2026 3.12 thu., 3.13 fri., 3.14 sat., 3.15 sun., 3.16 mon.
ROBERT GLASPER - PIANO TRIO
artist ROBERT GLASPER
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
英雄、約3年半ぶりの"帰還"! ロバート・グラスパ―・トリオの5デイズ・10セット公演が12日から始まりました。
2022年のカウントダウン~2023年のニューイヤー・ライヴでは、バーニス・トラヴィスII(ベース)、ジャスティン・タイソン(ドラムス)、ジャヒ・サンダンス(DJ)と高密度のプレイを繰り広げたグラスパーですが、今回は四半世紀以上に及ぶ音楽仲間であるダミオン・リードがドラムスを担当。2004年に発表されたグラスパーのファースト・アルバム『Mood』の頃から続く至高のコンビネーションに目の前で浸ることができます。
バンドスタンドにはまず、ジャヒ・サンダンスが登場しました。彼のことは、元サックス奏者で現在は詩作や作曲に情熱を傾けている巨星オリヴァー・レイクの愛息としても知られていることでしょう。父親ゆずりの深みのある声でMCも務め、そこから全メンバーが一体となったパフォーマンスへと突入します。このユニットでのグラスパーは、彼が長い期間をかけて自身の一部にしてきたであろう古典的なスタンダード・ナンバーも盛んにプレイするのですが、この日、とくに冴えわたっていたのが「Stella By Starlight」でした。ハンク・ジョーンズ、オスカー・ピーターソン、ビル・エヴァンス、チック・コリア、キース・ジャレットなど数限りない先人たちが取り組んだ楽曲で、グラスパーも2015年リリースのアルバム『Covered』で実に粋なハーモニー感覚を盛り込んだアレンジを伴いながら解釈していましたが、それから十数年、「Stella」のドラマティックなまでの深化・拡大・発展は止まりません。冒頭の無伴奏ソロ・ピアノ・パートは、7~8コーラスは続いたのではないかと思います。抽象的・打楽器的なフレーズの群れから徐々に「Stella」のメロディが浮かび上がってきて、頃合いを見計らってバーニスやダミオンが入り、さらにジャヒがさまざまな出音で刺激を加えていきます。
金字塔『Black Radio』からの「Gonna Be Alright (F.T.B.)」で場内をさらに沸きに沸かせた後、キング牧師の高名な演説にインスパイアされてハービー・ハンコックが書いたと伝えられる「I Have A Dream」へ(以上2曲ではジャヒが関連音源を再生、これも実に効果的でした)。「I Have A Dream」後半ではダミオンがスティックとブラッシュの双方を用いて、文字通り歌うようなドラム・ソロを展開。それが終わると間断なくグラスパーの炸裂するような無伴奏ソロ・パートが始まり、やがてセロニアス・モンク作「I Mean You」が恐ろしいほどのスウィング感を伴って、あまりにも新鮮に表現されていきます。後半、一切コード(和音)を弾かず、左手と右手を交差させて、単音をばらまきながら猛烈に息の長いフレーズを即興してゆく時の緊張感、殺気に、ふと私はロバート・ハーストの超絶名盤『Unrehurst, Vol. 2』(ドラムスはクリス・デイヴ)におけるグラスパーの弾きっぷりを想起し、さらに興奮を高めました。
寒さがぶり返し気味の今日この頃ですが、アコースティック・グラスパー、ジャズ・グラスパーの魔力に包まれて心も体もすっかり暖まりました。本日以降のステージでも、スリル、ハプニング、グルーヴでいっぱいの音世界に超満員のオーディエンスを案内してくれるに違いありません!
(原田 2026 3.13)
Photo by Tsuneo Koga
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【LIVE INFORMATION】
ROBERT GLASPER - PIANO TRIO
2026 3.12 thu., 3.13 fri., 3.14 sat., 3.15 sun., 3.16 mon. ブルーノート東京

2026 3.19 thu. 高崎芸術劇場 / スタジオシアター

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