ドブロ・ギター界の伝説的プレイヤー ジェリー・ダグラスの最新モデル | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

News & Features

ドブロ・ギター界の伝説的プレイヤー ジェリー・ダグラスの最新モデル

ドブロ・ギター界の伝説的プレイヤー ジェリー・ダグラスの最新モデル

ドブロ・ギター界の伝説的プレイヤー
ジェリー・ダグラスが、新たに完成させた
オリジナル・ギターについて語ってくれた

 ブルーグラスを根幹とした、古き良きアメリカン・ルーツなサウンドでファンを魅了し続ける重鎮、ジェリー・ダグラス。彼が愛用するのはリゾネーター・ギターという楽器で、文字通りアコースティック・ギターに金属の反響板(=リゾネーター)を搭載したものである。弾き方も一般的なギターとは異なり、写真のようにギターを横倒しに(地面と平行に)かまえ、ボトル・ネック(ジェリーが左手に持っている金属の筒)を弦の上でスライドさせるのが特徴だ。

READ MORE

 10月に行なわれた来日公演でジェリーが使っていたのは、リゾネーター・ギターの代名詞的存在でもあるドブロ社のギター(通称ドブロ・ギター)からインスパイアされた1本。1980年代からギター作りを行なっているアメリカのポール・ビアード社と完成させた、彼のオリジナル・モデルである。

「12歳のときに初めて見たのが、黒いドブロ・ギターだった。そのルックスが忘れられなくてね。それでポール・ビアードに頼んで、同じ色のギターを作ってもらったんだ。去年完成したばかりの、ブラック・ビアードというモデルだよ」

 特筆すべきはヒップショット社と開発したという、ブリッジ・レバーだ。

「レバーを倒すとオープンDからオープンGへと、ワンタッチでチューニングを変えることができるんだ。これは今までにない画期的な発明だね」

 また、ボディ構造も独特で「通常のアコギは中が空洞だけど、これは内部が板で仕切られている。それによって、低音と高音の鳴るポイントを分けているのさ。これもおそらく初の試みだよ」とのこと。伝統と最新技術が同居した本器は、彼の音楽性そのものを体現した1本と言えるだろう。

instrument
独自開発のブリッジ・レバー。オープンDとオープンGという異なるチューニングをワンタッチで変えることができる
instrument
ペグ部には弦1本1本に対してローラーを搭載。ちなみに赤い指板はレッド・ブビンガ材を使用している。

photography = Takashi Yashima
interview & text = Kenichiro Kawahara
interpretation = Kazumi Someya
cooperation = Rittor Music

Jerry Douglas(ジェリー・ダグラス)
1956年生まれ。アメリカ・オハイオ出身。レイ・チャールズ、エルヴィス・コステロ、エリック・クラプトンといった数々のレジェンドたちと共演する重鎮プレイヤー。ドブロ社製のリゾネーター・ギターを長年愛用し「ドブロの名手」と呼ばれている。
河原賢一郎(かわはら・けんいちろう)
1982年生まれ。編集者/ライター。サックス&ブラス・マガジン、ギター・マガジン、ベース・マガジン、大型ロック・フェスのパンフ、教則本、 Webといった音楽系メディアを中心に、編集・執筆中。

RECOMMENDATION