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Bluey from INCOGNITO presents CITRUS SUN "ANACONGA"

artist CITRUS SUN

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

ソールド・アウト続出の人気グループ、シトラス・サンが今年も日本を訪れています。リーダーはもちろん、インコグニートの総帥としても知られるブルーイ。インコグニートより編成が小ぶりであること、オリジナル曲のほかに彼が大きな影響を受けた70~80年代のフュージョン~ポップス・ナンバーの趣向に富んだカヴァー・ヴァージョンがたっぷり聴けることも、シトラス・サンの特徴といえましょう。来日し始めた頃はインストゥルメンタル・ナンバーの比重が多かった記憶がありますが、現在はジョイ・ローズの歌声も存分にフィーチャーされており、文字通りインコグニートの姉妹バンドとしてシトラス・サンの音楽を楽しんでいるファンも増えていることと思います。

メンバーのうち、ブルーイ、ジョイ、キーボードのグラハム・ハーヴィーは4月29日に行われた大阪万博公演「SPEAKING JAZZ presented by the United Nations Pavilion」に参加したばかり。ブルーイはこのブルーノート東京公演の初日でも「とても楽しい経験だった」と振り返っていました。オープニングは、昨年発表の新作『Anaconga』でも冒頭に収められていた「Mister Mellow」。ジョイの滑らかな歌声をブルーイのバック・ヴォーカルが控えめに支え、グラハムのフェンダー・ローズとレガ・ダウナのシンセサイザー(ちょっと"ソリーナ"を思わせるストリングス系の音です)が絡む響きは、まさにメロウそのもの。看板ギタリストであるチャーリー・アレンのプレイは今回も絶品です。この曲に限らずケヴィン・ロビンソンはトランペットよりフリューゲルホーンを用いて、滑らかなロング・トーンを響かせます。

カヴァーに取り組むとき、ブルーイはほぼ1曲ごとに、その楽曲がいかに自分にとって思い入れのあるものなのか、そのアーティストをどれほど敬愛しているのかをMCで伝えます。ボビー・コールドウェルの「Down For The Third Time」、エリカ・バドゥの「Honey」、フレディ・ハバードの解釈と本家クリストファー・クロスのヴァージョンをマッシュアップしたという「Ride Like The Wind」、日野皓正の「Send Me Your Feelings」など、幅広いセレクションが、ひとつの"シトラス・サン・サウンド"というべき世界観のもとにアレンジされ、こちらに届けられます。ブルーイの確固たる美意識と、彼のディレクションのもとに一糸乱れぬプレイを行うメンバーたちの呼吸が見事です。

スペシャル・ゲストとして参加した、前述のレガ・ダウナは、もちろんメイン楽器であるハーモニカでも魅力を発揮。2020年のアルバム『Expansions And Visions』に提供した自作曲「Back To Wonderland」では、特に大きくフィーチャーされました。2018年の来日時はまだ少年の面影を残していましたが、いまの彼は観客の耳目をひきつけてやまない、華のある存在になったといっていいでしょう。そしてステージのラストは、場内総立ち状態のまま、伝説的トランぺッターであるトム・ブラウンが80年代初頭にヒットさせた「Funkin' For Jamaica」の新解釈へ。実に見事な流れでした。

シトラス・サンの公演はあさってまで続き、最終日にあたる5日のファースト・ステージは「JAZZ for CHILDREN」と題する特別プログラムとなります。満席となっている日程もありますので、空席状況はお電話でお問い合わせください。


(原田 2025 5.2)

Photo by Makoto Ebi

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【LIVE INFORMATION】

2025 5.2 fri., 5.3 sat., 5.4 sun., 5.5 mon. ブルーノート東京
Bluey from INCOGNITO presents CITRUS SUN "ANACONGA"
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