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THE BAD PLUS / Farewell Tour

artist THE BAD PLUS

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

今世紀最初の年にファースト・アルバム『The Bad Plus』を発表して以来、あまりにも独自の軌跡を描いてきた人気グループ、ザ・バッド・プラスがフェアウェル・ツアーを開催中。その日本公演が昨日から始まりました。

中心人物はリード・アンダーソン(ベース)とデイヴ・キング(ドラムス)のふたり。しばらくのあいだピアニストとのトリオでピクシーズ、ザ・ポリス、ニルヴァーナ等のカヴァー、さらにはストラヴィンスキーの「春の祭典」などにも取り組んできましたが、クリス・スピード(テナー・サックス)とベン・モンダー(ギター)を迎えてからは、アンダーソンやキングの興味深いオリジナル曲を表現することに心血を注いできたといってもいいでしょう。

現行ザ・バッド・プラスは、アルバム『The Bad Plus.』(2022年)と『Complex Emotions』(2024年)という2枚のアルバムを発表しています。セットリストはそこに収められているナンバーを中心に選ばれ、初日に関してはファースト・ショウ、セカンド・ショウ、まったく異なる内容でした。最後のツアーという特別な機会にひとつでも多くの楽曲をライヴで届けたいというバンドの気持ちの表れでもあるでしょうし、いっぽう、ファンにとっては「あの曲も、この曲も目の前で聴ける」という至高の体験が続くことにもなります。私はグループの全歴史を愛する者ですが、「ものすごく高密度の集大成を浴びた」という印象を受けたまま、身も心もほぐれるような感じで帰路に尽きました。

セカンド・ショウのオープニングは、前述の2022年作品でも1曲目に収められている「Motivations II」。アンダーソンとキングのコンビはまさしく一心同体という感じ、この鉄壁のリズム・セクションに、高音を絞り出すように吹くスピード、空間にフレーズを漂わせていくかのようなモンダーが乗ってアンサンブルが提示されます。「こんなに爽快な音を出すユニットが、今年いっぱいで終わってしまうのか」という淋しさにも包まれますが、そう思っている間にも目の覚めるような演奏で聴く者の気持ちを「いま」に戻してくれるのがザ・バッド・プラスです。

おととしの公演でも強い光を放っていた「Sick Fire」の即興パートの"彼らなりのフリージャズ"というべき展開の面白さ、無伴奏によるベースの導入部から始まるナンバー「Giant」(ピアノ・トリオ時代のアルバム『Prog』に収められていました)が生み出す豊かな叙情。2022年のアルバム収録曲ながら、現時点での彼らからのメッセージにも思えるタイトルの「You Won't See Me Before I Come Back」で本編をしめくくり、満員のオーディエンスからの鳴りやまぬ拍手を受けて無類に乗りの良い「Deep Water Sharks」(『Complex Emotions』収録)を始めるあたりの流れも本当に見事でした。スティック、ロッド、マレットなどを使ってドラムスのいろんなパート(タムの縁まで)を叩き、つぶやくような音から爆裂までを見事にコントロールするキングの手腕にもほれぼれさせられるばかりです。

最後にモンダー、アンダーソン、キング、スピードが背の順に並んで声援にこたえ、ステージは締めくくられましたが、モンダーはマリア・シュナイダー・オーケストラの元メンバーであり、キングはジュリアン・ラージ・トリオの一員。また、スピードが率いていた"イエー・ノー"にはクオン・ブー(元パット・メセニー・グループ)が在籍していました。そのあたりも踏まえてライヴを鑑賞してみるのも一興なのではないかと思います。公演は19日まで行われます。メンバーの今後の活躍がさらに充実したものになることを願ってやみません。歴史的バンド、ザ・バッド・プラスの最終形態をお見逃しなく。
(原田 2026 10.18)

Photo by Jun Ishibashi

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【LIVE INFORMATION】

THE BAD PLUS
Farewell Tour
2026 10.17 sat., 10.18 sun., 10.19 mon. ブルーノート東京
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