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HARVEY MASON featuring GONZALO RUBALCABA & FELIX PASTORIUS "Changing Partners / Trios 2" Vinyl Release Party

artist FELIX PASTORIUS , GONZALO RUBALCABA , HARVEY MASON

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

近年はジャズ・ファンク系ユニット"カメレオン"を率いての来日が続いていたハーヴィー・メイソンの、ピアノ・トリオ編成による公演が昨日から始まりました。題して「ハーヴィー・メイソン featuring ゴンサロ・ルバルカバ&フェリックス・パストリアス "チェンジング・パートナーズ / トリオス・ツゥー" ヴァイナル・リリース・パーティ」。活動初期にエロール・ガーナーやジョージ・シアリングといった伝説的ピアニストのもとで腕を磨いたメイソンが、改めてジャズに向かい合うプロジェクトで、全体の半数近くがスタンダード・ナンバーです。

といっても、たっぷりひねりが加えられた内容であることはいうまでもありません。フェリックスは6弦のエレクトリック・ベースを駆使し、キューバ出身のゴンサロは彼独自の流儀というしかないアドリブを綴ります。メイソンもステディにビートを供給するというよりは、美しくチューニングされたタムやシンバルを使い分けて、ソフトに、メロディアスに、ソリストのプレイに絡んでいきます。フェリックスは"カメレオン"での来日経験もありますが、メイソンとゴンサロの共演は十数年ぶりとのこと。この3人が揃って人前でプレイするのは今回が初めてらしく、演奏家自身もハプニングを大いに喜び、その熱量をそのまま客席に届けている印象を受けました。

オープニングでは、"ロッズ"を使ったメイソンの無伴奏ソロから始まりました。一聴フリー・フォームのようなプレイがしばらく続き、「この先、どうトリオの音楽が展開していくのだろう」と思ったところ、休符を絶妙にすくいとるような形でゴンサロのピアノが入り込み、続いてフェリックスがネックに指を走らせます。曲目はコール・ポーターが書き、マイルス・デイヴィスやビル・エヴァンスも名演を残した「All of You」、ただしメイソン、ゴンサロ、フェリックスの3人は曲を解体し、再びつなぎあわせ、こね、さらに解体し、もう一度つなぎ合わせ...という感じで演奏を展開していきます。後半でのピアノとドラムのかけあいは完全な即興だったのではと思いますが、見事エンディングに着地、大きな拍手を巻き起こすのはさすがトップ・ミュージシャンです。

中盤では「4A.M.」も演奏されました。そうです、ハービー・ハンコックのアルバム『Mr.Hands』のなかで、ハンコック、メイソン、フェリックスの父である故ジャコ・パストリアスが共演したナンバーです。「ジャコの息子がバンドにいるのだし、ひょっとしたらこの曲をやってくれるかな」と期待して来場したファンも少なくなかったのでは、と私は思っています。こうした楽曲をプログラムに挿入してくれるのも嬉しいところですし、原曲ではシンセサイザーやフェンダー・ローズがフィーチャーされていたところを、ゴンサロのアコースティック・ピアノで味わえるのも新鮮です。また、フェリックスを大きくフィーチャーしたバラード「Love Is a Losing Game」も大きな聴きものでした。3人のチームワークはさらに磨かれていくことでしょう。公演は10日まで続きます。
(原田 2025 5.9)

Photo by Great The Kabukicho

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【LIVE INFORMATION】

HARVEY MASON
featuring GONZALO RUBALCABA & FELIX PASTORIUS
"Changing Partners / Trios 2" Vinyl Release Party
2025 5.8 thu., 5.9 fri., 5.10 sat. ブルーノート東京
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