2025 10.23 thu., 10.24 fri., 10.25 sat.
KYLE EASTWOOD QUINTET
artist KYLE EASTWOOD
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
グッド・サウンドとグッド・ルッキングの双方を満喫できるのがカイル・イーストウッドのステージです。約2年ぶりとなるブルーノート東京公演が、昨日から始まりました。メンバーはクエンティン・コリンズ(トランペット、フリューゲルホーン)、ブランドン・アレン(テナー&ソプラノ・サックス)、アンドリュー・マコーマック(ピアノ)、クリス・ヒギンボトム(ドラムス)という、カイルと一心同体というべき面々。スリルと安定を高レベルで併せ持つ彼らの伸び伸びしたプレイをフィーチャーしながら、時にファンキー、時にリリカルに人気曲の数々を届けてくれました。
22日には、三重県の「ISESHIMA JAZZ FESTIVAL 2025 Presents an evening with KYLE EASTWOOD QUINTET」で演奏を繰り広げた5人。ブルーノート東京の初日ファースト・セットは、カイルがフランスのマルシアック・ジャズ祭に捧げて書いた「Marciac」から始まりました。クエンティンとブランドンのアンサンブルはぴったりと息があい、ソロは実にメリハリに富んでいます。二人が徹底的に盛り上げた後、アンドリューが清涼そのものの音色で即興を繰り広げていく展開も実に鮮やかです。
続いては父親のクリント・イーストウッドが監督した1975年公開の映画『The Eiger Sanction』から、タイトル曲を演奏。ここからエンディングまで、カイルは5弦エレクトリック・ベースをプレイしました。2023年に来日したことも記憶に新しい超大御所作曲家ジョン・ウィリアムス(かつてジョン・タウナー・ウィリアムスと名乗るジャズ・ピアニストでした)の書いた印象的なメロディが、モダン・ジャズとして生まれ変わってゆきます。ここでは、フリューゲルホーンに持ち替えたクエンティンが実に甘美なソロを聴かせました。
以降も『Unforgiven』(許されざる者)のタイトル曲や、大ヒット・シリーズ『Dirty Harry』にラロ・シフリンが提供した「Dirty Harry」と「Magnum Force」のメドレー、カイル自身が音楽を担当した映画『Letters from Iwo Jima』(硫黄島からの手紙)からのナンバーなど、父クリントとゆかりの深い楽曲の数々が次々とプレイされました。そして、カイルが最も敬愛する映画音楽家のひとりというエンニオ・モリコーネのソングブックからは「Cinema Paradiso」(ニュー・シネマ・パラダイス)を演奏。カイル、アンドリュー、ブランドン(ソプラノ・サックス)による、どこか室内楽的なアプローチが強く印象に残りました。オーラスは、近年のカイルのステージでは定番といっていいであろう『The Good, the Bad and the Ugly』(続・夕陽のガンマン)の主題歌です。あのインパクト絶大なメロディが飛び出した瞬間、場内が沸きに沸いたことはいうまでもありません。公演は25日まで行われます。
(原田 2025 10.24)
Photo by Jun Ishibashi
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【LIVE INFORMATION】
KYLE EASTWOOD QUINTET
10.23 thu., 10.24 fri., 10.25 sat.ブルーノート東京

10.22 wed. 志摩観光ホテル
ISESHIMA JAZZ FESTIVAL 2025
Presents an evening with KYLE EASTWOOD QUINTET -Live&Dinner-

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