高野寛 × 畠山美由紀 × おおはた雄一、個々の音楽が初めて交わり、新境地に踏み入れた | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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高野寛 × 畠山美由紀 × おおはた雄一、個々の音楽が初めて交わり、新境地に踏み入れた

高野寛 × 畠山美由紀 × おおはた雄一、個々の音楽が初めて交わり、新境地に踏み入れた

3人の音楽が溶け合い新しい世界が生まれた

 2014年は3人にとって貴重な一年となる。
個々の音楽が初めて交わり、新境地に踏み入れた。
今日のライブは、彼らの思いが紡ぐ特別な夜となった。

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 だいぶ時間も過ぎ客観的に綴れるかな? と思ったけれど、なかなか難しい。あの日の静かな高揚はまだ続いているし、それがブルーノート東京という特別な会場だったのだから、尚更。

 畠山美由紀さんとは結構古い。初めて会ったとき、彼女はまだ二十歳そこそこで、僕はまだ30代前半の青年だった。夜のカフェで『What's going on』を歌いこなす姿を観て、クラブカルチャー以降の新世代の歌姫の出現を感じ、すぐさま僕のアルバムにコーラスで参加してもらった。僕もギタリストとして彼女のアルバムに何曲か参加した。

 それから何年か経っておおはた君とも出会う。力の抜けた歌とギターから日本人離れした「hobo」感が漂っていた。デビューして初のバンドワンマンが決まって、生まれて初めてライブのセットリストを決めたというエピソードを訊いて、なんて自由なんだ!と思った。歌とギターの表現のバランスがイーブンなところにシンパシーを感じた。おおはた君と会うと、いつもギターの話ばかりしている。

LIVE1
HIROSHI TAKANO × MIYUKI HATAKEYAMA × YUICHI OHATA "Good evening blue"
高野寛 × 畠山美由紀 × おおはた雄一 "Good evening blue"
2014 11.27 thu.
Hiroshi Takano (vo, g), Miyuki Hatakeyama (vo),
Yuichi Ohata (vo, g)

SET LIST
1st
1.OVER THE RAINBOW/2.余白の余韻/3.ゴロワーズを吸ったことがあるかい/4.UNTITLED/5.波間にて/6.ベステンダンク/7.DOG YEAR, GOOD YEAR/8.FREE/9.確かな光/10.その町の名前は/11.わが美しき故郷よ/12.若葉の頃や/12.歌で逢いましょう/12.夢の中で会えるでしょう/EC.美しい星

2nd
1.OVER THE RAINBOW/2.UNTITLED/3.未来の月/4.ゴロワーズを吸ったことがあるかい/5.いつもの珈琲/6.ベステンダンク/7.DOG YEAR, GOOD YEAR/8.虹の都へ/9.FREE/10.確かな光/11.その町の名前は/12.わが美しき故郷よ/13.若葉の頃や/14.歌で逢いましょう/15.夢の中で会えるでしょう/EC.美しい星

 あれから15年以上の時が過ぎ、僕らは数え切れないほどのステージに立ち、大人になった。3人はそれぞれ2人では共演していたものの、3人で一緒に演ったのは実は今年が初めて。スタイルの違う僕とおおはた君のギターが、一緒に音を出すと不思議と溶け合って響きあう。3人が一緒に歌った時に生まれる世界の広がりは、自分たちでも驚くほど。初めての3人での東京のライブ、しかもブルーノートというハレの舞台は、ギター2本と3人の歌だけのシンプルなアンサンブルとハーモニーを贅沢に彩ってくれる魔法の装置でもあった。歌と音を、愛で、慈しみ、味わい、楽しみ尽くした特別な夜だった。

LIVE2

photography = Yuka Yamaji
text = Hiroshi Takano

高野寛(たかの・ひろし)
1964年生まれ。SSW、ギタリスト、プロデューサー。最新作はモレーノ・ヴェローゾをプロデューサーに迎えブラジルで録音されたソロデビュー25周年記念アルバム『TRIO』。

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