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MAURICE "MOBETTA" BROWN

artist MAURICE "MOBETTA" BROWN

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

梅雨の空気を吹き飛ばす爽快なトランペットの響き! 
"モベッタ"ことモーリス・ブラウンの公演が昨日から始まりました。テデスキ=トラックス・バンド、アンダーソン・パークやマーカス・ミラーのプロジェクト等での来日経験があるとはいえ、自身のグループを率いて日本を訪れるのは今回が初めて。しかもこのステージは、2020年に決まりながらもパンデミックのために延期されていたライヴの、ついに実現した振替公演でもあるのです。「やっと日本で自分のバンドのデビュー公演ができた」と、ステージ上のブラウンは喜びを隠せません。

演奏曲目はアルバム『The Mood』からのタイトル曲、「On My Way Home」、「Moroccan Dancehall」、約100年前に誕生したデューク・エリントンの古典的楽曲にアップ・トゥ・デイトなアレンジを加えた「In a Sentimental Mood」等。ブラウンは独特の形状のマウスパイプを持つ愛用のトランペットから輝かしい音色を、ときにミュートやエフェクターの効果を伴って届けるとともに、ラップや歌も披露、バンド・メンバーにも細かな指示を与え、実にファンキーでありながら緊張感も失わない音作りでオーディエンスを惹きつけます。一度聴いたら忘れられないメロディとリズム・パターンを持つ「Moroccan Dancehall」も、ライヴになるとさらに迫力倍増といったところ。ステージのあらゆるところに目線を送り、トランペットのベルを向け、演奏しないときにもダンスしたり、トランペットをバットのように持って球を打つようなポーズをするブラウンは、卓越した奏者であるとともに、魅力的なエンターテイナーでもあります。"ジ・エンプレス"の一員でもあるチェルシー・バラッツはテナー・サックスに専念してブラウンと良きアンサンブルをつくり、フェンダー・ローズとアコースティック・ピアノでめくるめくアドリブを展開した泉川貴広、バンドにロック・テイストを持ち込むギタリストのブランドン・タズ・ニードラウアーの演奏も見事でした。

そしてプログラムの後半に登場した「Vibe Out」は、ひとつのモチーフがどんどん発展していく形のインプロヴィゼーション。ドラマーのブラック・ダイナマイトが燃えあがるようなプレイでソリストを煽っていきますが、途中、モーリスが「今度は俺が煽ってやる」とばかりに彼のドラム・セットと向かい合い、実にパワフルなデュオ・パートを繰り広げたのは、ことさら大きな聴きものでした。さらに「It's A New Day」ではジョー・クリーヴランドが和音を交えた実に魅力的なベース・ラインを奏でるなか、客席を練り歩き、高らかにトランペットを吹き鳴らします。

モーリス・ブラウンの尽きないエナジーに、こちらもパワーチャージされること間違いなしの必聴必見ライヴといえましょう。公演は本日、明日も行われます。

(原田 2025 6.25)

Photo by Makoto Ebi

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【LIVE INFORMATION】

2025 6.24 tue., 6.25 wed., 6.26 thu. ブルーノート東京
MAURICE "MOBETTA" BROWN
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