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SAMANTHA FISH

artist SAMANTHA FISH

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

ひとくちにロックと言っても本当に多彩なかたちがありますが、ブルース・フィーリングに溢れ、ギターが唸り、リフで引っ張り、バンドが一丸となって盛り上がるタイプのロックが放つ"普遍性""王道感"は格別です。

最新アルバム『Paper Doll』がグラミー賞の最優秀コンテンポラリー・ブルース・アルバム賞にノミネートされたサマンサ・フィッシュが、昨日から白熱のプレイを繰り広げています。彼女がブルーノート東京に登場するのは今回が2度目ですが、前回は1セットのみの公演でした。今回は3デイズ6セットに及ぶパフォーマンスなので、一層サマンサの幅広い魅力に迫れることに疑いはありません。

オープニングは、デトロイトが生んだ伝説のユニット"MC5"(パンク・ロックの先駆にも数えられています)の代表曲である「Kick Out the Jams」のサマンサ流解釈。彼女は曲によってチューニングを変え、加えてスライド・バーも駆使するので、結果として何種類ものギターがステージ上でプレイされることになるのですが、やはり白いギブソンSGを弾いているときの姿は、格別に絵になりますし、歌い終えた後、バンドスタンドの左右を行き来して、オーディエンスを煽るようにギター・ソロを展開していくところも鮮やかでした。

バンド・メンバーが醸し出すサウンドも骨太そのもの。ラ・ラ・ブルックス(伝説的ドラマー、イードリス・ムハマド夫人)の伴奏も務めたことのある名匠ミッキー・フィンは手のひらの手首寄りの部分をオルガンの鍵盤上で左右させて猛烈なグリッサンドを作り、マリリン・マンソンのアルバムにも参加しているドラマーのジェイミー・ダグラスはアクションいっぱいにシンバルやタムを操ります。米国の大雪の影響により来日不能となったロン・ジョンソンに替わって参加したKenKenも逞しい音色とうねるようなフレーズで存在感抜群です。そのプレイはムッシュかまやつや山岸竜之介と結成していた"LIFE IS GROOVE"での好演を思い出させるものでした(13日の公演ではバビー・ルイスがベースを担当予定)。

最新作のタイトル・チューンでは、歌声+ギターのユニゾンやスライド・パートとチョーキング(ベンディング)のコントラストで酔わせ、シガーボックス・ギターを弾きまくる高速ブギ「Bulletproof」ではオーディエンスから一層の熱い拍手や歓声を引き出します。ステージの中盤ではバンド・メンバーが舞台をおりて、サマンサのアコースティック・ギターによる弾き語りが3曲披露されたのですが、これもまた大きな喜びを与えてくれるものでした。しかもそのうちの1曲が、チャーリー・パットンの「Jim Lee Blues」なのです。パットンといえばブルース史の最初のほうに登場する超大物ですが、後進のロバート・ジョンソンやマディ・ウォーターズほどには、その楽曲が現代のミュージシャンには受け継がれていないような気がします。が、サマンサは少なくとも2010年代から「Jim Lee Blues」を演目に加え、カヴァーし続けてきました。約100年前にパットンの苦みばしった声で綴られたブルースが、サマンサのクリアな歌声によって、目の前で生まれ変わっていくさまは快感の一言に尽きました。

サマンサ・フィッシュと仲間たちの、会心のライヴ・パフォーマンスは2月13日まで行われます。ブルース、ロック、ギターのファンはもちろん、アメリカン・ミュージックを愛する人にはぜひ足を運んでいただきたいステージです。
(原田 2026 2.11)

Photo by Takuo Sato


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【LIVE INFORMATION】

SAMANTHA FISH
2026 2.11 wed., 2.12 thu., 2.13 fri. ブルーノート東京
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