2026 9.24 thu. @Cotton Club / 2026 9.25 fri., 9.26 sat. @Blue Note Tokyo
ULYSSES OWENS JR. & GENERATION Y @COTTON CLUB
artist ULYSSES OWENS JR.
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
3度のグラミー賞に輝くドラマー、ユリシス・オーエンスJr.が率いる"ジェネレーション Y"の来日公演が始まりました。本日からブルーノート東京でのステージが開催されますが、私は24日に行われたコットンクラブの初日ファースト・セットに足を運びました。今年に入ってからジェネレーション Yは『Around The World With U』、『Kind Of Grunge』と趣向の異なる2作品をリリース。結成から約10年、グループの勢いはますます加速しています。
参加メンバーのうち、寺久保エレナ(アルト・サックス)、アンソニー・ハーヴィー(トランペット)、タイラー・ブロック(ピアノ)は昨年の公演に引き続いての参加です。そして、ベースは1997年生まれのトーマス・ミロヴァツが担当しました。レイ・ブラウンやポール・チェンバースを生んだペンシルヴェニア州ピッツバーグ出身、ウォーキング奏法もソロも弓弾きも抜群のプレイヤーです。しかも大のグランジ・ロック・ファンでもあるそうで、もちろん『Kind Of Grunge』にも貢献しています。
ステージはユリシスのドラム・ソロから始まり、そこから寺久保が書いた乗りのいい「Little Girl Power」に移り行きます。どこかエディ・ハリスの作風へのオマージュのようでもあり、面白いことにサックスもピアノもベースもアドリブの中に、ハリスの代表曲「Freedom Jazz Dance」のメロディを引用していました。ユリシスのプレイはソロの時もバッキングの時も"しなやか"の一言に尽き、とくにシンバル・ワークの柔らかさは特筆ものです。続いて演奏されたのは、ディジー・ガレスピーが1940年代半ばに書いた「Be Bop」。昨年の公演でも披露されたレパートリーですが、今回はアレンジを全面的に刷新したようです。ブレイク(ソリスト以外が演奏を休む)の効果的な採用や無伴奏のベース・ソロ・パートも魅力的なら、ラスト・テーマに突如チャーリー・パーカー作「Confirmation」が挿入されるあたりも実にユニークです。続いては、サブリナ・カーペンターが2024年にヒットさせた「Espresso」を端麗にジャズ化。ユリシスの軽やかなドラム・プレイは、どこかアーマッド・ジャマル・トリオの名演「Poinciana」におけるヴァーネル・フォーニアのそれを思い出させます。「Be Bop」と「Espresso」の作曲時期には約80年の歳月が流れていますが、何の違和感も与えず、共に極上のアコースティック・ジャズとして提供してくれるのがジェネレーション Yの面白さです。
ところでユリシスは「別にロック・ガイというわけではない」そうです。が、オンライン音楽教育プラットフォーム「Drumeo」のYouTubeチャンネルの、"ロック・バンドの、ドラム・パートを抜いた演奏に自分でドラムを重ねてみよう"的なコーナーで、一度も聴いたことがなかったニルヴァーナの楽曲「In Bloom」に即興的に臨んだところ、見事うまくいって大評判となったことが、『Kind Of Grunge』の制作へとつながりました。同時にこのアルバムはタイトルが示す通りマイルス・デイヴィスの名盤『Kind Of Blue』への捧げものでもあり、そのあたり、自分はあくまでもジャズ・ガイであるというユリシスの気骨がうかがえるようです。初日ファースト・セットでは「Even Flow」(パール・ジャム)、「Would?」(アリス・イン・チェインズ)、「Smells Like Teen Spirit」(ニルヴァーナ)がとりあげられましたが、こうした楽曲がいかにジャズとして届けられていくかも、今回の来日ライヴの焦点となることでしょう。ブルーノート東京での公演は本日、明日と行われます。
(原田 2026 9.25)
Photo by Tsuneo Koga
―――――
【LIVE INFORMATION】
ULYSSES OWENS JR. & GENERATION Y
2026 9.24 thu. コットンクラブ

2026 9.25 fri., 9.26 sat. ブルーノート東京

coming soon







