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An Evening with CHRIS BOTTI

artist CHRIS BOTTI

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

デヴィッド・フォスター・プロデュースの近作『Vol.1』も大好評。スティングやポール・サイモンとの共演でも知られる人気トランぺッター、クリス・ボッティのステージが始まりました。

いつも要注目のメンバーを帯同するクリスですが、今年のそれも強力です。抜群のグルーヴとショウマンシップを併せ持つドラマーのリー・ピアソン、アコースティック・ベースとエレクトリック・ベースの双方を鮮やかに切り替えるダニエル・シミエリンスキーは昨年に引き続いての参加。今回はここに俊英ジュリアス・ロドリゲスのピアノやキーボードもフィーチャーされます。ジュリアスは昨年リリースされたアルバム『エヴァーグリーン』が日本でも大評判を呼んだマルチ・ミュージシャンですが、ひとりのジャズ・ピアニストとして「Someday My Prince Will Come」などスタンダード・ナンバーで軽やかなアドリブを繰り広げる姿も絶品でした。御大クリスはトレードマークといえるエコーを利かせた音作りのなか、抒情的なミュート・プレイ、ハイノート(超高音)も織り交ぜたオープン・プレイの双方で個性を発揮します。ライヴの定番である「Whan I Fall in Love」(偶然にも、この前日、やはりトランペット奏者であるマーキス・ヒルのブルーノート東京公演でも演奏されていました)は、アウトロ部分でウォーの「Low Rider」風のフレーズも飛び出す、新たな、よりファンキーなアレンジとなり、場内を一層沸かせました。

ゲスト・プレイヤーのうち、2020年の公演以来の参加となるヴァイオリン奏者アナスタシア・マズロクは、このバンドにクラシカルな色彩を加え、ヴォーカル&ギターのジョン・スプリトホフはAOR~ポップス的な味わいを持ち込みます。途中、マイクを使わずに歌いあげた「A Song for You」における彼の豊かな声量、それを盛り立てる抑制の利いたバンド・サウンドもまた、この初日公演のクライマックスだったといっていいでしょう。もうひとりのゲスト・シンガー、ベロニカ・スウィフトは父がピアニストの故ホッド・オブライエン(『Ridin' High』という傑作を残しています)、母がジャズ歌手のステファニー・ナカシアンというサラブレッド。エラ・フィッツジェラルドやサラ・ヴォーンなど先人への敬愛を感じさせる鮮やかなフレージングやスキャットは本当に見事、胸のすくような快唱です。

「今のスタンダード・ナンバーを届けるよ」というクリスの一言から始まったのは『Vol.1』にも収録されていた、コールドプレイの楽曲「Fix You」。ジョンとヴェロニカがリード・ヴォーカルをとり、それまでドラムスに専念していたリー・ピアソンがバック・コーラスを担当します。まさに"クリス・ボッティ・シアター"というべき、バラエティに富んだライヴ・パフォーマンスは19日まで続きます。
(原田 2025 5.16)

Photo by Takuo Sato

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【LIVE INFORMATION】

An Evening with CHRIS BOTTI
2025 5.15 thu., 5.16 fri., 5.17 sat., 5.18 sun., 5.19 mon. ブルーノート東京
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