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MICHEL CAMILO SOLO

artist MICHEL CAMILO

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


待ちに待ったこの日が、ついに訪れました。"ピアノの魅力を知り尽くした男"ミシェル・カミロ、約3年ぶりの来日ステージです。5月5日にニューヨークから東京に到着し、5月7日、万全のコンディションでブルーノート東京公演連続4デイズ・8セットの初日に突入しました。

まだまだオーディエンスの検温消毒やマスク着用や発声禁止がやむを得ない状態とはいえ、座席は以前よりも解放され、駆けつけた大勢のオーディエンスの誰もが、これから始まるピアノ・ヒーローの実演を一刻も早く心待ちにしている印象を受けました。場内が暗くなり、カミロが登場すると、割れんばかりの拍手が起こります。何度も立ち止まりながら満面の笑顔で両手を高く挙げ、深々とお辞儀をした後、彼はマスクを外し、ステージ中央に位置したピアノ"スタインウェイ・コンサートグランド"に指を走らせていきました。

「常に予想を超える選曲の面白さ」「ひたすら厚く鮮烈に鳴り渡るピアノの音色」「どちらも利き手としか思えない縦横無尽の指さばき」「演奏する喜びにあふれた表情」「トリル(装飾音)の時にひときわ高く上げる左手のフォームの美しさ」などなど、個人的に考えるカミロのライヴ鑑賞ポイントは尽きないのですが、オープニングでさっそく届けてくれたのは「魔術のようなイントロづくりのうまさ」です。ちょっと抽象的・打楽器的なフレーズから始まり、「これからどうなっていくのだろう」とハラハラさせられるうち、さまざまなモティーフが織物のように縫い合わされて、弾むようなリズム・パターンと合体します。"ああ、ソニー・ロリンズの演奏で有名な「St.Thomas」がこんな風になるなんて"と気づく頃には、カミロのマジックに、心底ノックアウトされているという寸法です。

すさまじい高速オクターヴ奏法でメロディを綴りつつストライド・ピアノへの素養の高さも示した「Donna Lee」、昨年亡くなったチック・コリアの名曲に独自の解釈を施した「Spain」、大の十八番であるオリジナル「Caribe」など、曲目はカミロ流ピアニズムのフルコースといったところ。ぼくがカミロ・ファンになるきっかけをつくった初期名盤『Suntan/Michel Camilo In Trio』(1986年)からの「Tombo in 7/4」のソロ・ヴァージョンが聴けたのも大きな喜びでした。今なお超絶技巧に磨きがかかりっぱなしのカミロですが、その音楽からは、とてもナチュラルな"うた"が聴こえてきます。ピアノ一台で並みいる観客を笑顔にし、スタンディング・オヴェイションを引き出す彼はまた、極上のエンターテイナーでもあるのです。

公演は10日まで続きます。いったいどんな楽曲が今後のステージで披露されるのか、ますます期待が高まります。
(原田 2022 5.8)

Photo by Takuo Sato


☆待望の来日公演は5月10日(火)まで開催!
MICHEL CAMILO SOLO
2022 5.7 sat., 5.8 sun., 5.9 mon., 5.10 tue.
※最新の空席状況はお電話でお問合せ下さい。(ブルーノート東京:03-5485-0088)
詳細はこちら

SET LIST

2022 5.7 SAT.
1st
1. St. Thomas
2. Piece of Cake
3. Two Much
4. What’s Up?
5. Tombo In 7/4
6. Bésame Mucho
7. Island Beat
8. Donna Lee
9. Spain
EC. Caribe
 
2nd
1. From Within
2. A Place In Time
3. TAKE FIVE
4. Song for My Father
5. Paprika
6. Sandra’s Serenade
7. Manteca
8. You and Me
9. Tropical Jam
10. On Fire
EC. Gnossienne

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