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MICHEL CAMILO TRIO featuring DAFNIS PRIETO & RICKY RODRIGUEZ

artist MICHEL CAMILO

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

5月上旬のブルーノート東京は、まるで"カリブ週間"です。2日までジャマイカ出身のピアニスト、モンティ・アレキサンダーが円熟と貫禄のステージを繰り広げていましたが、3日からはドミニカ共和国出身のピアニスト、ミシェル・カミロの公演(5日間10セット)が始まりました。毎回、超満員のオーディエンスを沸かせているカミロですが、トリオによる公演は5年ぶり。プエルトリコ出身のベース奏者であるリッキー・ロドリゲス、キューバ出身のドラマーであるダフニス・プリエトとの、いわば"カリビアン・トリオ"による宴です。

リッキーは19年の公演にも同行した、現在のカミロが最も信頼を寄せるアコースティック・ベーシスト。堅実なサポート、雄弁なソロ、どちらにも尋常ではない才能を発揮しています。ダフニスは今から15年ほど前にカミロのレギュラー・トリオに在籍したことがあり、名盤『Spirit Of The Moment』でも圧倒的な冴えを聴かせてくれました。当時からカミロとダフニスの相性の良さを知るファンには、まさに涙モノの再会といっていいはずです。

ベストといえるメンバーとの公演ということもあるのでしょう、初日ファースト・セットのレパートリーも「ベスト・オブ・カミロ」と呼びたくなるものでした。オープニングはライヴの大定番、「From Within」。ラテン・ジャズにスポットを当てたフェルナンド・トゥルエバ監督の映画『Calle 54』(2000年)でもフィーチャーされていたナンバーで、そこではカミロ、アンソニー・ジャクソン、オラシオ・エル・ネグロ・エルナンデスによるトリオ演奏を視聴することができましたが、今回のカリビアン・トリオの演奏も強力無比です。カウベルやウッドブロックも活用したダフニスの"ひとりパーカッション・アンサンブル"と呼びたくなる演奏にはいっそうの磨きがかかり、右側(観客から見て左側)にある小型のシンバルで入れるアクセントも、また鮮やかです。すべての鍵盤を駆使するがごときダイナミックなカミロのプレイ、安定感たっぷりにボトムを押さえるリッキーの指さばき、すべてがライヴ体験の喜びにつながります。

以降も、ピアノで歌いかけるようなバラード「A Place In Time」、生涯に約1000曲を残したというキューバの作曲家エルネスト・レクオーナが書いた古典的な「Danza Lucumi」における非常にドラマティックな解釈、どこかマッコイ・タイナーを彷彿とさせるパワフルな4ビート「Repercussions」(『Spirit Of The Moment』収録曲)などを快調に届けてくれました。「Repercussions」におけるピアノとドラムのやりとりはライヴの興奮を含んでさらに白熱、笑顔でアイコンタクトをとりながら超絶フレーズを連発しあうカミロとダフニスにオーディエンスは一斉に沸きます。やはり大定番である「On Fire」で場内を釘づけにして、チャーミングな「St.Thomas」でステージを締めくくるあたりのプログラミングも絶妙です。本日から7日の千秋楽にかけての4日間、この絶好調トリオはさらに飛翔してくれること間違いなし!
(原田 2024 5.4)

Photo by Great The Kabukicho

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★来日公演は5/7(火)まで!

MICHEL CAMILO TRIO
featuring DAFNIS PRIETO & RICKY RODRIGUEZ
2024 5.3 fri., 5.4 sat., 5.5 sun., 5.6 mon., 5.7 tue. ブルーノート東京
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SET LIST

2024 5.3 Fri.
1st
1. FROM WITHIN
2. A PLACE IN TIME
3. AND SAMMY WALKED IN
4. DANZA LUCUMI
5. REPERCUSSIONS
6. ON FIRE
EC. ST. THOMAS
 
2nd
1. SPIRIT OF THE MOMENT
2. SEE YOU LATER
3. MY SECRET PLACE
4. MONGO’S BLUES
5. TROPICAL JAM
6. THEN AND NOW
7. CARIBE
EC. ON THE OTHER HAND

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