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TERRI LYNE CARRINGTON: WE INSIST 2025! featuring CHRISTIE DASHIELL

artist CHRISTIE DASHIELL , TERRI LYNE CARRINGTON

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

ゲイリー・バーツの圧倒的なパフォーマンスが先日で終了し、昨日からテリ・リン・キャリントンの公演が始まっています。

バーツはドラム奏者マックス・ローチの『Members, Don't Git Weary』(邦題;不屈の闘士)に参加し、詩人ラングストン・ヒューズの「I've Known Rivers」に曲をつけて歌った重鎮ですが、テリ・リンの公演テーマは「WE INSIST 2025!」。マックス・ローチが詩人で歌手のオスカー・ブラウンJr.と合作し、歌手アビー・リンカーンの協力を得て1960年に録音したアルバム『WE INSIST! -Freedom Now Suite-』への、65年ごしとなるオマージュです。この夏に発売された『WE INSIST 2025!』では60年版における唯一の存命者であろうトロンボーン奏者ジュリアン・プリースターもゲスト参加していましたが、東京公演には気鋭ばかりが集い、「1960年当時から現在に至るまでの音楽の変化」(そこにはエレクトリック楽器やアンプの発展も含まれます)を気前よく盛り込んだかのような、多彩なコード・ワーク、バラエティに富んだリズムが横溢するひとときを届けてくれました。

エスペランサ・スポルディングやノナ・ヘンドリックスを含む"モザイク・プロジェクト"や、リズ・ライトを加えたユニットでもブルーノート東京に登場したことがあるテリ・リンですが、今回のライヴではクリスティー・ダシールの歌声や朗読が思いっきりフィーチャーされます。彼女は、ボビー・ワトソンの"ホライズン"(少年時代のロイ・ハーグローヴが在籍していたこともあります)などで活動したベース奏者/教育者であるキャロル・V・ダシールを父に持ち、マーキス・ヒルが参加したソロ・アルバム『Journey In Black』がグラミー賞にノミネートされたニュー・スターです。豊かな歌声にテリ・リンのしなやかなドラムスが絡み、マシュー・スティーブンスのギターが変幻自在のオブリガートを挿入し、黒田卓也のバンドでの来日経験も多いラシャーン・カーターはエレクトリック・ベースとアコースティック・ベースを持ち替えてボトムを支えます。このグループにはさらに、ふたりの新世代が加わっていました。ダンスと朗読を担当したクリスティアーナ・ハントと、先ほどアルバム『Reflection Of Another Self』を出したトランぺッターのミレーナ・カサドです。こうした面々が、テリ・リンのディレクションのもと、"今の視点で再創造されたWE INSIST!"を目の前で届けるのは、すこぶるエキサイティングな出来事であるといえましょう。

パフォーマンス中、何度もテリ・リンがローチ、ブラウン、リンカーンへの感謝を述べていたのも印象的でした。先達への敬意あってこその、リ・クリエイションなのです。公演は8日まで続きます。
(原田 2025 8.7)

Photo by Yuka Yamaji


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【LIVE INFORMATION】

TERRI LYNE CARRINGTON: WE INSIST 2025!
featuring CHRISTIE DASHIELL
2025 8.6 wed., 8.7 thu., 8.8 fri. ブルーノート東京
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