LIVE REPORTS

ARTIST ARCHIVES

MONTHLY ARCHIVE

VIDEO ARCHIVES


MARK GUILIANA

artist MARK GUILIANA

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

まるで冒険譚の登場人物になったような気分をもたらしてくれるライブでした。強烈なスリル、一糸乱れぬアンサンブル、針を落とすような音まで聴こえそうなところからオーケストラに匹敵するのではないかと思われるほどの音圧を醸し出すパートまで、4人はさまざまな展開でオーディエンスを魔術にかけます。"次の瞬間、何が出てくるのだろう"とわくわくしながら聴いているうちに最後の一音が消えて、ようやく"もう、そんなに時間が経っていたのか"と気づきます。なにか魔法にかけられたようだ、という表現は、こうした時に使うのでしょう。

マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテットの来日公演が昨日から始まりました。共演メンバーはジェイソン・リグビー(テナー・サックス)、ポール・コーニッシュ(ピアノ)、クリス・モリッシー(ベース)。ポールのみ最新作『ザ・サウンド・オブ・リスニング』とは異なりますが、あまりにも歯切れ良いタッチとハーモニー感覚は逸材の名にふさわしいものです。ジェイソンのプレイは、"管体そのものが鳴っている"という表現がぴったり。声を混ぜた吹奏(グロウル)を取り入れたかと思えば、まるでベン・ウェブスターに表敬するかのようなサブトーンでメロディをいつくしむように奏でます。クリスは音程の良さ、強靭なビート、端麗な弓弾きという、アコースティック・ベーシストの理想を兼ね備えた存在。マークはそれぞれのタムやシンバルが持つトーンを、色のように捉えているのでしょうか。音で絵を描くかのように、カラフルでニュアンスに富んだプレイを繰り広げます。ベースのフレーズとキック(バスドラ)を、ここまでシンクロさせたジャズのバンドを筆者はほかに知りません。

20世紀のジャズ・カルテットは、ベースとドラムスが一定のパターンで土台を作り(伴奏し)、そのうえでソリストがかわるがわる頂点に立って名人芸を繰り広げる"三角形型"が定石でしたが、マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテットは楽曲中に無伴奏ソロや、さまざまな組み合わせによるデュオやトリオの箇所も含みながら、"楕円"を描きます。「Mischief」、「Taylor」、「Under the Influence」とノンストップで続くセクションは特に圧巻。クリスの独奏に、やがて低音を執拗に弾くポールのフレーズが重なって、さらにマークのハンド・ドラムも加わり、フリージャズ的展開へと流れていく箇所の鮮烈さ、混沌から一転して訪れる静寂。メンバーの巧みな語り口と、ドラマティックな曲展開が一体化します。

先日は1970年代から第一線に立つ大ベテラン・ドラマーのスティーヴ・ガッドが登場し、超満員のオーディエンスの前で熱演を繰り広げましたが、ドラムやビートを愛する者であれば、このマーク・ジュリアナ公演、および3月開催予定のネイト・スミス公演も必見といえましょう。世界をまたにかけるガッド、マーク、ネイトの生演奏が日本で同時期に楽しめる機会は本当に稀少です。マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテットのマジカルなパフォーマンスは、明日3日まで続きます。
(原田 2023 2.2)

Photo by Tsuneo Koga

★来日公演は2月3日(金)まで!
MARK GUILIANA
2023 2.1 wed., 2.2 thu., 2.3 fri.
[1st]Open5:00pm Start6:00pm [2nd]Open7:45pm Start8:30pm
詳細はこちら

SET LIST

2023 2.1 WED.
1st
1. a path to bliss
2. inter-are
3. Johnny Was
4. Mischief
5. Taylor
6. under the influence
7. the most important question
 
2nd
1. a path to bliss
2. inter-are
3. everything changed after you left
4. our essential nature
5. Mischief
6. September
7. the most important question
EC. when the day turns into night

INDEX