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TILL BRÖNNER "ITALIA"

artist TILL BRÖNNER

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

今年2月に行われたビル・エヴァンス&ヴァンスバンド・オールスターズの公演で鮮やかなトランペットを聴かせてくれたティル・ブレナーが、自身のプロジェクトとしては約7年ぶりに登場! 日本語によるユーモアたっぷりのMCも挟みながら、トランペット、フリューゲルホーン、ヴォーカルの魅力を、最新アルバム『ITALIA』からの楽曲を中心としたセットリストから届けてくれます。ティルはドイツ生まれですが、子供の頃ローマで過ごしたことがあり、イタリアにとても親しみを持っているとのこと。その"イタリア愛"が、今回のプロジェクトに反映されたわけです。

アルバムにはニコラ・コンテ、アミーン・サリーム(元ロイ・ハーグローヴ・クインテット)、マリオ・ビオンディなどが参加していましたが、ライヴ・メンバーにもファンクOK、ボサノヴァOK、スウィングOK、フュージョンOKの逸材が揃っています。ピアノとキーボード(オルガンの音色の選択が絶品でした)のオラフ・プーツシーンはティルと同世代のベテランで、フランクフルト・ジャズ・トリオ名義の録音が寺島靖国選曲のコンピレーション・アルバムに収められていたことを覚えているファンもいらっしゃることでしょう。ギターのブルーノ・ミュラーは、ドラムスの名手ウォルフガング・ハフナーとのコンビネーションでも知られる逸材。アコースティック・ギターのカッティング、エレクトリック・ギターにおける"泣き"の入ったフレーズづくり、どちらもバンドに欠かせない要素と断言できます。エレクトリック・ベースとアコースティック・ベースを兼ねるクリスチャン・フォン・カプヘンクストは、おそらくグループ最年長。マーク・マーフィー、チャーリー・マリアーノなど今は亡き巨匠たちとの共演経験も豊富です。ドラマーのデヴィッド・ヘインズはイタリアの人気ポップ・スターであるズッケロのレコーディングにも参加している凄腕で、この日はハンド・ドラム奏法(スティックを使わず手で叩く)でも驚異的なグルーヴを生み出していました。

あたたかな音色で詩的に奏でられるフリューゲルホーン、時にハイノートを織り交ぜながら吹かれる疾走感たっぷりのトランペットと、ティルのプレイは、それぞれの楽器の旨味を感じさせる見事なものでした。そして、ゲスト・ヴォーカリストのアレッシア・タヴィアンとの共演トラックでは歌声にそっと寄り添うかのようなプレイを行います。最も有名なイタリアン・ソングのひとつであろう「Volare」は、あいにくアルバムに入っていませんが、いろんな場所でリクエストを受けるらしく、この日も演奏。あの覚えやすいメロディが、トランペットとギターのユニゾンで奏でられ、高速4ビートにのったティルのトランペット・ソロは、彼のジャズ・プレイヤーとしてのポテンシャルの高さを改めて伝えてくれました。思いっきりハードにドライヴしておいて、次に「Parole Parole」を持ってくるセンスもまた卓抜。邦題は「あまい囁き」、アラン・ドロンとダリダ、細川俊之と中村晃子などもレコードを残していますが、もともとはミーナとアルベルト・ルーポのイタリア人コンビが流行らせた曲なのです。通常、この曲は歌(女性)+セリフ(男性)なのですが、ティルはフリューゲルホーンを語りかけるように吹き、リフレインの部分でアレッシアと歌声を重ねます。

MCでティルは「このバンドには2時間半のマテリアルがある。ぜひ複数回、足を運んでもらえたら」と語っていました。リピート必至の公演は、13日まで行われます。
(原田 2026 9.11)

Photo by Yuka Yamaji

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【LIVE INFORMATION】

TILL BRÖNNER "ITALIA"
2026 9.10 thu., 9.11 fri., 9.12 sat., 9.13 sun. ブルーノート東京
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