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DEE DEE BRIDGEWATER & BILL CHARLAP "Elemental"

artist BILL CHARLAP , DEE DEE BRIDGEWATER

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

ヴォーカリストのディー・ディー・ブリッジウォーター、ピアニストのビル・チャーラップ。グレイト・アメリカン・ソングブックをこよなく愛するふたりの日本公演が、遂に始まりました!

このプロジェクトは2020年頃、ディー・ディーの発案で始まったようです。2025年発表のアルバム『Elemental』はグラミー賞ベスト・ジャズ・ヴォーカル・アルバムにノミネート。ハリウッド・ボウルやロイス・ホールのオーディエンスを熱狂させてきたデュオを、ブルーノート東京で楽しめるのは、ぜいたくのひとことに尽きます。場内はもちろん超満員、スーツでビシッと決めたビル、初期の名盤『Afro Blue』のジャケット写真を彷彿とさせる坊主頭のディー・ディー、どちらも実にスタイリッシュです。プロジェクト発足から7年目を迎え、ますます充実するふたりの"音の会話"を楽しむことができました。

ビルはミュージカル『ピーター・パン』の作曲者としても知られるムース・チャーラップを父に、歌手サンディ・スチュアートを母に、ウディ・アレン映画のサントラを数多く手がけるピアニストのディック・ハイマンを親戚に持つサラブレッド。これまでの発表ディスクの曲目を見ればおわかりのようにグレイト・アメリカン・ソングブックへの造詣は並外れて深く、とあるインタビューでは"メロディだけではなく歌詞も頭に入っている。なぜなら楽曲は歌詞とメロディが五分五分だからだ"とも語っています。即興演奏ならぬ即興歌唱を積極的に行なうと共に、時に身振り手振りを交えながら、歌詞を丁寧に伝えていくディー・ディーにとって、ビルはまさに最高のデュオ・パートナーなのではないかと思われます。

ステージではジョージ・ガーシュウィン作「'S Wonderful」(ジョージ・ガーシュウィン作曲、アイラ・ガーシュウィン作詞)、「Just One of Those Things」(コール・ポーター作詞・作曲)、「The More I See You」(ハリー・ウォーレン作曲、マック・ゴードン作詞)などの歴史的名曲が、当意即妙のパフォーマンスによって次々と届けられました。ディー・ディーは椅子に座るかと思えば、バンドスタンドのすみずみまで歩いて観客と目を合わせたり、ビルの隣に位置して彼の指使いを見ながら歌唱を繰り広げます。互いのフレーズに互いが反応しあい、これまで百年近くにわたって数えきれないほどの音楽家に取り上げられてきた定番が、この日・この時ならではの仕上がりになっていくのは本当に鮮やかです。ほか、この初日ファースト・セットでは、「Cottontail」、「Caravan」、「Lush Life」と、デューク・エリントン関連人物のナンバーが多いのも特徴でした。「Cottontail」は全編スキャットでしたが、その多彩なシラブルと柔軟なリズム感は、ジャズ・ヴォーカルを志している人々(会場にも、相当数いたのではないでしょうか)にとっても、大きすぎるほどの収穫になったのではと思います。また、ワン・コーラスの長い壮大なバラード「Lush Life」を実に滑らかに歌い上げた場面も、この日のクライマックスのひとつではないかと私は感じました。語りかけるような前半、長い音符でゆったり流れてゆく中盤、半音がねちっこく続く後半、と、ディー・ディーの表現は精緻を極め、ビルのピアノが極上のバックグラウンドを提供します。

ヴォーカル・ファン、ピアノ・ファン、スタンダード・ナンバー・ファン必聴の公演は6月1日まで開催中です。
(原田 2026 5.31)

Photo by Takuo Sato

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【LIVE INFORMATION】

DEE DEE BRIDGEWATER & BILL CHARLAP "Elemental"
2026 5.30 sat., 5.31 sun., 6.1 mon. ブルーノート東京
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