2025 7.12 sat., 7.13 sun., 7.14 mon.
MONTY ALEXANDER:Special Edition featuring LUKE SELLICK, JASON BROWN & ROBERT THOMAS JR.
artist MONTY ALEXANDER
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
昨年、80歳記念公演を開催した人気ピアニストのモンティ・アレキサンダーが、今年も元気いっぱいにブルーノート東京に戻ってきてくれました。共演メンバーはルーク・セリック(ベース)、ジェイソン・ブラウン(ドラムス)と、ここまでは前回と同じ気鋭たちですが、今回はここにロバート・トーマスJr.の打楽器が加わります。そうです、『Ivory & Steel』など数々のモンティのアルバムに貢献すると共に、ウェザー・リポートではジャコ・パストリアスやピーター・アースキンと共に鉄壁のリズム・セクションを組んでいたベテランの名手(別名ボビー・トーマスJr.)が同行しているのです。自らの楽器をパーカッションではなくハンド・ドラムと称する彼のマジカルな両手の動きを目の当たりにできるのは、疑いなく当公演の目玉のひとつでしょう。
モンティは「自然の流れ」を本当に大切にしているミュージシャンです。譜面を読まずに耳だけを頼りに楽曲を身につけてきたことはよく知られるところでしょうが、ライヴのセットリストを事前に用意することもありません。おそらくピアノの椅子に座って鍵盤を押そうとする瞬間まで、彼自身も何の曲を演奏しようとか意識していないのではないでしょうか。その時、突如、何かがおりてきて、演奏が始まるという感じなのです。ステージの並び順は向かって左からトーマス、セリック、ブラウン、モンティ。下手側からの3人はモンティの自由自在なイントロダクションに耳を傾け、いつそれがテーマ・メロディにつながっていくかに精神を集中しているかのようです。やがてモンティがテーマの演奏にとりかかるとともにベース、ドラム、打楽器も合流して、そこからピアノのアドリブに移っていくのですが、その間もモンティは時おり左手でサインを送ったり、引く手を休めて立ち上がり3人に指示を出すなど、「即興的なアレンジ」に事欠きません。その指示に瞬時に対応するメンバーの、なんと息の合っていることかと感心させられるばかりです。
「何が出てくるか予測がつかない」と同時に、「どの曲も親しみやすい」のもモンティのライヴの特徴といえましょう。コンガ、ボンゴ、シンバルを組み合わせた独自のセットで演奏するトーマスの技が炸裂したのは「Montevideo」「Fungi Mama」などカリプソ~ラテン・フレイヴァーあふれる楽曲。マーヴィン・ゲイの「What's Going On」やカーペンターズで有名な「We've Only Just Begun」などもすっかりモンティ節に衣替えされていました。また私が足を運んだ初日ファースト・セットでは、「Come Fly with Me」や「In the Wee Small Hours of the Morning」といった、モンティの恩人のひとりでもある大歌手フランク・シナトラの代表曲も聴くことができました。
皆さまがいらっしゃるセットでは、はたしてどんなレパートリーがモンティの黄金のタッチで奏でられることでしょうか。公演は14日まで続きます。思いっきりお楽しみください!
(原田 2025 7.13)
Photo by Great The Kabukicho
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【LIVE INFORMATION】
2025 7.12 sat., 7.13 sun., 7.14 mon. ブルーノート東京
MONTY ALEXANDER:Special Edition
featuring LUKE SELLICK, JASON BROWN & ROBERT THOMAS JR.
coming soon