] Open 7:45pm / Start 8:30pm
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/mary-halvorson/

<MEMBER>
メアリー・ハルヴォーソン(ギター)
アダム・オファリル(トランペット)
ジェイコブ・ガーシック(トロンボーン)
イヴォンヌ・ロジャース(ピアノ、シンセサイザー)
ニック・ダンストン(ベース)
トマス・フジワラ(ドラムス)

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