【JAM vol.216】ステイシー・ケント | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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【JAM vol.216】ステイシー・ケント

【JAM vol.216】ステイシー・ケント

text = Kenichi Aono

温かで軽やかな歌声とインテイメイトな雰囲気を
存分に味わう秋の夜

 そろそろウールのアウター__たとえば一重仕立ての軽やかなコートのよう__が恋しいかな、という季節に決まって聴きたくなるのはステイシー・ケント。温かみがあって同時にふわりとした軽快さも兼ね備えたその歌声が深まる秋に実にしっくりくるからだ。

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 出身地であるアメリカ・ニュージャージーから渡英したのち、同地で音楽活動を本格化させたステイシー・ケントは、ポップス、シャンソン、ボサノヴァなどを英語、フランス語、ポルトガル語を使い分けジャズのフィーリングで表現するシンガー。その歌声から「ジャズ・ソングバード」とも称され、2009年にはフランス芸術文化勲章を受章するなど各国で高い評価を獲得し、世界中の多くの人を魅了している。最新アルバム『Songs From Other Places』(2021) では、サンフランシスコ出身でスタンダードから前衛まで幅広い知識と技巧を有するピアニストのアート・ヒラハラを迎え、アントニオ・カルロス・ジョビン、ビートルズ、ポール・サイモンらの楽曲と、ステイシー・ケントをフェイヴァリット・シンガーとして挙げているカズオ・イシグロが詞を手がけたオリジナル曲を穏やかなトーンでまとめあげた。

 3年ぶりとなる今回のブルーノート東京公演の演奏は『Songs From Other Places』に参加したアート・ ヒラハラと、公私にわたりパートナ ーである音楽監督でサックス奏者のジム・トムリンソンが担当。ステイシー・ケントのヴォーカルを存分に引き立てるのに最適な編成である。披露されるレパートリーは、おそらく『Songs From Other Places 』に収録の曲が中心となりそうだが、アルバム・ヴァージョンには入っていないジムのサックスが加わることで華やかさや色彩がぐっと増すのではないだろうか。

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 日暮れが早まり、本格的な秋の到来を感じる頃、こうしてステイシー・ケントの歌声に触れられるのは実に嬉しい。ブルーノート東京はこのインテイメイトかつ繊細な演奏を味わうのにぴったりのヴェニュー。彼女のステージを楽しんだ帰り道は、上質なコートを羽織ったかのような温かさと心地よさに包まれているにちがいない。

LIVE INFORMATION

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ステイシー・ケント

2022 10.14 fri., 10.15 sat., 10.16 sun.
10.14 fri.
[1st]Open5:00pm Start6:00pm [2nd]Open7:45pm Start8:30pm
10.15 sat., 10.16 sun.
[1st]Open4:00pm Start5:00pm [2nd]Open7:00pm Start8:00pm
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/stacey-kent/

<MEMBER>
ステイシー・ケント(ヴォーカル)
ジム・トムリンソン(サックス)
アート・ヒラハラ(ピアノ)

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