【来日直前インタビュー】アルフレッド・ロドリゲス | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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【来日直前インタビュー】アルフレッド・ロドリゲス

【来日直前インタビュー】アルフレッド・ロドリゲス

満を持して3年ぶりに来日!
クインシーが惚れ込んだ天才ピアニスト
最高の仲間たちと繰り広げる驚異のステージ

 世界最高峰のプロデューサー、クインシー・ジョーンズを魅了した才人。キューバ出身の天才ピアニスト、アルフレッド・ロドリゲスが約3年ぶりに日本に戻ってくる。「一日も早く皆さんの前で演奏したい」と語る彼に、来日直前インタビューを行なった。

Text = Kazunori Harada
Interpretation:Aki Ota
Live Photo = Makoto Ebi

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「とても困難なパンデミックの時期を乗り越えて、日本に戻れることがすごく嬉しいね。ブルーノート東京は僕にとって自分の家のように感じられる、本当に特別な場所なんだ。オーディエンスの皆さんと音楽を共有できる日が待ち遠しいよ」

 ZOOM画面に映るアルフレッドは、表情も口調も快活そのもの。ライヴでプレイできる喜びを改めてかみしめている毎日なのだという。今度の来日公演は、どんな内容になるのだろうか。

「これまで出してきた5枚のアルバムからも披露したいと考えている。もちろん、パンデミックの時期に作った新曲も初公開するよ。ライヴ活動を再開してから、いろんなステージで少しずつ取り上げてきたけれど、日本ではまだプレイしていないからね。セットリストに関しては、その場で決めていくことになるだろう。僕の音楽は即興を重視しているし、そのときに感じたヴァイブレーションを大切にしながらステージを構成したいからね」

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 ブルーノート東京公演の初日に先立つ6月12日には、群馬県高崎市の「高崎芸術劇場」でホール公演を開催する。

「高崎で演奏するのは初めてなので、何が起こるのか楽しみなところはあるけれど、どこであっても"愛、喜び、希望を表現する"という演奏姿勢に変わりはない。音楽を通じてポジティヴなメッセージを届けることが、僕にとっては最も重要なことだからね。コンサート・ホールとジャズ・クラブは確かに規模が違うけど、オーディエンスがいる場所で起こるマジックは常に素晴らしいものなんだ」

 今回の共演者は、アルフレッドと同じ母国を持つマイケル・オリヴェラ、そしてギリシャ・アテネ出身のパナギオティス・アンドレウ。マーク・ジュリアナやジェイソン・リンドナー(晩年のデヴィッド・ボウイと共演したキーボード奏者)と共演作を残すパナギオティスが、キューバ出身のふたりにどう斬りこんでいくかも公演の焦点となろう。

「キューバのルーツと他の文化を、いかに融合させてゆくか。僕は長年そこに重点的に取り組んでいる。共演者に求めるのは、音楽に栄養を与えてくれること。一緒に演奏することで、音楽をより豊かにしてくれるミュージシャンが理想だ。ドラムスのマイケル・オリヴェラとは僕が15歳か16歳の時にキューバの学校で知り合って以来、20年以上一緒に演奏している。ベースのパナギオティス・アンドレウはニューヨーク在住で、6年ほど前に知り合ったはずだ。彼の持つギリシャのルーツと、マイケルと僕が持つキューバのルーツが一緒になれば、とても面白いサウンドができるんじゃないかと思って誘ったのが始まりだね。しかもパナギオティスは、キューバ人より詳しいんじゃないかというぐらいキューバ音楽に精通しているんだ(笑)。個人的には、"僕らの音楽はステージに立つ前から始まっている"と考えている。音楽観に限らず人生観も共有して、友情も築いたうえで、演奏を通じてオーディエンスに自分たちのメッセージを伝えたい。そういう意味でも今回は、最高の仲間との公演になるはずだ」

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「パンデミック(コロナ禍)は、多くの"発見"を与えてくれた」とも語る。

