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[インタビュー|MY INSTRUMENT]アヴィシャイ・コーエン

[インタビュー|MY INSTRUMENT]アヴィシャイ・コーエン

求めるのは
"ありのまま"の音

『過去、現在、未来』以来となる15年振りの師弟再会。
師匠チック・コリアとの旧交を温めるために
アヴィシャイが求めたこだわりのサウンドとは?

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新進気鋭のベーシストとしてチック・コリアに見い出され、オリジンを経て2001年にチックのニュー・トリオの一員に抜擢、『過去、現在、未来』に参加したアヴィシャイ・コーエン。現在では、自身のバンドからマーク・ジュリアナ(ds)やシャイ・マエストロ(p)など有望な若手を輩出する立場となったアヴィシャイだが、15年振りとなるチックとのトリオは、いわば原点回帰と言えるものだ。

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ロック・アンプの代名詞、アンペグのSVT-AVを使用。ミドル・トーンを完全に絞った極端な設定だ。
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駒に挟み込まれたピエゾ・ピックアップとマイクによる2ウェイ出力。アヴィシャイも同様のシステムを使用。

今回は諸事情により日本で用意したウッド・ベースを使用したアヴィシャイだが、普段メインとして愛用しているのは独フレッチュナー(Pfretzschner)の1910年製3/4サイズ。最新リーダー作『フロム・ダークネス』のジャケットにも登場しているもので、96年に入手して以来これまでのすべての録音、ライブで愛用している信頼の1本だ。

「どの帯域も過不足のない、フル・サウンドが欲しいんだ。その一方で高域でのメロディもキレイに鳴るフォーカスされた音もあって欲しい。僕のウッド・ベースはそれをすべて満たしてくれているね」

フレッチュナーの駒部分にはリアリストのピエゾ・ピックアップが搭載されており、その音はアンプから出力されるが、他にもマイクで集音した音も必ずミックスしているそうで、時にはマイク音のみを使うこともあるという。

アンプは、「ファットな音が出る」という理由でロックのイメージが強いアンペグを愛用。ミドルを完全に切った極端な設定だが、「ウッド・ベースをアンプに通すとどうしてもナチュラルさが失われてしまうんでミドルは切っているんだ。必要なミドルは弦のハジき方など指のコントロールで出しているよ」と意図を語る。実際、アンプはメンバーへのモニター用という役割が強く、マイク音中心、できれば生音での演奏が理想だという。ナチュラル・サウンドへの強いこだわりが感じ取れるだろう。

photography = Takashi Yashima
Interview & text = Gentaro Yamamoto
Interpretation = Kazumi Someya
Cooperation = Rittor Music

Avishai Cohen(アヴィシャイ・コーエン)
1970年生まれ、イスラエル出身。97年にチック・コリアのオリジンに参加し、本格的なデビューを果たす。98年の初ソロ作『アダマ』発表以降は、ボーカル作やピアノ作も含む多彩なリーダー作を発表している。

山本彦太郎(やまもと・げんたろう)
フリー編集者/ライター。主に楽器誌で活動。ベース・マガジン編集部在籍時の2001年、チック・コリア・ニュー・トリオのライブを観て衝撃を受け、急遽アヴィシャイの表紙採用を編集長に直談判した過去あり。

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