2025 8.15 fri., 8.16 sat., 8.17 sun., 8.18 mon.
GORDON GOODWIN'S BIG PHAT BAND "25th Anniversary" Year of Celebration!
artist GORDON GOODWIN'S BIG PHAT BAND
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
真夏に浴びるビッグ・バンド・サウンドは、ことのほか痛快です。"25 Years of Phatness"と題する25周年記念公演を続行中のビッグ・ファット・バンド(BPB)のブルーノート東京4デイズが、昨日から始まりました。
リーダーは、もちろんグラミー賞など数々の賞に輝くゴードン・グッドウィン。いつもならピアノやサックスの演奏、コンダクトやMCなどで場内を沸かせてくれるところですが、今回は体調不良により、事前に収録された"声の音源"での参加です。飛行機に乗る許可がおりなかったので今回の来日は断念せざるを得なかったとのことですが、次回の公演では必ずオーディエンスの前で演奏することを力強く約束してくれました。そして現場では、トランぺッターのウェイン・バージェロンがMCを務め、テナー・サックス奏者のブライアン・スキャンロンがコンダクターとしても活躍。ピアノとキーボードの位置にはゴードンの希望をうけて、宮本貴奈がつきました。宮本は、去る5月に行われた"フォー・トランペット・レジェンズ"(エリック・ミヤシロ、ウェイン、アレン・ヴィズッティ、ホセ・シバハ)のライヴにも参加しており、まさに適任といえましょう。公演では彼女の鍵盤プレイだけではなく、ヴォイス(スキャット)も味わうことができました。
レパートリーは、これまでの人気曲と、年末にリリースが予定されているアニヴァーサリー・アルバムからのナンバーで構成されていました。オープニングは「T.O.P.Adjacent」。ゴードンが世界一のファンク・バンドと形容する"タワー・オブ・パワー"に捧げたナンバーです。個人的にはエリック・マリエンサルのショウケースという印象が強いのですが、この日はダン・カネユキが勢いたっぷりのプレイを繰り広げました。やはり人気の高いレパートリーの一つであるジョージ・ガーシュウィン作「Rhapsody In Blue」では、アニバル・セミナリオがクラリネット、フルート、サックスを持ち替えて彩り豊かなサウンドに貢献します。ファンクやブラス・ロックに通じる音作りも、1920年代に書かれた"シンフォニック・ジャズ"も、同じ2025年の空間に解き放てるのが、そして観客を熱狂させることができるのがBPBの面々なのです。
アニヴァーサリー・アルバムからの楽曲のうち、「Change Is Good」はこの初日ファースト・セットが記念すべきライヴ初披露だったとのことです。BPBのソフトな一面を打ち出したような楽曲で、宮本貴奈のプレイも大きくフィーチャーされました。「Everywhere U Look」と「Glitch In The Simulation」は前回の公演でも聴かせてくれましたが、前者におけるアンディ・ワデルの超絶的なエレクトリック・ギターは圧巻。"スウィープ・ピッキング"という形容がぴったりきそうな超絶技巧と、カラフルなホーン・アンサンブルが対称の妙を描きます。
ほか、スタンダード・ナンバー「Sweet Georgia Brown」のコード進行を基にした「Swingin' For The Fences」、トランペット・セクションとサックス・セクション(フルート兼任)のユーモラスなやりとりが圧巻の「Backrow Politics」などなど、盛りだくさんのプログラム。アメリカ西海岸直送の肥沃なビッグ・バンド・サウンドを体感できる"25 Years of Phatness"公演は18日まで続きます。
(原田 2025 8.16)
Photo by Yuka Yamaji
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【LIVE INFORMATION】
2025 8.15 fri., 8.16 sat., 8.17 sun., 8.18 mon. ブルーノート東京
GORDON GOODWIN'S BIG PHAT BAND "25th Anniversary" Year of Celebration!
coming soon