「2020年春からのパンデミックによって、日常が奪われてしまった。僕にとっての日常は、世界中をツアーして演奏することだったが、それが不可能になったことで、これまでにないほど家にいる時間を持つことができた。個人的な話になるけれど、ちょうどその頃、娘が生まれた。彼女の成長過程に立ち会ううちに、新しく学ぶところがあった。今あるものを楽しむことや、毎日新しいものを見つけ出すことの面白さ、物質的なものではなく精神的なものの大切さを、彼女は教えてくれたんだ。もちろん音楽はパンデミック中にもSNSを中心に発信していたし、昨年7月にヨーロッパ、その後アメリカでもライヴ活動を再開してから、SNSでつながった多くの方と出会うことができた。日本でもいろんな方に会いたいし、音楽の喜びをわかちあいたいね」

 徹底的に磨き抜かれたピアノ・タッチ、エキサイティングそのものの選曲、高まるいっぽうのエンタテインメント性。最高を更新し続ける俊英アルフレッド・ロドリゲスの最新ステージを、心ゆくまで堪能したい。


LIVE INFORMATION

ALFREDO RODRIGUEZ TRIO
presented by QUINCY JONES PRODUCTIONS

6.12 sun. 高崎芸術劇場 スタジオシアター
http://takasaki-foundation.or.jp/theatre/concert_detail.php?key=746

6.13 mon., 6.14 tue., 6.15 wed. ブルーノート東京
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/alfredo-rodriguez/
※6.15 wed. 2ndショウのみインターネット配信(有料)実施予定

<Member>
Alfredo Rodriguez(p,vo)
Panagiotis Andreou(b)
Michael Olivera(ds)

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原田和典(はらだ・かずのり)
「ジャズ批評」誌編集長を経て、2005年ソロ活動を開始。米国のジャズ誌「ダウンビート」国際批評家投票メンバー、ミュージック・ペンクラブ・ジャパン理事。代表的著書にソウル・ジャズを特集した『コテコテ・サウンド・マシーン』がある。

公演に向け、期待高まるコメントが到着!

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エスペランサ・スポルディングらを迎えての斬新な2014年作から、レバノンやカメルーン、ブラジル出身の名手たちと手がけるスケールの大きな作品群にも魅了された。マイケル・オリヴェラとの白熱のコンビ、Now VS Nowでクールなサウンドを聞かすギリシャ生まれのパナギオティス・アンドレウとの化学反応も期待。

大塚広子(DJ/選曲家/ライター)

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アルフレッド・ロドリゲスといってすぐに思い浮かぶのは力強く鋭いタッチで繰り出される息もつかせぬ超絶技巧だ。パナギオティス・アンドレウ(b)、マイケル・オリヴェラ(ds)との今回のトリオも凄まじい勢いで迫ってくるはずだが、それとともに匂いたつ哀愁と才気あふれるイマジネーションにも期待したい。

岡本郁生(音楽ジャーナリスト)

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ついにマイケル・オリヴェラの演奏が観られる!キューバ出身、スペインを拠点に活躍するドラマーである彼の魅力は、ラテンを現代のジャズドラムから再び捉え直したようなモダンなグルーヴ感だ。多層的リズムがドラムで表現される様は感動的。以前の来日公演での衝撃をはっきりと覚えている。さらに進化した演奏が楽しみ!

高橋アフィ(ドラマー、ライター)

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アルフレッド・ロドリゲスの「Super Mario Bros 3.」は僕がDJする時に度々かける飛び道具的なお気に入り曲。超絶テクニックと強烈なキューバンリズムをポップに詰め込んだこの曲にはアルフレッドの魅力が詰まっている。この曲を東京でも生で弾いてくれるのだろうか。

柳樂光隆(Jazz The New Chapter)

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アルフレッド・ロドリゲスが双子姉妹デュオのイベイーやイブラヒム・マーロフをフィーチャーした『Tocororo』はいまも愛聴盤で、ピアニストとしてはもちろん、プロデューサー、特に人を選ぶセンスに一目置いています。『Tocororo』ではリチャード・ボナのベースも光ってましたが、今回の公演ではパナギオティス・アンドレウを選んだことに注目。ジェイソン・リンドナーのNow vs Nowを長年支えてきた素晴らしいベーシストは、このトリオでどんなプレイになるのか? アルフレッド・ロドリゲスはサム・ウィルクスとセッションする映像を公開していて、ベーシストとのプレイが一番好きなのでは?とも思ったので、尚のこと楽しみです。

原 雅明 (rings)

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