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KEIKO MATSUI GROUP @COTTON CLUB

artist 松居慶子

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

世界を舞台に息の長い活躍を続けているピアニスト、松居慶子。記念すべき30枚目のアルバム『EUPHORIA』がCD/LPともに好評のなか、自身のグループによる1年ぶりの来日ステージが昨日から始まっています。本日からはブルーノート東京に登場しますが、私は初日にあたるコットンクラブでの公演に足を運びました。コットンクラブで演奏するのは約8年ぶりのことだそうです。

共演メンバーは2023年、24年の公演と同じく、ブラジル出身のJP・モウラオ(ギター)、オランダ出身のリコ・ベレッド(ベース)、キューバ出身のジミー・ブランリー(ドラムス)という面々。ステージはまず、彼らが奏でるファンキーなイントロから始まりました。乗りの良い演奏に会場から手拍子が起きた頃、さっそうと松居慶子が登場し、凛としたピアノの音色を響かせてゆきます。楽曲は「Moving On」、2016年『Journey To The Heart』に入っていたナンバーです。長くツアーを続けてきたメンバー4人の呼吸はぴったりで、JPのプレイも"フレーズに泣きが入っている"と形容したくなるほどエモーショナルなものでした。続いては2019年のアルバム『Echo』のタイトル曲が奏でられましたが、途中、ブレイクのところではかなりユーモラスな振り付け(といっていいのでしょうか)も飛び出し、場内をなごませます。卓越したミュージシャンシップを持つ彼らは同時に、エンタテインメント性の大切さも熟知しているのでしょう。

松居慶子グループはまた、彼女のコンポジションを届ける音楽集団でもあります。披露されるナンバーはどれも変化に富み、メロディのキャラクターも立っていて、あらためてその幅広い作風に唸らされます。もちろん『EUPHORIA』からの楽曲もたっぷり披露され、タンゴをベースにした「Rosso Cantabile」では松居がピアノ、シンセサイザー、鍵盤ハーモニカを使い分けて鮮やかなプレイを行い、ヴィブラフォンを思わせるシンセサイザーの音色が生かされたタイトル曲「EUPHORIA」、シャッフル・リズムも盛り込まれた「Luminescence」などなど、リコの硬質で分厚いベースの音色とジミーの明快なドラム・プレイ(カウベルの挟み方も絶妙です)の心憎いまでの連携、視線を交わすところまで見ることができるのもライヴならではの魅力です。2016年に発表された「Wings To Tokyo」は松居とJPのデュオで演奏されましたが、途中で登場するギターのサンバ風リズム・カッティングも大いに会場を盛り上げました。

本日と明日に行われるブルーノート東京公演にはサックス奏者のデイヴィッド・ネグレテも参加、セットリストも異なるものになるとのことです。コスモポリタンたちによる極上のステージをお楽しみください!
(原田 2025 6.21)

Photo by Yuka Yamaji

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【LIVE INFORMATION】

KEIKO MATSUI GROUP
2025 6.20 fri. コットンクラブ
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2025 6.21 sat., 6.22 sun. ブルーノート東京
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SET LIST

2025 6.20 FRI.
1st
1. MOVING ON
2. MOON OVER GOTHAM
3. ROSSO CANTABILE
4. NEW PASSAGE
5. EUPHORIA
6. THE WHITE GATE
7. WINGS TO TOKYO
8. LUMINESCENCE
9. FOREVER FOREVER
10. CASABLANCA
 
2nd
1. MOVING ON
2. STEPS ON THE GLOBE
3. ROSSO CANTABILE
4. NEW PASSAGE
5. EUPHORIA
6. THE WHITE GATE
7. A DROP OF WATER
8. SAFARI
9. FOREVER FOREVER
10. CASABLANCA
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