LIVE REPORTS

ARTIST ARCHIVES

MONTHLY ARCHIVE

VIDEO ARCHIVES


Simon Phillips & Protocol 6

artist SIMON PHILLIPS

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

ジェフ・ベック、マイケル・シェンカー、ミック・ジャガーらと共演し、TOTOやザ・フーや上原ひろみザ・トリオ・プロジェクトにも参加。技を磨き続けるレジェンダリー・ドラマー、サイモン・フィリップスが自信作『Protocol 6』を携えて、2年ぶりにブルーノート東京で公演しています。

今回のメンバーはオトマロ・ルイーズ(キーボード)、アーネスト・ティブス(ベース)、アレックス・シル(ギター)というおなじみの顔ぶれに、新しくフィリップ・ワック(サックス)が加わった構成。つまり『Protocol 6』のレコーディング・メンバーそのままです。フィリップはクラシックを学んだ後、ジャズに惹かれ、ジョン・コルトレーンの演奏を聴いて進む道を決めたというひとり。ファンク・トロンボーンの神格であるフレッド・ウェスリーのニューJB'sの一員として数々のレコーディングに参加しているほか、アリ・シャヒード・ムハマドとエイドリアン・ヤングの『Jazz Is Dead 11』ではトニー・アレン(アフロビートの伝説的ドラマー)とのプレイを繰り広げています。鳴り渡るテナーとソプラノの響き(しかもとても素早い持ち替えもします)は、今の"プロトコル"の新しい武器といっていいでしょう。

ライヴ本編はまさしく、『Protocol 6』の世界をブルーノート東京に直送という感じです。サイモンはまずMCで観客に感謝を述べた後、バンドスタンド左側に位置した要塞のようなドラム・セットにもぐりこむように移動して位置につき、指示を出し、そこから全員一丸となった演奏が始まります。「Andromeda」、「Unstable Grounds」、「Code 4 Kryptos」など新作からの曲がほとんど間を置かずに飛び出すさまは、まさに"惜しげもなく"といったところ。いかにサイモンがこのアルバムに誇りを持っているか、ここからのレパートリーをナマで届けたいのかが伝わってくるかのようです。ドラムと他の楽器による高速ユニゾンの美しさ、だまし絵のような箇所もあるけれどつい体を動かさずにはいられないリズム・パターンは大きな快感を運び、同一ナンバーであっても、ソリストごとの背後でコード等のパターンを巧みに変えながら起伏をつけていくアレンジも見事でした。私が特に感銘を受けたのは、3部構成の超大作「Event Horizon」。ディスクを聴いて"ここは編集しているのかも"と勝手に想像していたパッセージも含めて、目の前で、流れるように、華麗に聴かせてくれたのは、ただただ「すごい」の一言。しかもメロディに、なんともいえない優しさ、哀感があるのです。抒情から激情までのグラデーションを描くような「Event Horizon」の音が消えて、静まっていた客席から猛烈な拍手が沸き上がってきたときにすさまじい高揚感を覚えたリスナーは私だけではないと思います。

アメリカの著名な音楽評論家、ビル・ミルコウスキーが「最高レベルのプログレッシヴ・ジャズ」と称賛するサイモン・フィリップス"プロトコル"の世界。初日は超満員のなかで熱演が繰り広げられましたが、5人はこのまま6日のセカンド・ショウまで、猛烈なエナジーでオーディエンスをノックアウトし続けるに違いありません。
(原田 2026 7.5)

Photo by Tsuneo Koga

―――――
【LIVE INFORMATION】

Simon Phillips & Protocol 6
2026 7.4 sat., 7.5 sun., 7.6 mon. ブルーノート東京
詳細はこちら

SET LIST

coming soon

INDEX